
マンションを売るときに何より悩むのは価格設定。そして、中古マンション売買において切っても切り離せないのが「値下げ」や「値引き」です。
- 値下げするタイミングやボーダーライン
- 上手な値下げの仕方
- 値下げをせずにすむ方法
など、値下げに関わる疑問やお悩みに中古マンション売買のプロがお答えします。
誰でも、より早く・より高く売りたいもの。事前に正しい知識を身につけて売却活動をスタートさせれば、納得の結果が手に入るはずです!
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)
目次
値下げするタイミングやボーダーライン
まず、タイミングやボーダーラインはいつなのか、という問題。
これについては、絶対的な「販売後●ヶ月」というような基準はありません。
いつまでに売りたいかを決める
大事なことは、まず「いつまでに売らなければならない」と言うところを決めること。「いつまでに」という期間の最低ラインを不動産営業マンに伝えましょう。
売却期間に余裕があれば、価格を高めに出して様子を見るなど、高値に挑戦することもできます。
逆に売却期間に余裕がなく、とにかく早く売りたいのであれば、価格を相場より安めに設定すればそれだけ早く買い手を集客することができます。
売却期間を決めることは、そのまま価格に直結するのです。
値引き交渉のラインを決める
売却期間のリミットの次に考えることは、価格のボーダーラインです。
値引き交渉の金額のラインをどこにおくか、あらかじめ仲介会社と話しておきましょう。
もし、「値引きは完全になし」としたいのであれば、それを事前にはっきり伝えておきましょう。価格交渉に時間や労力を割かずに済みます。
まずは自分の状況に合わせて、「高く」「早く」のどちらに比重を置くか、という視点で考えましょう。
高く売りたくても販売長期化だけは避ける
売却期間に余裕があって高値に挑戦できると言っても、何より避けなければいけないのは、販売が長期化することです。
長くだらだら売っていても、「売れ残り」という印象を買い手に与えてしまいます。こうなると買い手がつくことは非常に難しくなり、大幅な値下げということにもなりかねません。
高値で挑戦したいという場合でも、ある程度期間を区切って「2週間問い合わせがなければ価格を下げる」など、不動産会社と決めておくといいでしょう。
あらかじめ不動産会社と話しておき、決めておくべきところ
- いつまでに売らなければならないか
- 値引き交渉の最低価格ライン
上手な値下げの仕方
ライバル物件の価格をよく見て価格を設定する
値付けの絶対的な方程式というものは、残念ながらありません。ただ、基本的には複数要素の掛け合わせによって決まるものなので、自分の物件と近しい周辺物件を調べて出てきた情報が、大体の相場と考えていいでしょう。
自分の物件をよく見た上で、他の物件もよく観察しましょう。分析する時には、下記要素をしっかり抑えることがコツです。
これによって、戦略も踏まえていくらという売り出し価格をつけるのか、総合的に決定します。
物件というのはどこまでいっても相対評価です。エリアや個別具体のマンション、間取りや階数など、ある程度の要素によって相場が決まります。
そのため、「周辺物件と同じような条件なのに、ある物件だけ高く売れる」というようなことは起こりにくくなります。買い手も、周辺の条件の似たライバル物件と見比べてくるので、あまりにも飛び抜けて高い物件には手を出しません。
- 高く売れる物件はきちんと高く売れる要素を分析し、それをきちんと整理して物件情報に落とし、買い手にも説明し、きっちり売る。
- そうでない物件は欲を出しすぎず現実的なラインを見極めて、最低ラインより安く売らないことを徹底する。
これが、早く高く売るための価格設定のセオリーです。
値下げする期間の目安
ひとつの目安としては、ポータルサイトへの掲載をスタートしてからの1〜2週間です。この期間は「新着」物件である表記がされます。
この期間に全く問い合わせがなければ、相場価格より高いと思われている可能性が高いので、値下げを検討する方が良いでしょう。
これはケースバイケースであり、営業マンとしての戦略によっても変わってきます。依頼している不動産会社に相談してあらかじめ、いつをリミットとするかを把握しておきましょう。
値下げする価格の目安
こちらもひとつの考え方ですが、値段を下げるなら今の価格帯のひとつ下のレンジに引っかかるくらいの下げ幅にするのが良いでしょう。ポータルサイトの価格帯がだいたい500万円刻みなので、この数値を参考にしてみてください。
例えば5,100万円が4,980万円になれば、5,000万円以下の検索に引っかかるようになるため、新たな買い手層へのアプローチが可能になります。
値下げをせずにすむ方法
究極的にはここが一番みなさんが望むことでしょう。
ただ、確実なのは「相場から外れて根拠なく高値で売れる」魔法はない、ということです。
高値で売りたいと思う場合は、各ステップをきっちりこなすことが重要です。
- 相場を見て、現実ラインを見極める
- 高く評価できるポイントを洗い出す
- 販売図面に価格の理由をしっかりアピールする
- 見学当日、相場より高い理由をきっちり説明する
ある程度シビアに相場というものは決まります。現実ラインを見極めることがまず一つ。
さらに、高く評価できるポイントはきちんと洗い出すこと。
そして、それが物件情報にきちんと伝わる形でしっかり書かれていることです。
販売図面のキャッチコピーは買い手にとって最初の入り口。問い合わせを獲得するための、「超重要ポイント」です。相場より高値で出した場合、販売図面を見た買い手に、「なるほど、そういう理由だから相場より高いのかな〜・・・」と思ってもらえるか。この点を買い手側の視点に立って客観的に見るようにしましょう。
そしてここをクリアしていよいよ、見学の当日が本番です。そこでどれだけ相場より高い理由をきっちり説明できるのか。これができれば、「早く・高く、そして値下げをできる限りしない売却」が叶います。
ここまでを実現するためには、依頼している不動産会社の担当者と、物件の特性をきっちりと洗い出し、綿密に戦略を立てることが必要です。プロだからこそ持っている視点を頼りに、売却成功への道筋を描いてください。
問い合わせが来る集客のポイント2点
「値引き」という切り口で、早く高く、損をせずに売り切るためのポイントをご説明しました。
ただ値引きの前に、そもそも買い手から問い合わせがなければ始まりません。問い合わせが来る集客のポイントは、
- 情報はしっかり出す
- 集客力のあるところに出す
この2点。つまり、基本中の基本をしっかりやるということが肝心です。
正しい集客の仕方やコツについては、こちらの記事で紹介しています。どういう情報を準備するべきなのか、また、一番活用すべき集客チャネルはどこなのかなど、考え方から解説しています。ぜひ合わせて読んでみてください。
>>参考記事:マンション売却成功の鍵!買い手がつく物件情報・集客のコツとは
早く・確実に売却するためには?
早く確実なマンション売却を叶えるためには、適正価格で売り出さないといけません。
そのためには、効率的な情報収集とロジックに基づく値付けが必要です。
2022年現在、中古マンションの価格が上昇している点に注目が集まっています。
が、実はその一方で、悲劇も起こっています。「今ならば高値でも売れるはず」と考えて強気の価格をつけたところ、買主からまったく振り向いてもらえず売れ残り続け泥沼の長期戦に・・・というような事例が少なくないのです。
売れ残りにならないためには、適正に市場を見極めること。そのための判断材料となる情報収集に役立つのが、アプリ「カウル」です。
カウルには、売却に役立つ便利な機能が揃っています。
- 自動査定で自宅の売却金額がわかる
- 売却時の手残り計算もできる
- 売出時に「ライバル」となる売却予定物件周辺の売出物件の価格も地図で直感的にチェックできる
カウルはアプリの中で必要な情報収集や簡易査定が完了するので、例えばこんなお悩みをお持ちの方にはまさにぴったり。
「自分である程度情報収集してから問い合わせたい」
「時期未定で検討段階だからまずは情報収集だけ」
すでに売却活動中の方であれば、現況の周辺売り出し状況をウォッチするのにもおすすめです。