中古マンションの買取におけるメリットとデメリットを整理!

2017.10.14
中古マンションの買取におけるメリットとデメリットを整理!
中古マンションを売却するときには、「買取」という方法があります。買取は、不動産会社が買主を探すのではなく、不動産会社自らが買い取るという方法です。ただし、買取にはメリット・デメリットが明確にあるので、その点を理解して買取を選択するか判断しましょう。

買取のメリット

中古マンションの買取のメリットは以下の点になります。
  • 決済が早い
  • 売りにくいマンションを売ることができる
  • 仲介手数料がかからない
  • 瑕疵担保責任がない
自分にとって、上記の点がどれほどのメリットになるかを考えましょう。

決済が早い

まず、決済が早い点が最も大きなメリットになります。買取だと決済が早い理由は以下の2点になります。
  • 現金で購入する場合が多い
  • ローンでも審査スピードが早い
買取は、買主が不動産業者になるので、現金で購入することも多くなります。そのため、ローンの審査がなく短期間で入金できるので、その分決済も早めることができるということです。また、仮に融資を利用して購入するとしても、一般の方が住宅ローンを組むときより審査が早くなります。一般の方だと本審査に2週間程度かかったり、ローンの本契約の日程がなかなか合わなかったりします。そのため、審査にスピードがかかり決済も遅れがちですが、会社が融資をするときには、もっとスピーディーに審査できます。

売りにくいマンションを売ることができる

マンションの買取は売却活動をする必要なく、その物件を買い取りたい不動産業者がいれば売却は完了します。不動産業者は、買い取ったマンションを転売するので、自分が住むわけではありません。そのため、不動産会社が「想定した価格で売れる物件」と判断できれば、買取をしてくれるということです。一方、通常のマンション購入者は、自分が住むという前提で物件を見るので、室内環境や設備・仕様などを細かくチェックします。そのため、購入検討者が現われないことも多くあります。買取の方が売りにくいマンションが売りやすくなると言えるでしょう。

仲介手数料がかからない

通常のマンション売却は、以下のように売却価格に応じて仲介手数料がかかります。
  • 物件価格(税抜)が200万円以下:物件価格×5%
  • 物件価格(税抜)が200万円超~400万円以下:物件価格×4%+2万円
  • 物件価格(税抜)が400万円超:物件価格×3%+6万円
たとえば、3,300万円のマンションを売却したとします。その場合、上記の式にあてはめると「3,300万円×3%+6万円=105万円」で、さらに消費税が加算された約113万円が仲介手数料になります。この金額は、不動産会社が売主・買主に請求して良い手数料の上限になりますが、多くの不動産会社が上限で請求します。買取は「仲介」ではなく、不動産会社自ら買い取るので、この仲介手数料はかかりません。>>>マンションを早く、高く売るテクニックとは?

瑕疵担保責任がない

マンションを売却すると、売主は瑕疵担保責任を負います。瑕疵とは欠陥のことであり、瑕疵担保責任とは、欠陥があったときに責任を取るということです。たとえば、マンションを引渡した後に壁に亀裂があることが分かり、そこから雨漏りしたとします。この亀裂が売主の瑕疵担保責任と判断されれば、その補修費用などは売主が負担することになります。ただ、瑕疵担保責任は買主が個人の場合のみ発生し、買主が宅建業者の場合には瑕疵担保責任はありません。買取は、宅建業者である不動産会社が買主になるため、瑕疵担保責任がなく、引渡後のリスクが小さいという点もメリットと言えます。

買取のデメリット

一方、買取には以下のようなデメリットもあります。
  • 相場より安い価格になってしまう
  • 信用できる業者を見分ける必要がある
特に、価格が下がるという点は、買取の大きなデメリットです。先ほどのメリットと今回のデメリットを比較して、どちらを優先するべきかを考えてから判断しましょう。

相場より安い価格になってしまう

上述したように、不動産会社は買い取ったマンションを転売します。そのまま転売することもありますし、事前にリノベーションなどすることもあります。いずれにしろ、相場より安く買い取らないと転売するのが厳しくなってしまうのです。

マンション買取に伴う費用

たとえば、相場価格が2,500万円のエリアだったとします。不動産会社がこのマンションを買い取ると、以下の費用がかかってきます。
  • 不動産取得税
  • 固定資産税(年間の所有期間分)
  • 登記関係費用
  • 融資関係費用(融資を受けたとき)
  • 人件費
上記の金額は物件価格やエリアによっても異なるので一概には言えませんが、少なくとも数十万円はかかると考えられます。

マンション売却に伴う費用

買い取ったマンションを売却するときには、以下の費用がかかります。
  • 広告費用
  • 仲介手数料(仲介会社を利用したとき)
  • リノベーション費用(リノベーション費用)
  • 人件費
仮に、仲介会社を利用しないで、リノベーションもせずに転売するとしても、広告費用だけで相当な費用になります。つまり、相場金額未満で買い取ると上記の費用と前項で解説した費用がかかり、これに会社の利益を上乗せすると、エリアの中で圧倒的に高い物件になってしまうということです。そのため、買取価格は一般的には相場価格の7~8割程度の金額になります。つまり、相場3,000万円のエリアであれば、2,100万円~2,400万円程度まで価格が下がるということです。この点が、買取最大のデメリットと言えます。

信用できる業者を見分ける必要がある

もう一つのデメリットは、信用できる不動産業者を見分ける必要がある点です。通常の仲介のときにも、不動産会社の見極めは重要ですが、買取は以下の理由で、不動産会社の選別はより重要と言えます。
  • 買取価格が安いため
  • 買取をしている不動産会社は多くないため
前項のように、買取価格は相場より安くなるため、不動産会社によって金額に100万円以上の差が出ます。信用できない不動産会社だと、相場を遥かに下回る金額で買い取り交渉してきます。また、買取を行っている不動産会社は、仲介を行っている不動産会社よりも少なくなるため、仲介よりも少ない母数の中から選別する必要があり、信用できる不動産会社を見極めるハードルは上がります。買取を行う場合には、仲介のとき以上に、なるべく多くの不動産会社に査定依頼しましょう。その中で、買取金額が高く、最後まで滞りなく手続きしてくれそうな、信用できる不動産会社を選ぶのが重要です。

買取に向いている物件

では、最後に買い取りに向いている物件はどのようなものか紹介します。売主の意向もあるので一概には言えませんが、以下のような物件は、買取の方がメリットは大きい傾向にあります。
  • 築年数が極端に古い
  • 駅からの距離が遠い
  • 生活しづらい間取り
上記に当てはまる場合は、仲介よりも買取の方が良い可能性は高いものの、物件によっても異なります。そのため、あくまで参考程度に理解しておき、必ず物件個々で判断しましょう。

築年数が極端に古い

築年数が30以上経っているマンションは、買取の方が良い場合が多いと言えます。マンションの劣化具合にもよりますが、築30年を経過しているマンションの査定額は極端に低くなります。当然ですが検討する人が少なくなるからです。しかし、築30年以上の築古物件でも、リノベーションすることで資産価値を高めることができます。そのため、リノベーションして転売することを前提とした買取業者が、高い金額で買い取ってくれるかもしれません。

駅からの距離が遠い

また、駅から徒歩15分以上の、いわゆる駅遠物件も買取の方が良い場合があります。中古マンションの検討者は、エリアや広さなどで物件検索をしますが、それ以外にも駅距離はほぼ必ず条件に入れられます。最近では、ネットで検索をするときに、徒歩3分・5分・7分のように小刻みに徒歩分数の設定ができるくらい、徒歩分数は重要な要素です。その中で駅遠物件は需要が少なく、集客に苦戦することは目に見えています。そのため、売り出してもなかなか売れず、売れない期間分、またマンションが劣化していきます。その点を考えると、買取をしてもらった方が逆に高く売れるかもしれません。

生活しづらい間取り

さらに、以下のように生活しづらい間取りも、買取の方が良い場合があります。
  • 家具配置のしにくい部屋の形
  • 設備、仕様が極端に古い
  • 断熱性など性能が悪い
このような物件は、「集客はできるかもしれないが成約しない」典型例です。間取りは実際に見てみないと分からないので、もしかしたら集客はあるかもしれません。しかし、実際に間取りを見て「生活しづらい」と思ったら、検討を取り止める人がほとんどです。ただ、間取りが悪くてもリノベーションすることで改善し、高く売れるかもしれません。そのため、リノベーションを見越した不動産会社であれば、そこそこの金額の買取価格になる可能性があるということです。

まとめ

このように、マンションの買取はメリット・デメリットがはっきりしています。そのため、最後に解説した「買取に向いている物件」を参考に、自分の物件はメリットの方が大きいかどうかをチェックしましょう。その上で、メリットの方が大きければ、買取を選択してもいいかもしれません。>>>そもそもマンションを売却するべきか、賃貸に出すべきか迷っている方はこちらをお読みください
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マンションジャーナル編集部

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