仲介手数料以外にも不動産会社が儲ける仕組みがあるって本当?

2017.06.25
仲介手数料以外にも不動産会社が儲ける仕組みがあるって本当?
なんとなく儲かってそうな不動産会社。彼らの主な収入源は、不動産取引を成立させることで貰える「仲介手数料」ですが、実は仲介手数料のもらい方には様々な方法があり、仲介手数料以外にも儲ける方法があるのです。今回は、そんな不動産会社の裏側の仕組みを徹底解説します!

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

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基本的な取引の流れ

マンションや戸建などの基本的な取引の場合、売主、買主それぞれから、不動産会社は仲介手数料をもらいます。仲介手数料の相場は3%+6万円+消費税となっており、この金額をもらうのです。通常の仲介手数料売主側、買主側の仲介会社は分かれているケースが多いのですが、1つの会社が売主・買主両方を担当する場合もあります。このような取引を「両手取引」と呼びます。この場合、不動産会社は売主、買主それぞれから手数料を貰えますので、通常の取引と比べて2倍儲かるという訳です。このような両手取引を成立させたい為、情報を他の不動産会社に紹介しない「囲い込み問題」が一時期横行しましたが、各社のコンプライアンス改善により、居住用の不動産取引では殆どみられなくなりました

投資用不動産の場合は、海千山千のプロが集まる

居住用不動産と異なり、広大な土地取引や、投資用不動産の取引では大分様子が異なってきます。これらの取引では、不動産の裏の裏まで知り尽くしたプロが出てきますので、通常では考えられないようなお金のやり取りが行われるのです。

パターン1:仲介手数料の一部を売主側仲介に渡すケース

仲介手数料を一部渡す不動産取引の金額が大きくなると、仲介手数料の金額も大きくなります。仮に3億の取引の場合、仲介手数料は978万4800円にもなります。例えば1棟3億円の投資用不動産を売買する場合に、その物件がもの凄く安いとします。その安い物件は高齢の地主が持っているのですが、昔から付き合いのある地元の不動産会社にだけ売却を任せている状況です。売却の依頼を受けた不動産会社は、自社の顧客に物件を紹介します。しかし、自社の顧客には買いたいという顧客は見つかりませんでしたそこに、この物件の話を聞きつけた別の仲介会社がやってきます。その別の仲介会社は「うちに買いたい顧客がいるので、物件を紹介させてくれないか」と話を持ちかけます。しかし、売主側の仲介会社としては、ここまで安い金額に自分が調整したのですから、ただ紹介するだけでは面白くありません。そこで「お前がもらう予定の仲介手数料を半額よこせ」と要求するのです。3億円の仲介手数料は978万4800円ですので、半分売主側の仲介会社にお金を渡しても、489万円2400円という売上になります。そこで、買主側の仲介会社はこの条件を飲みました。この場合、買主側の仲介会社から売主側の仲介会社への支払いは仲介手数料ではなく「広告費」「コンサルティング費用」などの名目で支払います。

パターン2:仲介手数料の一部を売主側仲介に渡すケース その2

先ほどのケースの変則パターンになります。売却の依頼を受けた不動産会社は、自社の顧客に物件を紹介したところ、自社の顧客が「俺は買わないけど、知り合いの不動産会社に紹介していい?」と言ってきました投資用不動産の場合、買主自体が不動産会社ということが良くあります。そして自社では金額が出ないものの、知り合いの不動産会社であれば高く買ってくれそうだと考えました。売主側の仲介会社としては、両手取引にしたいので、その申し出を断りますしかし、買主は「仲介手数料の1.5%はお宅にあげるので、なんとか紹介させてくれ」と言ってきました。結果、売主側の仲介会社はこの条件を飲みました。この場合も、買主側の仲介会社から売主側の仲介会社へのお金の受け渡しは「広告費」「コンサルティング費用」などの名目になります。

パターン3:買主が仲介手数料を6%支払うケース

居住用不動産の場合、かならずレインズという不動産のデータベースに登録がされます。それによって、どの不動産会社であっても、同じ物件情報を扱うことが出来ます。しかし投資用不動産の場合、レインズに登録されていない水面下の物件が存在します。先に業者がいる売主側の仲介会社から紹介を受けた買主側仲介(2)は、自社の顧客では買いたい顧客がいませんでした。そこで、買主側仲介(2)は、多数の顧客をかかえている買主側仲介(1)に物件の情報を渡しました。その際の条件として、「買主から仲介手数料を6%もらい、そのうち3%を俺にくれ」という条件で情報を渡しました。そして買主側仲介(1)の顧客リストの中で買主が見つかり、その買主は物件が魅力的だったので、仲介手数料を6%支払うことを了承しました。この場合も、買主側仲介(2)がもらうお金は、広告費などの名目になります。

パターン4:買主が仲介手数料を6%以上支払うケース

業者が団子状になっている稀なケースではありますが、買主が仲介手数料を6%以上支払う場合もあります。それは上記の図のような取引で、買主側に何社も仲介会社が入っているケースです。非常に価格が安い物件の場合、何社も不動産会社が入るケースがありますこのように、売主側の仲介会社と直接やりとりを出来ない物件を「先物物件」と言います。このような取引の場合、「先に何社いるんだ?」と不動産会社は確認するのです。

先が増えれば増えるほど、抜き行為が発生する

ちなみにパターン4のように、多数の仲介会社が入ってしまうと、伝言ゲームのようになり、話が上手く伝わりません。また、どこまでが本当で、どこまでが憶測の情報かも分からなくなってしまいます。投資用物件の場合、売主の希望金額で買主が購入することは稀で、必ず価格交渉が入ります。先の業者が多ければ多いほど、交渉がまとまりにくくなるのです。また仲介手数料も余分にかかってしまいます。抜き行為そこで業界的にはご法度ですが「抜き行為」が発生します。買主側仲介(1)が直接、売主側仲介を探し出し、直接交渉をするのです。バレたら、今後関係した不動産会社との取引は出来なくなりますが、複雑な取引では、このような抜き行為が発生するケースがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。投資用不動産の場合、様々なスキームが発生し、仲介手数料以外の売上を不動産会社は獲得しようとします。一般の居住用不動産では、仲介会社は、仲介手数料が収益のほとんどを占めます。
株式会社Housmart
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マンションジャーナル編集部

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