
中古マンションを購入する時と異なり、マンションを売却する際には自ら足を運んで手続きをする機会は多くありません。しかしそのぶん、1つ1つの決断が成功、失敗を左右します。
そのため、マンションのまずは全体の流れを把握し、その都度都度で注意すべきことを知っておき、進めていくことがカギとなります。
この記事では、マンション売却の流れと、各ステップにおける主な注意点について詳しくご説明します。
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)
目次
マンション売却の大まかな流れ
マンション売却は、大きく分けて
- 価格査定
- 売却活動
- 契約・決済
の3ステップとなっています。
まずは、価格査定の具体的な手順をご説明しましょう。
【1】価格査定
- マンション売却の理由を整理する
- 住宅ローンの残債額を確認する
- 必要書類を準備する
- 相場勘を掴む
- 金額査定をしてもらう
- 媒介契約を結ぶ
Step1 価格査定・媒介契約締結(約1〜2週間)
①マンション売却の理由を整理する
最初の売却ステップで重要なのは自宅マンションの売却に至る動機を整理することです。
まずは売却の理由についてじっくりと考え、本当に売却するべきなのかについて考えてみましょう。
実は、マンション売却は、想像以上にストレスを伴うケースが多いのです。高く売れるような人気マンションであれば、引きが強くすぐに買い手が付く可能性はありますが、通常のマンションの場合、売却にかかる期間は3ヶ月、長くて半年以上かかります。
その間、休日は掃除をして、内覧対応をして・・・となかなか大変で疲れてしまう方も少なくありません。
実は、賃貸でうまくマンションを資産として運用した方がいいケースも多いのです。
②住宅ローンの残債額を確認する
後ほど、マンションに価格をつける際に、「このマンションがいくらで売れるのか」という目安の金額を出してもらいます。これを価格査定と言います。価格査定を依頼する前に、住宅ローンの残債がいくらあるのか確認しておきましょう。
仮に住宅ローンの残債の方が、実際に売れた金額よりも多かった場合、足りない分を自分で現金で準備しなくてはいけなくなってしまいます。不動産会社の営業マンはあなたの実際の残債までは把握することができないため、ご自身で確認する必要があります。
もしマンションを売った金額が住宅ローンの残高に足りなければ銀行は抵当権(住宅ローンが支払えない場合にマンションを銀行が差し押さえる権利)を外してはくれません。もちろん、売却金額に加えて手持ちの現金で住宅ローンの残りと相殺することができれば、抵当権を外すことができます。
抵当権が外せない場合の一般的な対策方法としては、新しく買う中古マンションに対して抵当権を設定し直すという方法があります。新しく購入するマンションに対して、売却金額の不足分の住宅ローン残債を含めた抵当権を設定することになります。
また、マンションの所有者があなただけでなく複数人いる場合、誰が代表者になって不動産会社とやりとりするのか、いくらぐらいで売却できたらOKなのかということを予め話し合っておきましょう。後から揉めると大変な事になってしまいます。
③必要書類を準備する
マンション売却に必ず必要となる書類は権利済証、もしくは登記情報識別通知と言われる書類です。マンションの引き渡し後に司法書士から届いた書類のことです。もしこの権利済証(登記情報識別通知)をなくしていると、別途手続きが必要となりますので、早めに不動産会社に相談しましょう。
加えて、マンションを買った時の売買契約書・重要事項説明書、パンフレット(チラシ)、住宅ローンの支払い明細などの書類を用意しておくと、不動産会社との相談がスムーズに進みます。
④相場勘を掴む
実際に不動産会社に価格査定を頼む前に、自分の目で売却の相場をチェックしてみましょう。相場のチェックにはSUUMOやHOME'Sで今実際に売りに出ている物件の価格をチェックしたり、カウルライブラリーで同じマンション内の過去の売出事例を確認するのが便利です。
不動産ポータルサイトで売却の相場を調べる時は「駅距離」や「築年数」「階数」「間取り」等がなるべく近しい物件を選び、1平米あたりの価格を確認します。あとは自分のマンションの広さに、1平米あたりの価格を掛け合わせれば、おおよその金額を算出することが出来ます。
なお不動産ポータルサイトに掲載されているのは、あくまで「今売りに出ている物件」ですので、価格が高かったとしても、その金額で売れるかどうかは分かりません。中には相場を完全に超えた高値で販売している物件もありますので「これなら私の部屋もこれぐらいの金額で売れる!」と考えるのは早計です。
⑤金額査定をしてもらう
残債の確認、権利済み証などの必要書類、相場観を把握するなどの下準備が整ったら、早速マンションの査定をしてもらいましょう。不動産会社のWEBページから問い合わせるのもいいですし、近所の不動産会社に行く方法もあります。
あまりオススメしないのが、不動産売却の一括査定サービスです。一見、理にかなっているように見える不動産売却の一括査定サービスですが、6〜10社ほどに見積もり依頼が行くことからどの不動産会社もライバルに勝つために、本当は売れることが見込めないような高値で査定金額を出し、結果としていつまでもマンションが売れない・・・ということがよくあります。
査定金額は買取価格ではなく、あくまで「査定」でしかありません。査定金額は高いものの、本当にその金額で売れるかどうかは、また別の話なのです。
一括売却サービスを利用すると6〜10社からの連絡に対応しなくてはならないので、自分で絞った不動産会社1〜3社程度に問い合わせをする方がオススメです。
金額査定の方法
マンションの査定方法はいくつか方法があります。居住用のマンションはほとんどの場合、「取引事例比較法」によって査定されます。
- 取引事例比較法:近隣の取引事例を元に価格を算出する
- 原価法:物件を建築するコストや耐用年数などを元に価格を算出する
- 収益還元法:物件から発生する収益と利回りを元に価格を算出する
取引事例比較法の場合、ここ1〜3年の間に取引をされたデータを元に、下記のような視点からあなたの部屋であれば、いくらぐらいで売却できそうか算出していくのです。
- 広さ
- 間取り
- 築年数
- 室内の状況
- 眺望
- 方角
- 駅からの距離
- 共用施設
- 分譲主(ディベロッパー)
- 施工会社
- 管理状態
- 近隣施設
- 学区
- マンションの施工会社
より正確な査定のためには、不動産会社に部屋の中を見てもらう必要があります。お部屋の痛み具合や、日当たり、眺望、通風などは、部屋の中を確認しないと分からないためです。
不動産会社の営業マンに部屋を見せた後、査定金額を出してもらいましょう。査定金額を聞いたら「なぜその金額で売れるのか」という根拠をしっかりと聞くことが重要です。単にこちらの気を引くため、高い査定金額を出してきていると感じられるのであれば、要注意です。
⑥媒介契約を結ぶ
売却活動を依頼する際に結ぶ契約を「媒介契約」といいます。売却活動をお願いする不動産会社の数は一社でも複数社でも大丈夫ですが、媒介契約の種類によっては「ウチの会社にしか売却活動をさせてはいけません」という内容になっているので注意が必要です。
媒介契約には、以下の3つがあります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
一般媒介契約は最も緩やかな契約で、指定流通機構(レインズ)への登録や契約期間に決まりがありません。専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合、指定流通機構への登録は義務となっていることに加え、契約の期間は3ヶ月が上限として決められています。
不動産仲介業者はマンション売却時に受け取る仲介手数料で利益を得ています。競合の多いマンションの売買仲介においては、不動産仲介業者としてはまずは媒介契約を結ぶことが先決です。不動産仲介業者の中にはこうした競合対策として、最初に査定価格を高く出しておき、まずは媒介契約を結んだ後、どんどん売買価格を下げていくという方法を取る業者もあります。
不動産会社は査定価格よりも、実際の活動内容で決めよう
査定価格を高く出してくれる業者を選んでしまいたくなりますが、マンションの仲介を依頼する業者は、査定価格ではなく、実際にどのように活動してくれるのかを見て決めることを強くおすすめします。
どの会社とどんな媒介契約を結ぶかは、査定金額だけでなく「どのようにマンションを売却するつもりか」「どこがこのマンションのアピールポイントか?」といった売却戦略も確認して選ぶようにしましょう。
営業マンと話した時に「信頼できそう」という印象を受けるかどうかも大事なポイント。実際に買主、もしくは買主側の不動産会社と交渉をするのは、その営業マンになるからです。
以下は、営業マンの力量を試す質問例です。
- 「最近、この物件の近くで売却の成約はありましたか?」
- 「どのように売却活動をする予定ですか?」
まず売却するマンションと同じような条件の売却の成約があったかどうか確認しておきましょう。その際にどのような販売戦略を工夫したのかも聞いておきましょう。しっかりとした戦略があれば次も活かせる可能性があります。
次に、より具体的に、あなたのマンションをどのように売却活動を行うつもりか、確認しましょう。
その際、絶対に確認しておきたいのが「レインズに掲載する際に、他の不動産会社に広告の掲載許諾をちゃんと出すかどうか」というポイント。
レインズとは、不動産会社同士が情報交換の為に活用する専用サイトですが、レインズには「その物件を他の不動産会社が広告活動を行って良いか(広告掲載許諾を出すかどうか)」を記載する欄があります。売主にとってみれば、多くの不動産会社に広告をしてもらったほうが、買主を集める上で圧倒的に有利です。
しかし不動産会社によっては「広告掲載許諾」を「不可」にし、他の不動産会社には一切広告を打たせないようにする会社があります。このような会社は要注意です。
こうした「広告掲載許諾」を「不可」にする会社は、たとえ買主が見つかる可能性が低くなろうとも、自社のみで広告活動を行い、両手仲介(売主と買主の両方から仲介手数料をもらう取引)を狙っています。
不動産会社を選ぶ際には「広告の掲載許諾」を出し(レインズの広告転載部分を「広告可」にする)、売主の味方になってくれる会社を選ぶようにしましょう。
>>中古マンションを高く売ってくれる不動産会社の見抜き方とは
不動産仲介会社の3タイプ
街の不動産屋さん
地場の仲介会社とは、地元に根付いた仲介会社で、いわゆる「街の不動産屋さん」です。そんな地場の仲介会社の強みは、なんと言っても街に精通しているという点でしょう。
以下のような状況のときには地場の仲介会社は有利といえます。
- 今までの担当者が街のアピールができていなかった
- 周辺環境など立地的な魅力が少ない
たとえば、「朝の○時は電車が混まない」や「あまり知られていないが便利な商店街がある」などの情報は、長い間その土地に根を下ろしている不動産業者でないとわからない情報です。
地場の仲介会社は、そのような情報を営業トークに活かすことができます。周辺環境などのエリア的な魅力が小さいマンションでは特に、こうした情報が大切になってきます。
大手不動産仲介会社
次に、大手不動産仲介会社です。大手不動産仲介会社とは、複数の店舗を持っており、広範囲にわたって営業している仲介会社のことになります。
大手不動産会社の強みは、ブランドによる集客力です。また売買に特化しているため、知見も溜まっています。
大手の不動産会社にマンション売却を依頼する際は、必ず「レインズの広告転載部分を「広告可」にしてください」と念を押して依頼するようにしましょう。
webに強い無店舗型仲介会社
新しく出てきたのが、店舗を持たずにWEBやアプリを活用して売却活動を進める企業です。
こういった新しい仲介会社は、これまでの不動産会社とは差別化した売却提案を行うことが特徴です。
WEBとアプリで効率的に集客を行うだけでなく、囲い込みをしない、広告掲載をフリーにするなど、徹底した顧客目線でのサービスが特徴です。
従来型不動産会社で勤務していたベテラン営業マンが業界の課題を解決しようと、こういった企業に入社しているケースも多く、営業マンのレベルも高くなってきています。
Step2 マンション売却活動(約2ヶ月〜1年)
査定が終わったら、いよいよ売却活動のスタートです。売り出し価格の決定、準備、販売活動、内覧対応、価格交渉など大事な事がてんこもりです。
【2】売却活動
- ①売り出し価格を決める
- ②掃除をする
- ③内覧対応をする
- ④買付(購入申込書)を受け取る

①売り出し価格を決める
自宅マンションの売却を任せる不動産会社を決めたら、いよいよ実際に売りに出す金額を決めます。基本的には不動産会社の査定金額を元に値付けをします。
ここで重要なのは、あまり強気の価格設定をしないこと。相場より少し高め(5%程度)ぐらいが理想です。
販売当初に相場より高く設定して反響がなかった場合、ちょこちょこと細かい単位で価格を値下げするのはおすすめしません。なぜかというと「まだ値下がりするのでは?」というイメージを購入希望者に持たれてしまうからです。マンションを探している方は物件情報を日々ウォッチしているため、価格動向に関してよく把握しています。
そのため、細かい単位での値下げをしていると「この物件また価格が下がったから、もう少し待っていたらまた下がるのでは?」と思われてしまいがちです。逆に大幅な値段改定をした場合は「こんなに下がったから売れてしまうかも!」と焦らせることもできます。
また、買主の値引き交渉を想定し、希望売却価格に端数分を上乗せすることも有効です。
相場を基準に最初の売り出し価格を決めることが重要です。
②掃除をする
販売価格を決めたら、実際に買主候補が来た時の準備をします。大事なのはとにかく掃除です。とにかく物を捨てて、少しでも部屋をスッキリ見せましょう。レンタルスペース、貸し倉庫などを借りて、荷物を移動させるのも有効です。荷物が多いと、せっかく広い部屋も圧倒的に狭く見えてしまいます。
特に玄関、水周り、ベランダ、クローゼット、キッチン、お風呂、トイレなどの水回りは徹底的に掃除しましょう。プロのクリーニング(10万円程度)を一度入れるのがオススメです。
タバコやペットなどで壁紙が汚れている、傷ついている場合や、壁に画鋲などの穴が空いている場合にはリフォームを行いましょう。壁紙の汚れは、想像以上に販売価格に影響します。壁紙リフォームは50〜70万円程度で行うことができます。ただ、マイナスをゼロに戻すようなリフォームは行うべきですが、大規模なリフォームをする必要はありません。
また、お部屋のにおいにも、気をつけましょう。芳香剤を置いておくだけでも購入希望者のお部屋に対する印象はガラリと変わるはずです。
掃除をしたら、写真を撮って不動産会社に送りましょう。売却を依頼された不動産会社は、ネット媒体広告などに物件を掲載して集客活動を行います。その際に写真があるか無いかで反響が大きく違ってきます。
また、お部屋のインテリアを綺麗にコーディネートしてもらう「ホームステージング」というサービスもあります。何も家具がない状態よりも実際にコーディネートした状態で内覧すれば、購入希望者もイメージを持ちやすくなります。
③内覧対応をする
実際に売却活動が始まると、見学の依頼が来ます。買主候補が「マンションを見てみたい」といってマンションにやってくるのです。この見学会はあなたのマンションの良さをアピールする最大のチャンスです。徹底的に掃除をし、照明器具を取り替え、全ての部屋を見れるようにし、内覧の前には換気を十分にするようにしましょう。
内覧の依頼は前日や、下手をすると当日に依頼がくる事もあります。「なんて非常識な!」と思うかもしれませんが、極力予定を合わせるようしましょう。「不動産はご縁もの」とは良く言いますが、買主は数ある不動産の中から、たまたま、あなたの物件を見つけ出したのです。前から不動産ポータルサイトを見て気になっていた物件を、たまたま内覧の前日や当日に、不動産会社の営業マンに「あの物件って見れますか?」と聞くことは良くあることです。
今週予定が合わないと、他の物件を購入してしまうかもしれません。1回の内覧には、とてつもない価値があります。なんとかして、全ての内覧を受けるようにしてください。
④買付(購入申込書)を受け取る
マンションが気に入った買主は、書面で不動産会社を通して「買付(購入申込書)」を提出します。この買付(購入申込書)には「どんな条件でマンションを購入したいのか」という情報が書いてありますので、内容をよく確認しましょう。この購入申込書はあくまでも「意思表示」にすぎませんので法的拘束力はありません。キャンセルされることも十分にありますので、相手の熱が冷めないうちに素早く対応方法を決めましょう。
引き渡し猶予の交渉をする場合もある
あなたがマンションを売却した後、新しく家を購入して住む予定の場合は引き渡し猶予の交渉が必要となるケースがあります。この交渉が必要となるのは、家を売却した代金で新しい家を購入する「住み替え」の場合です。
通常の不動産取引ですと、家を売却した代金を受け取るのと同時に鍵を買主に渡し、家を引き渡す必要があります。しかし家を売却した後に、新しい家の引き渡しを受ける場合、理想的には下記のような流れになります。
- 家を売って代金を受け取る
- 新しい家の代金を支払って引き渡しを受ける
- 引越し作業を行う
つまり「1.家を売って代金を受け取る」を行った後に、「3.引越し作業を行う」を行うまで買主に居住を待ってもらう必要が発生するのです。この買主に居住を待ってもらうことを「引き渡し猶予」といい、最大で1週間ほど交渉することが可能な場合があります。
もし引き渡し猶予の交渉ができない場合は、マンスリーマンションなどに一旦住む形になります。
売却中に既にマンションから引越しが終わっている場合は、引き渡し猶予は必要ありません。
Step2のポイント
売却活動のキーワードは、
- セールスポイントを明確に購入希望者に伝える
- 購入希望者に対するおもてなしを徹底する
- 忍耐力を持って売却活動にあたること
売却活動の流れは、
- 売り出し価格を決める
- 掃除を行う
- 内覧対応
- 購入申込書をもらう
Step3 契約・決済(約1ヶ月)
【3】契約・決済
- 売買契約を締結する
- 引き渡し日の調整をする
- 銀行に連絡する
- 引越し作業を進める
- 現地の立会いをする
- 引き渡し(決済)
購入申込書の内容で合意すれば、いよいよ契約になります。
①売買契約を締結する
購入申込書を受け取ってから1週間後が、契約を行うタイミングの目安です。契約をする前に必ず買主の住宅ローン事前審査が通っているかを確認するようにしましょう。
売買契約日の前日〜3日前に売買契約書が仲介会社から送られてきます。なるべく契約書は事前に内容を確認するようにしましょう。
売買契約に必要なもの
売買契約日当日までに、準備するものは下記になります。
- 本人確認書類
- 実印
- 印鑑証明書
- 登記済証(もしくは登記情報識別通知書)
- 仲介手数料の半金
印鑑は必ず「実印」でなくてはいけません。不動産取引では本人確認書類だけでは不十分で、「登記済証」「実印」「印鑑証明書」「登記済証」の4点セットで、本当に不動産の所有者かどうかを確認するのです。
この中で印鑑証明書だけは、あらかじめ役所にいくか、マイナンバーカードを使いコンビニなどで取得する必要がありますので注意が必要です。
売買契約日当日
いよいよ待ちにまった売買契約当日。必要なものを持っていくのを忘れないようにしましょう。売買契約にかかかる時間は全体で1時間半〜2時間。売主は売買契約の途中から参加することが多いので、時間としては1時間弱になります。
売買契約ではマンションの詳細を説明した重要事項説明書、契約条件をまとめた売買契約書、付帯設備表と物件情報報告書を読み合わせ、署名・捺印を行い、最後に手付金の授受を行います。
手付金を受け取ったら、大事に保管する必要があります。手付金は売買代金の一部ですが、引き渡しまでは絶対に使わないようにしましょう。万が一売買契約が白紙となって解約された場合、手付金を全額返す必要があるからです。あくまでも仮のお金として、大事に保管することが必須です。
また、売買契約の際に引渡し日のすり合わせをすることも重要なポイントです。
契約書に記載されている引き渡し日はあくまで「最大に伸びた場合の引き渡し日」という意味ですので、買主によってはもっと早く引き渡しをして欲しい人もいます。
とはいえこちらとしても、引っ越しのスケジュールがありますので、お互いの期待値が擦り合うように話をしておくことが重要です。
売買契約を別々に行うパターンもある
売買契約は通常、売主と買主、売主側の仲介業者と買主側の仲介業者が顔を付き合わせて、一ヵ所に集まって契約を行います。ただどうしても売主と買主のスケジュールが合わない場合は、それぞれ別個に売買契約を行う場合があります。その場合は手付金を仲介会社経由で受け取ったり、振込によって受け取ったりします。
②引き渡し日の調整をする
売買契約後、買主は住宅ローンの本審査申込をします。売買契約後から2週間〜1ヶ月後を目安に、買主の本審査通過の連絡が仲介業者を通してくるはずです。買主が本審査を通過すると、住宅ローンを借りられることが確定しますので、引き渡し日の調整を買主と仲介業者を通して行います。
引き渡し日決定の注意点としては、引き渡しを平日の午前中に行う必要があるという点です。これは買主から売買代金の振り込みを受けるために、平日しか決済が行えないためです。またその日中に登記手続きを行う必要があるので、午前中に行うのです。仕事がある方は、午前休などを取る必要がありますので、注意が必要です。
また一度引き渡し日を確定すると、変更することはできない点も要注意です。(売主の抵当権抹消書類、買主の銀行とのお金を借りる契約である金銭消費貸借契約の関係です。これについては、後ほどご説明します)
③銀行に連絡する
売却予定のマンションに抵当権が付いている場合(住宅ローンの借入がある場合)、引き渡し日が確定したら住宅ローンを借りている銀行に連絡をして抵当権抹消書類を準備してもらいましょう。
抵当権抹消書類とは「この日に住宅ローンの残高を返済してもらうので、抵当権を外しますよ」と銀行が宣言する書類のこと。この書類を銀行に作ってもらうことで、抵当権がない状態で不動産を買主に引き渡すことができるのです。
抵当権抹消書類は銀行に依頼してから、約2週間、準備に時間がかかります。フラット35の場合、もっと時間がかかる場合もありますので、お引き渡し日まで時間の余裕を持って銀行に依頼するようにしましょう。
万が一、引き渡し日がズレた場合、抵当権抹消書類を再度作り直すために2週間、時間がかかってしまいます。
④引越し作業を進める
銀行との手続きと同時並行で引越し作業を進めましょう。先ほど「引き渡し猶予の交渉をする場合もある」の項でご説明した「引き渡し猶予」を使う場合は、まだ引っ越しをする必要はありません。ただ、荷物は減らしておくようにしましょう。
残置物が残っていると契約違反になってしまいますので、引っ越しは確実に終わらせる必要があります。引き渡し日ギリギリだと引っ越し作業が1日で終わらない可能性もありますので、なるべく早いタイミングで引っ越すようにしましょう。冷蔵庫、食器棚などは残置物になるので、買主の依頼がない場合は撤去が必要です。エアコンは、買主との相談によります。
マンション設備の説明書類、分譲時のパンフレットはお部屋の中に置いたままで大丈夫です。
⑤現地の立会いをする
引っ越し作業が終わると、売主・買主・売主側の仲介・買主側の仲介立会いのもと、現地の最終確認を行います。荷物が撤去されているか、設備の故障がないかを確認する立会いになります。売買契約時に既に空室となっている場合は、現地の立会いを省略する場合もあります。
⑥引き渡し(決済)
いよいよ引き渡し日です。引き渡しの手続きは通常、買主が利用する住宅ローンの銀行で行います。店舗を持たないネット銀行の住宅ローンの場合は仲介会社の店舗で行うケースや、仲介会社の店舗で書類手続きを行い、その後銀行窓口に移動するパターンなどもあります。
- 引き渡し(決済)の持ち物は下記のようなものです。
- お部屋の鍵全て(宅配ロッカーも含む)
- 身分証明書
- 登記済証(登記識別情報通知書)
- 印鑑(実印)
- 印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
- 住民票(登記名義人変更登記が必要な場合のみ)
- 振り込み予定の銀行口座の通帳、キャッシュカード
- マンション設備の説明書類、分譲時のパンフレット ※お部屋に置いた状態でも可
- 仲介手数料の半金(当日、買主からの支払い代金から支払うケースが多い)
- 司法書士への報酬(当日、買主からの支払い代金から支払うケースが多い)
Step3 契約・決済の流れ
- 売買契約
- 引き渡し日の調整
- 銀行に連絡
- 引っ越し
- 立会い
- 引き渡し
まとめ
マンション売却の流れ、いかがでしたでしょうか。購入の時と違い、自ら動く部分は少ないものの、その分マンション売却の注意点は多くなります。ぜひ、ポイントを抑え、マンション売却を成功させてください。
今回はマンション売却の流れを説明することに重きをおきましたが、注意点についてはこちらの記事により詳しく書いております。合わせてお読みいただければ、さらに売却達成への道がクリアになることと思います。
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また、買主様のフォローも徹底。流通価格の分析を元に、賃料・ローン金利やランニングコストも視野に入れてご提案を行い、適正価格のご理解・成約まで導きます。
【3】費用負担を軽減、仲介手数料半額プランをご用意
一般的な仲介手数料は物件金額の3%+6万円(税別)。カウルであれば、物件金額の1.5%+3万円(税別)に。
売却にかかる費用を抑え、手元に残る利益を増やすことができます。
※半額プラン適用には最低金額や専任媒介契約等、条件があります。詳しくはお問合せください。
【4】情報をオープンにし、しっかり集客。多くの購入希望者に届けます
不動産ポータルサイトに掲載するほか、自社の不動産アプリ「カウル」約6万人のユーザーにお預かりしたお部屋をご紹介。
他の不動産会社にも情報をオープンにし、より早くより確実にお客様の売却を叶えます。
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