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空き家問題の現状と考えられる解決策とは?

空き家問題の現状と考えられる解決策とは?

近頃ニュースで取り上げられることが多くなってきた空き家問題。平成26年度には政府が「空き家対策の推進に関する特別措置法」を制定してガイドラインの作成と財政上の措置実施、各自治体での体制整備を促すなど本格的に取り組む姿勢を見せています。空き家の数は、人口減少が拍車をかけて今後も増加の方向に向かうことは確実です。野村総合研究所の推測では、2030年ごろには2,000万戸を超える空き家が生じる可能性があるとのシュミレーション結果が出ています。

野村総合研究所:2030年の住宅市場 

「空き家」と聞いてイメージするのは、田舎でボロボロになった一軒家という印象かもしれませんが、都市部やマンションも深刻な空き家問題に直面しています。都市部といっても日本の場合は意外に昔ながらの住宅地と新たに開発された地域とが混在しているエリアも数多く存在しているため、都市部のきれいな建物が並ぶ通りから一本横道に入ると、居住実態が怪しい家に出くわすこともしばしばです。

また、マンションもすでに相当な数のストックがある状況となっていますので、築年数が相当に古いマンションや立地条件などが悪いマンションについては、なかなか需要がなく空き家となるケースも生じています。また、自らが所有していなくとも親からの相続などである日突然半強制的にこの空き家問題に巻き込まれることもあります。

そのような空き家問題について、現状と問題の原因の把握をしつつ、もしご自身が空き家問題に巻き込まれた場合の取るべき打ち手についても解説していきます。

空き家問題の現状

まずは、国が調査した統計データなどから現状をなるべく正確に理解しましょう。

空き家問題グラフ-1出典:総務省・住宅土地統計調査

平成10年(1998年)の空き家総数と空き家率を見ると、住宅全体のストック数が約5,000万戸であるのに対して空き家の数は約580万戸。割合にして11.5%でした。これが5年後の2003年(平成15年)になると、住宅全体で約5,400万戸のストックに増えた一方で空き家の数も約660万戸、割合にして12.2%に増加してしまっています。直近の調査結果が出ている2013年(平成25年)には、約6,000万戸まで増えた総住宅ストック数に対して、空き家は約820万戸、13.5%と着実に増加の傾向を見せています。概ね年間15~16万戸ペースで空き家が増え続けている状況です。

ただし、これは一般的な持ち家だけではなく別荘などの「二次的住宅」や賃貸または売却のために空き家になっている住宅も含んでいるため、実態をより正確に把握するためには内訳を詳しく見る必要があります。

空き家問題グラフ-2出典:国土交通省・平成26年度空き家実態調査

内訳のうち常に多くの割合を占めるのは「賃貸または売却用の住宅」です。2003年(平成15年)の統計以降は「賃貸用」と「売却用」でさらに内訳を細かく調査していますが、「売却用」の空き家はどの調査時点でも1割に満たないため、ほとんどが「賃貸用」の空き家となっています。割合自体は1998年(平成10年)時点で61.1%あったものが2013年(平成25年)で56.1%に減少していますが、ストック数自体は約350万戸から460万戸へと100万戸以上増加しています。

別荘などの「二次的住宅」は内訳の中で唯一割合・ストック数とも減少傾向にあり、1998年(平成10年)の約41.9万戸(7.3%)から2013年(平成25年)の約41.2万戸(5.0%)へと微減しています。バブル期の別荘・リゾートマンションブームが崩れた今となっては、少なくとも大きく増えることは当面ないでしょう。

割合として最も増えているのは「その他の住宅」です。分類名としてはその他になってしまいますが、近年注目されている持ち家の空き家はここに該当します。15年の間に割合にして31.7%から38.8%へ増加。ストック数では約180万戸から約320万戸へと1.7倍以上も増加しています。

では、これらの空き家はどこで発生しているのでしょうか?

割合でいえば、住宅流通量の少なくなる地方部が多いのですが、東京都においても80万戸以上の空き家が発生しており、過半数の50万戸以上は鉄骨造または鉄筋コンクリート造の共同住宅、つまりマンション等です。大半は賃貸用のマンションではありますが、「売却用」で約3万戸、「その他」で約5万戸と、分譲マンションにおいても空き家が相当数あることが伺えます。

また、どのような経緯で空き家を取得したのかということについては、国土交通省が行った平成26年空家実態調査によると、過半数の56.4%が「相続した」という理由でした。親とは別の場所で自宅を購入するというのはごく一般的なケースですが、親が高齢化してくると、空き家問題も他人事ではなくなるのです。

空き家問題の原因

なぜこれだけ空き家が増加するに至ったのでしょうか。毎年新築される住宅の戸数と、滅失戸数(解体や災害等によって無くなる住戸)を見るとその原因が見えてきます。

空き家問題グラフ-3

国土交通省調査による住宅新設着工戸数は、リーマンショック以前の毎年100万戸超えの供給量から近年では多少減ってはいるものの、いまだに80万戸~90万戸程度が供給され続けています。それに対し滅失戸数は2000年(平成12年)ごろまでの毎年20万戸程度から近年では10~12万戸程度に落ち着いてきています。差し引き70~80万戸程度の住宅ストックが増え続けていることになります。

1998年(平成10年)から2013年(平成25年)までの15年間で、住宅ストック数(新設住宅着工戸数-滅失戸数)は1,500万戸近く増加していますが、国勢調査によるとその間に増えた世帯数は約800万世帯にとどまります。世帯数の増加をはるかに上回るペースで、住宅ストックが増加しているということになります。

それでは、中古住宅の流通はどのような状況なのでしょうか。よく言われる話ですが、日本では中古住宅の流通が欧米諸国に比べて圧倒的に進んでいません。アメリカやイギリスでは住宅流通に占める中古住宅の割合は8割から9割近くにまで達するのに対し、日本ではわずか1割程度にしかなりません。ほとんど「家を買う」=「新築する、新築の家を買う」という図式になってしまっています。

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空き家が引き起こす問題

ここまででなんとなく「空き家が増えて大変」ということは分かっていただけるかと思いますが、より具体的に空き家が増加することで引き起こされる問題を考えてみましょう。

  • 景観を損なう】街の価値を決める要素の一つに「景観」があります。趣のある古い建物なら良いのですが、ボロボロな空き家があると当然ですが印象は良くありません。行政・民間を問わずまちづくりも景観を意識するのが当たり前となった現代では、大きな問題となってしまいます。
  • 防災上の危険】…耐震性や防火性能の劣る空き家が放置されていた場合、地震で建物が崩落して周辺の人が危険にさらされる恐れがあったり、火災が拡大する危険性があります。また、放火の対象となることもあります。
  • 防犯上の危険】…長期間人の出入りがない空き家ですと、犯罪者の隠れ家や不審者のたまり場となったり、犯罪に必要なものの隠し場所にされたりする恐れがあります。
  • 管理組合の機能不全】…これは分譲マンションの場合ですが、一応住んでいなくとも外部の所有者が管理費・修繕積立金等の支払いや議決権の行使を行うものの、やはり実際に住んでいる人が減っていけば管理組合がまともに機能しなくなってしまいます。

ただし、すべての空き家が悪いわけではありません。定期的に清掃・補修などのきちんとした管理がなされていれば問題ありませんので、あくまでも課題は「適切に管理されていない空き家」となります。現在、7割程度の空き家では月に1回以上の管理が行われており、「空き家の数」がそのまま「問題のある空き家の数」になるわけではありません。

しかしながら、空き家所有者の半数以上は65歳以上の高齢者です。今はまだ表面化していなくとも、この高齢所有者の方が体力的に空き家を管理できなくなってくる近い将来、空き家問題が加速しかねません。空き家の管理サービスを行っている専門業者もいるのですが、既に委託している、または委託の意向がある所有者の割杯は1割にも満たず、「委託するつもりはない」という意向が国交相の実態調査では7割以上を占めています。

空き家問題の対処法

多くの問題をはらんでいる空き家。どのような対処方法があるのか、空き家対策特別措置法による最終手段の解説と、そこに至る前に解決するための代表的な例を紹介します。

まず、冒頭でも触れた「空き家対策の推進に関する特別措置法 」が制定されたことにより、問題のある空き家を放置しておくと「特定空家等」に指定することができるようになりました。これは、空き家の中でも特に著しく倒壊等の恐れがある、衛生上の問題がある、景観を損なっている等の問題がある場合に指定するもので、「適切に管理されている空き家」と「問題のある空き家」を切り分けて考えるためのものです。

特定空家等に指定されると、行政は所有者に対して解体または適切に管理するように指導することができ、特に問題がある場合は「命令」という形をとることもできます。したがって特に問題の大きい空き家に対しては、所有者に対して「解体しなさい」という命令が出ることがあるのですが、それでも命令に従わずに解体をしない場合、「行政代執行」という制度によって行政が強制的に解体、費用を後から所有者に請求するということができるようになったのも、この特別措置法の大きな特徴です。

実際に、2016年には東京都葛飾区でこの制度を利用して行政代執行による解体が行われています。また、これら空き家の情報を管理しやすくするために固定資産税情報を利用できることなど、状況把握のための内容も特別措置法に盛り込まれています。なお、自治体によっては解体する際に補助金が出るところもありますので、実際に解体の必要性に迫られている方は一度自治体に相談してみましょう。

 解決策1:売る

まだ状態が良好であったり、資産価値に大きく影響を与える「立地条件」が良かったりすれば空き家を通常の不動産仲介業者を利用した売却が可能ですが、あまりにも資産価値評価が低い物件だと難しい場合があります。下手に「今は困っていないからそのうち…」と先送りにしていると、どんどん建物の資産価値が落ちて需要が少なくなります。そうならないためには、まだ資産価値が高く評価されやすい早期のうちから見切りをつけて売却してしまうことが有効です。

また、既に資産価値がほとんどない空き家の場合には、多くの自治体が運営している「空き家バンク」に登録してマッチングを図ることも方法の一つです。なお、現在は各自治体でバラバラに運営している空き家バンクですが、国土交通省ではこれらの情報を一元化することを検討中です(※2017年6月現在)。

 解決策2:貸す

何らかの理由で手放すことまでは抵抗があるという方には、「貸す」という手段がおすすめです。とは言っても今まで空き家にしていたのに急に貸そうとしても借り手がつきそうにない…と心配される方も多いのではないでしょうか?

しかし、最近の中古住宅市場では古い物件の内装を大きくリフォームした物件に割安感から人気が大きくなっており、リフォーム業界も大きく賑わっています。若い世代を中心に、「外観などにこだわるよりも普段生活をする内装がきれいであれば良い」という「見栄よりも実利」の価値観が広まってきているのも一因でしょう。

また借り手は一般人だけではなく、NPOが事務所などとして利用するケースも増えています。往々にして厳しい経営を迫られがちなNPOにとって、事務所などの固定経費は極力削減したいもの。現代ではネット環境さえあれば困らないことも多いため、家賃が割安な空き家が注目されているのです。事務所系の利用としてもう一つ近年急増しているのが、グループホームやデイサービスなどの福祉施設として利用するケースです。福祉法人もやはり経営的にはそこまで余裕がないことが多く、浴室などがもともと備わっている民家であれば低コストで福祉系の施設に転用できるのです。

 解決策3:空き家のまま管理

どうしても他人に手に渡したくない、しかし自分でこまめに管理するのはちょっと厳しい…という方には、「空き家管理サービス」を利用する手があります。これは空き家問題が大きく取り上げられるようになったここ数年で急に各社が始めるようになったサービスですので、まだ一般的な認知度は低いかもしれません。

サービスの内容としては換気・通水、簡易清掃、郵便物のチェックと転送、建物状況確認などです。もともと不動産仲介部門を持っている企業がサービスを始めたケースも多いため、当面の管理を委託しつつ、必要な際にはスムーズに売却や賃貸の相談ができることも期待できるでしょう。

 解決策4:そこに住む

最も根本的に解決できるのは、空き家に住んでしまうという選択肢です。「貸す」の項でも説明した通り、昨今では「リノベーション」が人気です。新たに家を買わずとも、もともとある空き家を活用して済めば多額のローンを背負わなくても済みます。

また、最近では別荘よりも本来の居住に近い形で二軒目の家を持つ「二拠点居住」というライフスタイルにも注目が集まっています。都市部の1軒目と、地方部の2軒目の両方で暮らすことで、仕事の利便性や都市の快適性を享受しつつ、地方部で自然に囲まれた暮らしも楽しむというバランスの良さが人気なのです。持て余している空き家を二拠点居住の地にするという選択肢も検討してはいかがでしょうか?

【関連記事】リノベーションで自分の理想の空間を

なお、今のところ自身で空き家を所有していない方にもぜひチェックしていただきたいのは、地方部の自治体で行っている「空き家への移住支援」です。人口減少に頭を悩ませている自治体では、どうにかして移住してきてくれる人をつかまえたいという思いがあり、空き家への対策と相まって「空き家へ移住してくれれば補助金を出す」という施策を行っているところがあるのです。社会問題の解決に役立ちつつ、お得に移住できるかもしれません。

 解決策5:民泊用施設として利用する

2017年6月の国会で民泊を全国的に解禁する民泊法(正式名称:住宅宿泊事業法)が成立しました。これによって、今まで法的にグレーゾーンだった民泊が年間180日という上限がありながらも正式に認められます。今まで法的リスクを恐れていた事業者も本格的に参入できますので、民泊市場の活性化は間違いないでしょう。政府も政策として積極的なインバウンド(外国人観光客)の増加に向けて舵を切っていますので、宿泊施設需要も増え続けています。

空き家問題も、新たな解決策の1つとして「民泊用施設として利用する」という方法が積極的にとれるようになりました。観光地に近いエリアやホテルが少ないエリアに空き家を所有している方にとっては、賃貸用物件並みかそれ以上の収益を出しつつ、賃借人が長期的に住むわけではないため必要となった際には自身で利用したり売却したりすることも容易となる選択肢で、空き家を積極的に運用したい方や将来的な処分が未定という方におすすめです。

最後に

増え続ける空き家問題について、理解は深まったでしょうか。空き家を所有していない方でも、記事で紹介したように相続によって所有者となる場合や近隣で空き家が生じるなど、いつ身の回りに空き家問題が降りかかってくるかはわかりません。これからより問題が表面化していくであろう空き家について、早めに理解を深めるとともにと対策を考えておくことで、適切に対処できるようにしておきましょう。

著者について

株式会社Housmartマンションジャーナル編集部
中古マンションの購入・売却仲介手数料が最大無料になるWEB不動産「カウル」を運営するスタッフが、物件探し、リフォームやリノベーションに役立つ情報、街の魅力、インテリアやDIYのテクニックをお伝えします。

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