【建物の高さや大きさはどう決まる?】建ぺい率、容積率とは?

2017.05.31
【建物の高さや大きさはどう決まる?】建ぺい率、容積率とは?

住まいを探していて気に入った物件があった時、近くに広い空き地や駐車場などがあると、「ここに大きな建物が建って生活環境が変わってしまうんじゃ・・・」という不安の声をよく耳にします。どんな建物でも建てる時には、様々な制限があります。用途地域によって建ぺい率、容積率といった制限があり、この制限によって建物の高さや大きさにも制限がかかります。今回は、この制限の中でも建ぺい率と容積率について解説をします。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
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建ぺい率と容積率について

建ぺい率は敷地面積に対する建坪の割合です。例えば、100坪の土地に対し、60坪の大きさの建物があった時、建ぺい率は60%となります。容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。延べ床面積は、建物内部の各フロアの面積を足し合わせたものです。この時、床のない吹き抜けなどの部分、共用の廊下や階段については含まれません。

土地の利用は所有者次第とはいえ、敷地面積ギリギリまで大きな建物を建て、隣接する住民に圧迫感を与えたり、高い建物を建てて周囲の日当たりや眺望が悪くなってしまうといった問題を建ぺい率や容積率などで制限しています。この制限は建築基準法によって定められています。

この建ぺい率と容積率はどのように決まるのでしょうか。それは、用途地域によって定められています。

用途地域

上の表のように用途地域から、建ぺい率や容積率が決まります。それでは、その用途地域はどのようにして決まるのでしょうか?そこから見ていきましょう。

都市計画の規定する法律

都市計画

街において、自分の所有する土地に好き勝手に建物を建てると日照問題、災害時のリスク、景観を損ねるといった問題が発生してしまいます。そこで計画的に街づくりを進めるための法律として都市計画法があります。この都市計画法によって区域が分かれます。

  • 市街化区域:積極的に整備、開発を進める区域
  • 市街化調整区域:開発を抑えていく区域
  • 非線引き都市計画区域:用途地域、特定用途制限地域、用途設定のない区域
  • 準都市計画区域:用途地域、用途指定のない区域

準都市計画区域は、将来、開発の可能性がある区域を指します。将来、行政が開発をしようと思った時、既に様々な建築物が建っていると景観を損ねてしまうことや用途地域に沿わない建物が存在することで都市化を阻害してしまう問題があるため、事前に準都市計画区域と設定することで、制限をかけることができます。

用途地域の仕組みがわかったところで、本題の建ぺい率と容積率について見ていきましょう。

建ぺい率を求める

計算する女性

建ぺい率の求め方はシンプルです。

  • 建ぺい率=建築面積÷敷地面積

これで求められます。一つ注意すべき点として、緩和要件があります。緩和要件は、

  • 防火地域内にある耐火建築物
  • 角地にある建築物など

火災などで延焼を防ぐことが期待できるような建物については10~20%緩和されます。

容積率を求める

容積率も求め方はシンプルですが、制限に注意が必要です。

  • 容積率=延べ床面積÷敷地面積

【容積率の制限】

  1. 都市計画で定める最高限度
  2. 前面道路幅員で決まる最高限度

最高限度の2つのうち、容積率の小さい方が採用されます。2の制限について詳しく見てみましょう。建物の前にある道路の幅を幅員と呼びます。この幅員が12m以上であれば、1の都市計画で定める最高限度となります。しかし、幅員が12m以下であれば、幅員に以下の2つの数値のいずれかを乗じた数値が容積率となります。

  • 住居系用途地域内の建築物:4 / 10
  • その他:6 / 10

仮に容積率400%の第一種住居地域内で、前面道路の幅員が6mであった時、

6m × 4 / 10 =240%

より厳しい240%の容積率が採用となり、敷地面積の2.4倍の建物までになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。空き地や建て替えなどが起こりそうな土地があっても、こういった規制によって簡単に建物を建てることが難しくなっています。

仮に幅員12m以上の道路があり、最大の容積率が認められたとしても、絶対高さの制限斜線制限日影規制といった制限もあり、簡単に高い建物を建てることはできません。また、建物を建てる場合、建築許可が必要となります。建築許可を得られない建物は違法建築となり、行政からの指導、是正勧告を受けることになります。住む人の権利がしっかりと守られる環境があります。

住まい探しする時には、家賃、管理費と修繕積立金などの毎月のコストも重要ですが、用途地域近隣の空き地の大きさ接している道路の幅員といった点に注意すれば、不安も少なくなるかもしれませんね。

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マンションジャーナル編集部

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