マンション売却に関わるローンの疑問にお答え!残債は?控除は?

2020.06.04
マンション売却に関わるローンの疑問にお答え!残債は?控除は?
マンションを売るとき、金銭面で真っ先に気になるのが「住宅ローン」との絡み。
「住宅ローンが残っているけど、マンションを売却することって可能?」 「住宅ローンの3000万円控除か、住宅ローン減税か、どっちが得?」 「先に新居を買ってから今のマンションを売りたいのだけど、住宅ローンとの絡みはどうなる?」
などなど、マンション売却に際し、住宅ローンに関わる話でつまづきやすいところを、
【1】住宅ローン残債 【2】住宅ローン控除 【3】住み替えに有利な住宅ローン
この3つの切り口で、マンション売買のプロが解説していきます。

【1】住宅ローン残債

ローン残債があっても売却できるのか?

まず、そもそも住宅ローンの返済が残っている(残債がある)状態でマンションは売却できるのでしょうか?結論から言えば、売却できます。その場合、まず問題になるのは「売却価格がローン残債を上回るのか、下回るのか」という点です。この点で、それぞれ対応が変わってきます。

売却価格がローン残債を上回る場合

ネックになるのが、「抵当権の抹消」です。マンションを購入した際の住宅ローンのいわば担保である抵当権は、住宅ローンを完済しないことには、抹消されません。抵当権が抹消されないことには、買い手にマンションを引き渡せません。基本的には、売却価格がローンの残高を上回っていれば完済となるので、問題ありません。もしローンの残高の方が多ければ、残債をどう決済するかが焦点になります。

売却価格がローン残債を下回る場合

売却価格がローン残債を下回る場合は、2つの解決策があります。
  • ローン残金の不足分を自己資金で決済する
  • 住み替えなら、新たなローンで残金の不足分を処理
住宅ローンの決済を完了しないと、金融機関の抵当権を抹消できません。抵当権が抹消されなければ、正常な所有権の移転ができません。それでは買主に物件を引き渡すことができず、売買契約そのものが成立しないということになってしまいます。自己資金で解決できない場合、今のマンションを売って新たに住宅を購入する「住み替え」であれば、残金の不足分込みで新たなローンを組むことが可能です。こちらについては、記事の後半で詳しく解説します。また、住み替えの場合は、住宅の購入と売却が同時進行になるため複雑になります。お金も売りと買いと2重で発生することになり、手続きや対応することも倍になります。ぜひ時間的に余裕を持って取り組むようにしましょう。

最終的な手段「任意売却」

また、住宅ローンの返済が苦しいなどの理由でどうしてもマンションの売却を行う必要がある場合の手段として、「任意売却」があります。任意売却とは、簡単にいうとローンが残ってしまう状態でもマンションを売却できる方法です。任意売却を希望する場合は、その旨を金融機関に申し出ます。通常は不動産コンサルティング会社や司法書士が窓口になり、金融機関との交渉をします。ただし、信用情報に傷が付くという大きなデメリットが生じますので、最終手段と考えるのが良いでしょう。>>参考記事:【中古マンション売却】任意売却について知っておくべきこと

まずは残債額を確認して価格査定を依頼しよう

さて、住宅ローンの残債がいくらあるのか、「このマンションがいくらで売れるのか」という目安の金額がわからなければ始まりません。

残債額の確認

残債額は、インターネットバンクサービスの登録をしている方は、サービスによっては金融機関のサイトから確認ができるようになっています。もしくは、金融機関から郵送されてくる住宅ローン残高証明書で確認するという手もあります。紛失している場合は、融資を受けている金融機関に問い合わせて依頼しましょう。

価格査定を依頼

価格査定の方法には、いくつか方法がありますが、一番簡単な方法が一括査定サービスです。査定金額とは「本当にこの価格で売れます」という金額ではありません。一括査定サービスは、同時に6〜10社程度の不動産会社に見積もり依頼がいくシステムなので、どの不動産価格もライバルに勝つため、売れることが見込めないような高値で査定金額を提示してくることも・・・。こうなると実際に売れる価格とはかけ離れてしまうため、参考になるとは言いづらくなります。自分で絞った不動産会社1〜3社に問い合わせることをおすすめします。>>参考記事:マンション売却価格の決め方とは?相場と査定の考え方を解説

【2】住宅ローン控除

3,000万円控除を利用すると「住宅ローン減税」は利用できない!

マンション売却に関わる税金控除の代表としてあるのが、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」。これは実際に自分が住んでいた居住用マンションであれば、譲渡所得から3,000万円も控除できるというもの。これにより、ほとんどのケースで「譲渡所得」への税金は発生しないことになります。譲渡所得税など、マンション売却にかかる税金について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。>>参考記事:マンション売却にかかる税金の計算方法とチェックポイント大変魅力的な3,000万円控除ですが、注意したいのが「住宅ローン減税」と併用できないこと。3,000万円控除を使うと、家を売却したその後2年間の間は新しく購入した家に対して住宅ローン減税を利用することができません。住み替えの場合は、3,000万円控除か、新しい家の住宅ローン減税か、どちらが得になるか選択する必要があります。

【3】住み替えに有利な住宅ローン

住み替えのとき、先にマンションを買ってから今住んでいるマンションを売る、という「買い先行」で行くなら、既存のマンションのローンはどうなるのでしょうか?

ローン残債も含めて35%におさめなければならない

どの銀行も年収に対して、金利3.2〜3.5%程度で計算を行い、年収に対して最大35%程度まで貸してくれます。これを「返済負担比率」と言います。銀行では住宅ローンの「残債」があった場合、「既存借り入れがある」として評価されます。既に借りている住宅ローンの支払い額も返済負担比率に合算するのです。つまり、既に住宅を所有している場合、今持っている家と、新しく買う住宅のローンを合わせて35%以内にしないといけません。これに対しての対応としては、予算設定を変える(返済負担比率の中に収める)というのも一つありますが、そうなると購入する物件の幅は狭まってしまいます。「家族が増えて今のマンションが手狭になったから、もっと広いところに住み替えたい・・・」と思ったのに、理想どおりの住まいを見つけるのは難しい、となってしまえば、本末転倒です。

ダブルローンOKの銀行を頼る

そこで解決策として考えたいのが、「ダブルローンが可能な金融機関での新規借り入れ」です。例えば、「フラット35」はダブルローンが可能な金融機関の一つ。全期間固定金利になるので、金利で言えば安くはありませんが、「いつまでに売らなきゃいけない」などの完済条件もありません。ダブルローンが可能な金融機関の中では一番自由度が高いでしょう。 ※2020年6月現在 銀行自体は数多あるうえ、半年や1年程度で条件も変わります。不動産会社に相談し、そのときの最新情報を元に対策をとるようにしましょう。

まとめ

マンション売却に関わるローンについて、陥りがちな部分についてまとめて解説しました。つい「いくらで売れるか」「早く高く売るためには」など、買い手がつくまでの売却活動の方に意識がいきがちですが、こうしたお金や権利に関わる仕組みを知っていなければ損してしまうことも。複雑なため、担当の不動産営業マンにサポートをお願いするのももちろんですが、自分で理解を深めておくことも大事です。ぜひ、各項目について詳細を説明した記事も合わせてご覧いただき、一つずつ理解を深めながら、事故なく幸せな売却・住み替えを、進めてくださいね。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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