隣地に高層マンション、日当たりは大丈夫?日照権とは何かを知ろう

2017.04.25
隣地に高層マンション、日当たりは大丈夫?日照権とは何かを知ろう
昨今、高層マンションが多く立ち並ぶ中で、問題となっているのが日照権(日当たり)です。近隣にタワマンのような高層マンションが建築されると日差しが遮られ、窓が南向きになるように家を建てても太陽の光が全く届かなくなってしまうのでしょうか。この記事では、そのような事態にならないための権利である日照権(日当たり)についての基本を説明します。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

日照権とは?

考え込む女性の画像
日照権とは、誰もが持っている日当たりの良さを確保するための権利です。日当たりが悪いと、健康に悪影響を及ぼすほか光熱費が増えたり洗濯物が乾きにくくなるなどの不利益をもたらします。「日照権」について明確に定義した法律・条文はありませんが、多くの判例で認められています。また、建築基準法という建物を建てるための法律によって日照が著しく阻害されないように定められています。これについては次の項で詳しく説明します。
特に気にしない、という人もいるかもしれませんが、太陽の光を浴びることは洗濯物が乾きやすいといった目に見えるメリットの他に、精神面や肉体面の健康への影響もあることを知っておきましょう。

建築基準法の規制

建築基準法には、日照を確保するために「斜線制限」と「日影規制」が定められています。
日差しの当たる椅子の写真
「斜線制限」とは、太陽の光を遮らない、風の通り道を塞がない、といった建物を建てるときの規制をいいます。特に重要なのが、建物を建てる際に、北側にある住居の日照権を確保するためにある規制です。「日影規制」は斜線制限とは逆の考え方で、建物による日陰になっている時間を一定時間以下にするというものです。これらの規制が曖昧となっているのは、地域によって適用される場合や基準が異なるためです。例えば、商業地区や工業地区にある自宅に太陽が当たらない場合は、対象外となることがあるのです。自宅が適用される地域に入っているかどうかをチェックしておく必要があります。ただし、これらのケースに当てはまらなくても日照権が適用されることもあります。住んでいる人が害されていることをしっかりと立証できれば、日照権を訴求することができるのです。

日照権を守るために

説明をする人の写真
このように、日照権は地域によっても違いますし、適用されてないと思っていても日照権が認められることもあります。素人には判断がつかないところが難しいところでもあります。もし自宅の近くに大きな建物ができることが決まっており、日照権について侵害されることが想定される場合は、弁護士に頼るのが一番良いとでしょう。場合によっては、地域住民と一緒になって役所へ相談をしてみるのも効果的でしょう。日照権が認められた場合は、工事の差し止めや賠償金の対象となります。都内の高層マンションを建築する場合は大手が事前に調べた上で設計をしているはずですが、「行動を起こしてもしょうがない」と思うのではなく、怪しいと思ったらまずは動いてみることが大切です。

まとめ

日照権(日当たり)については、裁判では認められる権利ではあるものの、法律で直接的に定められているわけではないため、これといった正解がないのが現状です。自分だけで判断ができない場合は、専門家に聞くのが一番です。また、1人で建設会社と戦うのはとても不安が多いと思います。そんな時には専門家の人と協力をして周辺の住民の方を巻き込んでいく等の工夫をすることで、精神的にも楽になります。日当たりは健康のためにも重要なことです。おかしいと思ったら、行動に移すようにしてみましょう。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?
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マンションジャーナル編集部

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