【住宅ローン問題解決のプロに聞く】中古マンション購入における資金計画・事前審査の重要性とは

2017.09.13
【住宅ローン問題解決のプロに聞く】中古マンション購入における資金計画・事前審査の重要性とは
今回、NPO法人住宅ローン問題支援ネットの代表として、住宅ローンに関する様々な問題を抱えた方々の支援を行なっている高橋愛子様に、「低金利で住宅ローンが借りやすい今だからこそ、改めて意識しておきたい資金計画・事前審査の重要性」についてカウルのコンサルティングセールス谷が対談させて頂きました。これから中古マンションを購入する方にとって非常に有益なアドバイスが随所に散りばめられています。

「低金利だから買い時」は本当か?

:「現在、史上最低レベルの低金利となっていて住宅ローンが非常に借りやすい状況です。世間ではまたとないマンションの買い時!とも言われていますが、その点について高橋様はどのようにお考えでしょうか?」高橋さん:「金利が下がっているのは確かですが、それと同時に物件金額は上昇しています。中には、分譲時よりも高い価格で取引されている中古マンションもあるくらいですからね。低金利なので、住宅ローンが借りやすいですが、そこであえて固めに資金計画を行うことが求められていると言えます。」:「中古マンションは、定価が決まっている新築マンションと違って売主さんが主に周辺の物件の成約価格を参考に売り出し価格を決めるので、分譲時よりも価格が高くなってしまうということはありますよね。今だと、年収の8倍くらい借り入れが可能なので、サラリーマンでも億ションに手が届く時代です。」高橋さん:「そうですね。この金利だと、身の丈以上の中古マンションにも手が届くので、普通は購入したくなりますよね。やはり、低金利の影響を受けて中古マンションを「今」買いたいという熱量の高いお客様が多いのではないでしょうか?」:「多くいらっしゃいますね。いい中古マンションは本当にすぐ売りきれてしまいます。そんな中で、住宅ローンの事前審査を行い、お金周りをある程度固めてから内覧してくださるお客様は、心から欲しい物件を購入することができていますね。高橋さん:「事前審査、本当に大事ですよね。同時にお客様にすごくお勧めしたいのは、これから迎えるライフイベントから逆算してどのくらいの価格の住宅を購入するべきかを優秀なFPさんにアドバイスを求めて把握することですね。実際に、物件探しはとても楽しいのでそこから入ってしまうと、もっと大事なお金の問題について適当になってしまうケースが多いです。資金計画は、どうしても複雑な計算が必要になるので、個人でやろうとすると限界があります。例えば、1時間のコンサルティング料1万円を支払い、結果的に数百万円も得をする場合もよくあります。ここでキラキラした世界だけを見て、リスクを考慮しておかないと、支払いに苦しむ可能性も大いにあるわけです。誰も自分がローンの支払いが厳しくなるなんて予想しないですからね。」:「そうですね。中古マンションは購入申込書を出すスピード順に交渉権の順序が決まるので、やはり事前審査を受けている人は契約からお引き渡しまでの流れを比較的スムーズに行う事ができますね。」

住宅ローンの支払いができなくなる理由

:「住宅ローンの支払いがきつくなる理由は、
  1. ほとんどよく考えずに購入してしまった
  2. 考えて住宅ローン選びをしたが諸事情で支払いがきつくなった
という2通りのタイプがあると思うのですが、高橋さんとの相談にいらっしゃる方はどんな方が多いでしょうか?」高橋さん:「本当にいろいろな方がいらっしゃいますね。特に若い方で住宅ローンが破綻してしまう原因で、「離婚」は本当に多いです。あとは、転職して年収が下がってしまった場合などですね。」:「なるほど。特に離婚が原因のケースは、ペアローンなど共有名義でローンを組んでいると後々すごく複雑になりそうですね...」高橋さん:「そうですね、共有名義はリスクが高いです。最悪の場合、競売にまで追い込まれてしまうケースもあります。 しかし、離婚に関しては、購入前に全く予測が出来ないですよね。事前に対策の取りようがありません。ですから、とにかくオーバーローン状態(物件価格の価値よりも、残債が多い状態)にならないように身の丈に合ったプランを立てることが本当に重要なんです。何か特別な事情があった時も対応できるくらいに事前に貯金しておかないといけません。旦那さんの年収だけでは購入できないが、とても欲しい物件があった場合にペアローンなどでなんとかやりくりして身の丈以上の物件を購入するのであれば、そのようなデメリットを必ず考慮する必要があるでしょう。たとえば、新築マンションを購入するのであれば、デベロッパーの利益相当価値が下がることもあるので、せめて頭金は約2割以上は出しておきたいものです。:「ちなみに、高橋さんに相談しにいらっしゃる方は実際に、住宅ローンの支払いがきついなと思ったらすぐに来られる方が多いのですか?」高橋さん:「これも様々ですね。手遅れ状態の方から、きつくなった初期に来られる方もいらっしゃいます。相談は早ければ早いほど、私からもいろいろな打ち手を提案することができます。 実際に、自己破産覚悟で私のところに相談にいらっしゃった方で、借り換えが出来たおかげでかなり返済額を少なくできたという事例もあります。 」

住宅ローンの借り換え

:「なるほど。私自身、借り換えを見通した上で賢く住宅ローンを借りる方ってかなり少ないイメージです。」高橋さん:「そうですね、借り換えを積極的に計画できる方は、本当に少ないですね。大多数の方は、今どのような条件で返済を行なっているか正確に把握していないと思います。借り換えがお得であることに気づいて借り換えをする方の中のほとんどは金利が0.xx%!などの広告経由です。理想は、ご自身で判断して借り換えをすることですが、実際によくわからない方も多いと思います。そこで提案したいのは、転職や出産など、ライフイベントがあった時に借り換えの相談をしてみる事ですね。」

どうすればお金の不安を解消できるか?

:「やはり住宅ローンってなかなか個人で判断するのって難しそうですね...」高橋さん:「たとえば、不動産会社がFPさんと提携してお願いすると、お客様から不信感を抱いてしまいまう可能性もありますよね。グルなの?みたいな(笑)。不動産会社としては、お客様のためによかれと思ってもそうお客様に感じてもらえる保証はない。私は、NPO法人住宅ローン支援ネットの代表として住宅ローンに関する問題を抱える方々の支援を行っていますが、究極的には破綻者がいなくなることがゴールです。もっとも、上流である「購入時点」で防げれば一番みんながハッピーです。」:「我々としてもいろいろとお客様のお金のサポートに関して考えています。たとえば、我々法人でフィーを払ってFPさんに講演をして頂き、住宅ローン相談会を開催し、そのあとはお客様それぞれの判断で自由にFPさんのサービスを利用するという形は不信感を持たれないかななんて考えていますね。」高橋さん:「なるほど!そういった方法であれば、不動産会社がFPを抱えるよりも不信感を抱く方は少なくなるかもしれないですね。」:「物件のプロであることはもちろん、お金周りのサポートも弊社のサービスにどんどん組み込んでいけたらと思います!本日は、貴重なお話ありがとうございました!」取材協力:高橋愛子様NPO法人住宅ロ-ン問題支援ネット代表理事 高橋愛子様
宅地建物取引士、住宅ロ-ンアドバイザ-、ファイナンシャルプランナー、不動産コンサルタント。日本大学卒業後、小さな不動産賃貸会社に入社。5年間店長として賃貸管理業、賃貸仲介業を行う中、自宅が競売となり強制執行寸前のお客様との出会いがきっかけで通常の売買以外に「任意売却」という方法があること、「任意売却をすれば競売を回避でき、債権者と債務者にとってメリットがある」ということを知り、任意売却の専門家としての道を歩むことを決意する。2007年2月に任意売却を専門とした不動産コンサルティング会社を設立。任意売却の業務をしていく中で、売却以外にも住宅ロ-ンに関する様々な問題を抱えている方や、悩んで苦しんでいる方の多さを知り、全国無料相談窓口「NPO法人住宅ロ-ン問題支援ネット」を設立。年間300件以上の相談業務を行っている。TV,雑誌等の取材、宅建協会、商工会議所、FP継続教育セミナー、一般企業、団体等での講演実績多数あり。
著書(4冊)
  • 「任意売却ってご存知ですか?」(ファーストプレス社)
  • 「住宅ロ-ンが払えない!と思ったら読む本」(PHP研究所)
  • 「老後破産で住む家がなくなる!あなたは大丈夫?」(日興企画)
  • 「離婚とお金 どうなる?住宅ローン!」(プレジデント社)
住宅ローン問題支援ネット(外部サイト)一般社団法人不動産ビジネス専門家協会(外部サイト)
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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