マンション売却で意識したい注意点を不動産のプロが解説!

2017.08.31
マンション売却で意識したい注意点を不動産のプロが解説!
「住み慣れたマンションを売りに出すことになった。準備を始めてみたけれど、ややこしい・・・一体、どこに注意をすればいいの?」
人生でなんども経験することでもないため、マンションの売却は誰でも不慣れなもの。とはいえ、経験が重ねにくいものである一方で、失敗ができないのもマンション売却です。この記事では、マンション売却にあたっての意識したい注意点を流れに沿って解説します。>>>「マンションを売る」手数料が半額に!お得な不動産サービスとは?

マンション売却の流れとは

一般的に、マンション売却は次のような流れで進みます。
  1. 査定
  2. 媒介契約
  3. 売り出し
  4. 見学
  5. 購入申込
  6. 売買契約
  7. 決済と引渡し
戸惑わないように、まずはどのような手順で進んでいくのかというイメージを持っておきましょう。より詳しくマンション売却の流れについてチェックしたい方は以下の記事をご覧ください。>>参考記事:マンション売却の流れと注意点を専門家が徹底解説!【保存版】

そのマンション、本当に売った方が良いでしょうか?

「いきなり何・・・?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。でも、ここが実は重要なポイントの一つです。マンションの売却は想像以上にストレスを伴います。通常、売却にかかる期間は3ヶ月、長いと半年以上かかります。その間、休日は掃除をして、見学対応をして、売却を最優先にスケジュールを調整して・・・など、手間も時間もかかります。実は賃貸でマンションを資産として運用した方がいいケースもあり得ます。本当に売却すべきかどうか理由をよく整理し、考えることも必要です。>>参考記事:マンションを売却するか賃貸に出すかの判断基準とは?

価格査定は妥当ですか?

マンションを売却するにあたってまず行なうことは、お部屋の査定です。マンションの査定方法はいくつか方法がありますが、居住用マンションのほとんどのケースでは「取引事例比較法」によって査定されます。「取引事例比較法」とは、近隣の取引事例を元に価格を算出するものです。ここ1〜3年の間に取引をされたデータを元に、いくらぐらいで売却できそうか算出していくのです。かつては営業マンの感覚で電卓を叩くやり方で価格を算出していた時代もありましたが、現在ではほとんどの会社に「査定マニュアル」が存在します。不動産査定に特化したツールなども数多くあり、システマチックに机上査定がなされます。主観性を排除した机上査定が行われた上で、その後実際にお部屋を訪問した際に室内の保存状況や周辺環境などを確認。「システムでは算出できない強み・弱み」を考慮した上で、最終的な売出価格が不動産会社から、提示されます。

高すぎる査定金額には要注意

価格金額は各社によって多少のばらつきはあります。が、まれに、「高値で査定額を出せばとりあえず媒介契約はもらえる。売れなければ後から値下げしてもらおう」という思惑で明らかに高値での査定金額を提示してくる業者があります。こうした業者は要注意です。彼らを避けるには、まず何よりも売り主自らが「自分の物件を売ればどれくらいの金額が妥当なのか」=相場 を知っておくことが、一番大事です。>>参考記事:マンション売却価格の決め方とは?相場と査定の考え方を解説

販売期間の長期化は「売れ残り」を招く恐れも

また、誰でもできる限り高い金額で売却したいというところではありますが、適正な価格設定を行わないと売却に時間がかかってしまう要因になります。早く売却しなければならないのか、それとも金額に妥協せずゆっくり売却する時間の余裕があるのかというご自身の状況も加味する必要はありますが、売却に時間がかかっていると「売れ残り物件」だという印象を持たれてしまうこともあります。こうなると大変売りづらくなってしまい、かえって値下げをしなくてはならなくなる可能性もあります。販売期間の長期化は避けなければなりません。

信頼できる不動産業者を選びましょう

マンション売却は、基本的にはお願いした不動産業者がお客さんの案内から引き渡しまでコーディネイトしてくれるため、売主側がすることは限定されます。不動産業者にお願いすることが多い分、こちらの要望を把握し、売却をサポートしてくれる信頼できるパートナーを探したいものです。不動産業者を選ぶ際に着目する大きな点としては、次の2点です。

査定に根拠はありますか?

2社以上の不動産業者に査定を依頼した時に、「高い金額を示してくれたからきっと他の会社より高く売却してくれるに違いない」という理由で選ぶのはNGです。査定金額はその金額で必ず売れるというものではありません。先述したように、とりあえず媒介契約をもらおうと高値での査定金額を提示してくる業者も存在します。しっかりと根拠のある提案であって、その提案(戦略)に対する考え方や希望の売却活動の形に納得がいくのであれば、問題ありません。ここは売主さんご自身が判断できるように、相場を把握し、「なぜこの金額なのか?」と質問を返せるような素地を作っておきましょう。

相場の調べ方

相場は不動産会社でなく一般の方でも、ご自身で調べることができます。注意すべきなのは、販売価格と成約価格の間にはギャップがあること。 販売価格(売り出し価格)とは、売主が「この値段で売りたい」という希望価格。実際にその価格で売れる(売れた)とは限りません。 また、値下げ交渉が入ることを想定して高く設定していることも可能性も十分ありえます。そのため、正しく相場を把握するためには、特に「成約価格」に着目しましょう。成約価格を調べるのは「レインズ」で、現在売り出されている物件価格や過去の売り出し価格は、ポータルサイトや各種WEBサービスで調べることができます。

レインズを使って調べる

調べ方の一つが、「レインズ マーケットインフォメーション」です。不動産会社は「レインズ」というシステムを使って、不動産情報を共有して業務を行なっています。レインズは一般の人には閲覧不可ですが、その情報の一部が公開されています。それが「レインズ マーケットインフォメーション」です。知りたいエリア、路線、駅からの徒歩分数、広さ、築年数などの条件で検索をかけられます。 過去の成約事例のみで現在の売り出し物件は見られない、マンション名などの細かい情報までは知ることができないなど限定的ではありますが、自分の検討状況に近しいマンションの過去実績を調べることができます。

囲い込むことなく売却活動をしてくれますか?

また、一番手強いのが「囲い込み」をされてしまうことです。売主は、売却を任せる不動産業者を決めたのち、媒介契約を締結します。不動産業者は、専属専任媒介もしくは専任媒介契約後に、不動産会社のための物件情報データベース「レインズ」に物件の情報を登録することが義務づけられています。そのため基本的には、世の中の全ての不動産会社にあなたの売却物件の情報が行き渡り、不動産の情報がしっかりと行き渡るようになっています。そのため、レインズに登録されていれば、他社の不動産営業マンがマンション探している買い手を連れてきてくれる可能性が十分あるはずなのです。しかし中には、他の業者から「このマンションを買いたいお客様がいる」と問い合わせがあった場合に、「すでに申し込みが入った」などと虚偽を言い、物件の紹介を止めてしまう業者がいます。これを「囲い込み」といいます。囲い込みが起きるのは、買主を自分で探してくることができれば、売主と買主の双方から仲介手数料をもらえるからです。たとえば、150万円の仲介手数料とした場合、売主・買主双方からであれば、300万円の収益をあげらることができます。囲い込みは売主にとてつもない不利益をもたらす為、法律で禁止されています。

囲い込みをする不動産会社かどうか見抜く「広告の掲載許諾」

囲い込みをする不動産会社かどうかは、どうやって見抜けば良いのでしょうか?一番簡単な方法は「レインズで広告掲載許諾を出してください(「可」にしてください)」と不動産会社に依頼することです。レインズとは、不動産会社同士が、物件情報を交換するための専用サイト。公益社団法人によって運営されています。不動産会社は個人にとって大切な財産である「不動産」の売却依頼を受けているので、不動産情報をレインズ上でしっかりと交換し、いち早く買主を見つける事が義務づけられているのです。囲い込みが横行していた時代は、このレインズにそもそも掲載しないという不動産会社も見られました。最近ではさすがにそのレベルのことは少なくなりましたが、いまだに多くの不動産会社がやっているのが「他の不動産会社に広告活動をさせない」という行為です。売主の立場からすると、色々な不動産会社に広告をしてもらい、より多くの買主に物件の存在を知ってもらうことで成約の可能性が一気に高まります。当然ながら、広告してもらった方が早く高く売れる確率も上がります。しかし不動産取引の慣行上、なぜか他の不動産会社が広告をして良いかどうかは「売却の依頼を受けた不動産会社」が決められるようになっています。売却の依頼を受けた不動産会社が、レインズ上で「広告の掲載許諾(広告転載部分)を【不可】」と入力すると、他の不動産会社は一切広告をする事ができません。囲い込みをする様な不動産会社は、この掲載許諾の欄を必ず【不可】にしています。レインズの「広告転載部分」の項目には
  • 広告可
  • 一部可(インターネット)
  • 一部可(チラシ・新聞広告)
  • 広告可(ただし要連絡)
  • 不可
の5つの選択肢があります。「一部可(チラシ・新聞広告)」などでは意味がないので、必ず「広告可」にしてもらうようにしましょう。

買主側の視点に立ちましょう

さていよいよ内覧。ここでぜひ意識していただきたいのが、購入する側の立場になって「買いたいと思うだろうか?」という視点で準備をすることです。内覧はいわば決戦の場。購入検討者が内覧した際に、選ばれるお部屋でなければなりません。「明るそうだな」「思った以上に広いな」「ちょっと暗いかも・・・」「あまりくつろげなさそうだな」等々、第一印象決まってしまう部分は大きいもの。お客様をお迎えする気持ちで用意をし、家が散らかっている、掃除がきちんとされていない、臭いが気になるなど、ネガティブイメージをつけてしまうことは避けましょう。また、リフォームをした方がいいかと迷われる売主さんも多いのですが、リフォームは基本的には必要ありません。むしろ自分でリフォームする前提で購入物件を探している人も多いため、リフォームをしてしまうと「好みじゃないな・・・」「リフォーム費用が乗っかっているなら、リフォーム前物件の方がよかった・・・」とマイナス評価になってしまうことも。リフォームする場合は、印象をよくするための壁紙交換程度で十分でしょう。>>参考記事:マンション売却でリフォームは必要?売却に関わるリフォームの疑問にプロが答えます

設備の故障は買主に伝えましょう

売主側は、設備の状態を正確に買主さんに伝える必要があります。築年数が経っていれば、設備の劣化は致し方ないことです。壁紙やフローリングの汚れ等、目に見えるところは買主側も確認できますが、設備の不具合などは分かりません。ガスコンロや給湯器など、使用していて異常が見られる場合には、買主さんにお渡しする付帯設備表に記載し、引き渡した後に故障した場合、どのような対応になるか双方で合意しておく必要があります。不具合などを何も伝えておらずすぐに故障してしまった場合は、売主側の責任として修理や交換費用が発生してしまうことも。売却する際に一切責任は負わないという条項を契約に入れてもらうことも可能ですが、買主側にはよい印象を与えません。また、エアコンや照明を「残置」として、故障しても責任を持たないとしたうえで譲ってしまう場合もあります。しかし使わなかったり実際に故障した場合は、買主さん側にその後の撤去費用もかかってくるため、基本的には残置にはしない方が良いでしょう。なお、火災・地震等で部屋に住めない状態となってしまった場合、引き渡し前であれば、買主は契約を解約することが可能です。このことも念のため覚えておきましょう。

申し込み内容を精査しましょう

購入の意志を固めると購入申込書が買主さんから提出されます。購入申込書には、
  • 購入価格
  • 手付金
  • 残代金
  • 融資利用
  • 契約締結予定日
  • 引き渡し希望日
などが記載されています。購入申込書の内容によっては、お断りした方が良い場合もあります。では、どのようなところに注意して申込書を見れば良いのでしょうか。

確実に購入できるのか

購入申込書には、必要最低限の情報しか記載されていません。そのため相手が確実に購入できるかどうか、特に金銭面に関しては不動産会社に確認する必要があります。自己資金がどのくらい用意できるのか、また、住宅ローンの審査が通りそうかといった、申込書だけでは判断しにくい部分はきちんと確認しましょう。

引き渡し希望日はいつか

契約締結予定日は早いものの、引き渡し時期を半年以上先に希望される方も時々いらっしゃいます。契約時に手付金は支払われますが、残代金の支払いは、引き渡し時です。手付金を全額放棄すればその契約は解約できるので、引き渡しまでの間に心変わりや状況の変化などで購入しないという事態になったらまた一から買い手を探さなければなりません。手付金を多く支払ってもらうことで解約するリスクは軽減できるかも知れませんが、そういった心配を抱えるよりは、なるべく早めに引き渡せるようにした方が良いでしょう。

まとめ

マンションの売却は、個人で段取りするのはなかなか難しいものです。買主側は当然できる限り安く良い条件で購入したいと考えており、正面から利害が衝突してしまうため、当事者同士の交渉は避けた方が無難です。信頼できるプロの不動産会社にお任せしつつ、スムーズに売却ができるようご自身でも情報を集めるなど準備を行ない、売却活動を担当営業マンとともに乗り越えていただければと思います。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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