【中古マンション売却】購入希望者の価格交渉にどう対応するべきか?

2017.10.13
【中古マンション売却】購入希望者の価格交渉にどう対応するべきか?
売却活動を経て、念願の購入希望者が現れた! 嬉しい反面、売主が頭を悩ませてしまうのが、「値引き交渉(指値交渉)」です。受けるべきなのか、断って他の顧客を探すべきなのか、しかし他の顧客が現れなかったら、と売主が判断を迷うポイントだと思います。そのため今回はこの「値引き交渉」にスポットを当てて話したいと思います。

価格交渉の頻度

売却査定をした際に不動産仲介会社から言われることも多いのですが、値引き交渉は「ほぼ100%」入ります。自分が購入したときも価格交渉をしたという人も多いのではないでしょうか。物件の中には値引き交渉をせずとも売れていくものもありますが、それは相場よりも誰が見ても安い物件、あるいは人気の高いマンションやほとんど売りに出ない稀少エリアでの物件が好条件で売りに出た場合です。それ以外の物件は多かれ少なかれ値引き交渉は入ります。交渉を受ける、受けないはもちろん売主の自由ですが、結果的に売れなかった場合、販売価格を下げざるを得ない状況になるため、ある程度の値引きは受けた方が得策です。特に、販売開始から3ヶ月の間(媒介契約更新の時期)が決め時です。>>>そもそもマンションを売却するべきか、賃貸に出すべきか迷っている方はこちらをお読みください

価格交渉のケース

前項である程度の価格交渉が入るのは理解していただけたと思います。では今度は実際にどのような交渉が入ってくるのか、具体例を交えて説明していきます。

端数を値引き

これが一番多い交渉です。端数というのは10万円単位の部分のことを言います。例えば4,780万円で販売していたら、端数に該当する80万円の部分を値引きして4700万円で購入希望を出す、といった形です。そのため端数は値引きされると思っていた方が良いと思います。中にはそれを把握し、端数を小さく30万円、50万円と設定をする方もいます。ただし端数を10万などの少額にした場合は逆に100万円単位のキリのよい数字の値引きを言われることが多いので、端数は50万以上にした方が得策です。

中間をとる

100万円以上の大きな値引きを受けた場合、双方中間地点で折り合いをつけるという方法も多く見られます。例えば販売価格が3,580万で購入希望価格が3,400万で入ってきたとします。値引き額は180万円ですが、ここで180万の中間地点である90万円を値引きする形で話をまとめ、3,490万円で売却するというようなケースです。売主も買主も同じ金額を歩みよった形となるため、気持ちの面も含めてスムーズに交渉がまとまることが多いです。>>>マンションを早く、高く売るテクニックとは?

リフォーム代負担

最近、リノベーション物件が増えてきた影響もあって「値引き」でなく、「売主が費用を負担してリフォームをする」という値引きの形も増えてきました。例えば「全室クロス、水回りの水栓金具交換、コンロ交換、クリーニングで50万円」この分は売主が負担、それ以外の追加項目や50万円を超える分に関しては買主負担にするという形です。この場合、契約書と別に覚書書面で内容を記すことが多く、費用の支払時期に関しても残金決済後に行うのが一般的です。ちなみに価格交渉の理由が「一部リフォーム(軽微なもの)のため」だった場合、売買金額の値引きよりリフォーム費用負担の方が売主にとっては得になるケースが多いです。なぜかというと、リフォームのための価格交渉でもとりあえず端数を値引きしようと考える買主が多く、購入申込の際に正確なリフォーム見積もりまで取るケースが少ないためです。実際、端数だと80万値引きをするところが、リフォームの負担を提示して50万円で済んだということもあったので、このように「値引きの代わりにリフォーム費用を売主が負担する」という方法もあるということを念頭に置いておくと良いと思います。

当初の価格設定とスムーズな対応が大切

最後は価格設定と売主側の対応についてです。まず、最初に販売活動を行う際の価格についてですが、ここまでの話の通り交渉が入らないことはほぼないため、ある程度の値引きを前提にした販売価格設定をおすすめします。ただし、その設定も闇雲に高く出せばいいというわけではありません。相場より高すぎると交渉どころか案内も入らなくなります。周辺の対抗物件を把握し、最低限「端数分」は値引きされることを踏まえた価格設定を考えるのがベストです。また、築年数が比較的新しい物件については、新築物件と比較されることが多いので注意してください。なぜかというと新築は中古とは比べものにならないくらい値引きの幅が大きいからです。特に新築マンションと新築戸建の多棟現場は販売価格の1割、売れてないものだとそれ以上の値引きができます。そういった物件を見てきている方は、中古もそれくらい値引きができるものだと思っているケースが多いです。また、表立って販売価格を下げているわけではなく、各顧客に個別で値引き対応をするため、知らず知らずの間に対抗物件になってしまっていることもあります。もし売却物件の近くに新築がある場合は事前にリサーチしておくと良いかもしれません。なお「この話を読んでもどうしても交渉は受けたくない!」という方は「相場より安い価格で販売をかける」しか方法がありません。査定金額より数十万下げるだけでは変わらないので、数百万単位で下げる必要があります。ただ、下げてしまった価格を上げることはできません。本当にそれでいいのかをよく考えた上で販売を開始してください。購入の意思と交渉が入った後は、なるべく早めの返答を心がけて下さい。こちらが迷っている間に、買主が他の物件に心がわりしたり、新規物件が売りに出されたり、追加で交渉が入る場合もあります。「鉄は熱いうちに打て」は不動産でも同じです。交渉を受ける、受けない、という返答でなくても「このラインまでだったら話を進めたいが買主はどうか?」といった譲歩案でも構いません。まず何かしらのレスポンスをすることが有効です。またこのとき「一度伝えたことを撤回するのは困難だ」ということも覚えておいてください。たまに「当初端数値引きするっていったけど、よくよく試算したらそれだと困るからやっぱり〇〇万の値引きにして」と条件変更をしてくる方がいます。これは買主の心証に大きく影響するので、せっかくの話がダメになる確率が高いです。話は「早く」「固く」が鉄則なので、その点は注意してください。

まとめ

今回は価格交渉にスポットをあてて話しました。価格の交渉が入るということは、その物件を気に入って購入したいという方が現れた証拠です。値引きしてほしいなんて厚かましい! と思う方もいるかもしれませんし、交渉事もなく決まれば売主側としてはベストだということは分かります。ただ、買主にとっては初めての不動産購入であることが多く、また「大きなお買い物」であることに間違いありません。その点は「不動産購入の先輩」として買主の気持ちも汲んでいただければと思います。双方無理のない範囲で歩み寄り、気持ち良くスムーズに交渉を成立させてください!
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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