マンションジャーナル

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建築コストの高騰が中古マンションの売買価格に与える影響とは?

建築コストの高騰が中古マンションの売買価格に与える影響とは?

建築コストの高騰を理由に仕切り直しになった東京五輪のスタジアム問題のおかげで、住宅にあまり興味のない一般の方も最近建築コストが上昇している事についてご存じだと思います。

実際に東日本大震災以降、復興に伴う建築需要の急増などにより建築コストは急騰しており、直近では一番安かったリーマンショックの頃と比べると平均建築コストは3割から4割上がっているという調査結果も出ています。

つまり、仮に同じ土地に同じ建物を建てたとしてリーマンショック直後と現在とではその建築コストが1.3倍程度違ってくるのです。

マンションの場合、建築コストの上昇、また土地の価格の上昇はどうしても販売価格に影響してくるため、ここ数年新築マンションの平均販売価格は上昇を続けています。

しかし、この価格上昇は特に都心部のマンションでは顕著ですが、郊外にあるファミリータイプのマンションの価格を見るとあまり価格に変化がありせん。

また都心部のマンションであっても、建築コストの上昇と土地価格の上昇を加味すればその販売価格は1.5倍程度に跳ね上げっていてもおかしくないのですが、実際にはそこまで販売価格が上がっているわけでもありません。

マンションの場合、建築コストの上昇ほどに販売価格は上がっていないのです

価格が上がらない理由はどこにあるのでしょうか?

また販売価格を上げないためにどのような工夫が行われているのでしょうか?

今回はマンションの建築コストと販売価格の関係について考えてみます。

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建築コストがあがってもマンション販売価格が上昇しない理由

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普通の店であれば、商品の仕入れ価格が上がればそれに伴い販売価格も上昇します。

100円で仕入れていたものが150円でしか仕入れられなくなれば、それにあわせて販売価格も見直さなくては店はつぶれてしまいます。

しかし、マンションの場合、そのような一般的な商品と異なり単純に価格を上げられない理由があるのです。

それは「購買者の予算が決まっている」事です。

たとえば郊外型のファミリーマンションを見てみましょう。

一般に販売価格は2000万円台から3000万円台が普通です。

これは主な購買層として30代の一般サラリーマン家庭を想定しているためです。

一般的な30代家庭の収入は決まっており、当然マンションを購入する予算も決まっています。

その上限は一般的には3000万円台。

年収600万円だとしてその5倍~6倍が購入予算の上限になるのです。

さて、もし建築コストの上昇分をマンションの販売価格にそのまま反映したとしましょう

建築コストは3割ほどあがっていますし土地価格も上昇していますから、その価格をそのまま販売価格に反映すると、以前であれば3000万円だった部屋は4000万円前後で販売しなくてはならなくなります。

300円のものが400円になったのであれば、文句を言いながらも買う事はできます。

しかし3000万円のものが4000万円になると、これはもう購入する事自体が不可能になります。

建築コスト等は右肩上がりに上がっていますが、一方で一般の方の収入はほとんど増えていません。

つまりマンションの購入予算も増えていないのです。

購入者の予算が増えていないのに、マンションの販売価格を上げても買う人がいなくなるだけの失敗マンションになってしまいます。

購入予算が変わらないわけですから、それらの人は予算内で購入できるより安い(条件の悪い)マンションを購入するか、マンションの購入自体をやめて賃貸に住み続ける事になります。

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これを裏付けるようなデータがあります。

首都圏のマンション販売価格はここ数年上がり続けていますが、実際に販売されている戸数を見ると直近の販売戸数は減少傾向にあるのです。

これは「マンションの販売価格が上がりすぎた結果、購入者が減っている」からに他なりません。

投資用に購入される都心部のマンションであれば多少の値上がりも許されますが、実需である郊外型ファミリーマンションの場合、その価格上昇はそのまま販売不振につながります。

つまり「値上げすると買う人がいなくなってしまう」ため、マンションの建築コストが上がっているに関わらずマンションの販売価格をあまり上げる事はできないのです。

どうやって販売価格を維持するのか

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マンションの建築コストが上がっても販売価格が上げられない以上、どうにかして価格を据え置きにする必要があります。

もう少し露骨に言えば「どうやって顧客にばれずにコストダウンを図るか」という事なのですが、しかしこれはとても困難な作業なのです。

マンションに限らずどのような商品であっても価格を無視する事はできません。

想定される顧客層に合わせた価格にあわせて仕様をどう折り合わせていくか、そこがマンションを企画設計する人間がまさに悩むポイントになります。

構造上ここに吹き抜けがほしいけどコストアップになるので断念するしかない、とか、スラブ厚は30cmほしいけど24cmで我慢しようとか、対象とするターゲットにあわせて譲るべき仕様は譲る事により予定販売価格まで落とし込んでいくことになります。

マンションの設計は元々そういうギリギりのコスト内で妥協して成立しています。

そこに建築コストが上がった分を吸収しろと言われてもそう簡単にできるものではありません。

誰でも思いつくのは内装や壁材のグレードを下げたり無駄な共用施設を無くして販売できる部屋を増やす事ですが、それだけで3割も上がっている建築コストを吸収する事はできません。

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ではどうするのか?

一番わかりやすいのはフロア当たりの部屋数を増やす事です。

たとえば1フロア10部屋を販売する予定だったものを1フロア12部屋にすれば、販売総額を2割増やす事ができます。

しかしそもそも1フロアの面積は決まっているわけで部屋数を増やすと言ってもそう簡単にはいきません。

そこでさらなるコストダウンの工夫が必要になってきます。

アルコーブのないマンション

アルコーブ

マンションにあまり詳しくない一般の方に「アルコーブ」と言っても、それが何かすぐにわかる人はほとんどいないと思います。

しかしアルコーブという言葉を知らなくても、実際にマンションをご覧になった事がある方の中には、共用廊下から少し引っ込んだ形で玄関が設置されているマンションをご覧になった事がある方もいるのではないでしょうか。

この共用廊下から奥まった部分、一戸建てであれば玄関前の庇に相当する部分ですが、ここをアルコーブと呼びます。

アルコーブがある事により、玄関から共用廊下に出る前にワンクッションが置かれる事になり、扉を開けたときの危険性を低減する事ができます。

たとえば子供が共用廊下を駆け回っているような状況でもアルコーブがある事により事故が起きづらいのです。

またアルコーブがあれば、共用廊下に複雑な凹凸が生じ、一見して高級なデザインに見せる事ができます。

アルコーブがない場合を想像していただけばわかりますが、共用廊下に沿ってずらりと同じような扉が並ぶ味の無い外見になってしまいますよね。

アルコーブを設ける事でマンション内のデザインに高級感が生まれる事になり、これらの理由により最近は多くのマンションでアルコーブが採用されています。

しかし、このアルコーブ、言ってみれば「デッドスペース」でもあるのです。

コストダウンを図る場合、このアルコーブを廃して、その分部屋数を増やしたり、部屋の面積を増す方がはるかに合理的です。

また、アルコーブは一般の方への知名度が低い上に、ショールームに設置されたのモデルルームでは全く気付かれないものですから、仮にアルコーブがなくても一般の方はその事実にまず気づく事がありません。

(わざわざアルコーブがない事を説明するような販売業者はありませんし、モデルルームを見学する顧客は部屋の中だけを見るため玄関前の廊下の事を気にする人がいないのです)

そのため、コストダウンを図る場合、アルコーブは真っ先に削られる傾向にあります。

もちろん高級感を売りにするようなマンションでは削れない箇所なので、その分販売価格が上がることになります。

ベランダが半分しかないマンション

ベランダ

特に土地が高い都心部のマンションなどでは以前からよく見かけるものなのですが、間口の半分しかベランダがないマンションがあります。

間口の中のベランダがない側には外壁にいきなり窓が作られるわけですが、意外とよく見かけるものなので「デザインかな」程度に思われているかもしれません。

しかし多くの場合これはデザインなどではなく、コストとの兼ね合いでそういう設計になっている場合が多いのです。

たとえばひと部屋の施工床面積が90のときに「部屋78でベランダが12」のマンションと「部屋84でベランダが6」のマンションがあったとしてどちらが高く売れるか、という話です。

一般にマンションを買うときは「部屋の面積」で価格を比較します。

ですからベランダを潰してそこまで部屋を設けた方が販売価格を高くする事ができるのです。

先ほどのアルコーブ等も同様なのですが、私達はマンションを購入するときに「室内の面積」だけを特に気にします。

ベランダの面積を気にする方はあまり多くありません。「あぁ、ベランダが小さい物件なんだな」と思うだけです。

そのため、あまり顧客に気づかれずにコストダウン(あるいは販売価格のアップ)が測れるため、コストに厳しい場合には、半分しかベランダがないマンションが誕生する事も多くあります。

さて、実際にこのようなマンションの居住性ですが、ベランダがない側の部屋に関しては「庇がない」状態になるため、日本の気候を考えるとあまり住み心地がいい部屋だとは言えません。

夏は直射日光が室内を直接照らす事になりマンション躯体全体の温度が上昇する事になりますし、窓を開けた状態で突然雨にふられれば室内に雨が吹き込む事にまります。

間口全体にベランダがないマンションは、あくまでもコストとの兼ね合いでしょうがなく作られた物なのです。

中古マンションの購入時に注意する点

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このように販売価格を抑えるための方法は沢山あり、上記はほんの一例にすぎないわけですが、いずれにせよ建築コストが高騰している時期に建築販売されているマンションにはなんらかの制約がかかっている場合があるという事は言えます。

つまり、同等グレードのマンションであっても、建築コストが安い時期のマンションは「詳細を比較するとグレードが高い」構造になっている事が多いのです。

特に中古マンションの場合、「部屋の専有面積や立地」等から機械的に価格が算出されるため、同じ価格で購入できるマンションであっても、建築年によってお買い得な物件とそうでない物件がある事になります。

上の例にもある通り、その差は一見してわかりづらいところにあり気が付きにくいものではあるのですが、近年であればリーマンショック直後の建築コストが比較的安かった時期に設計建築されたマンション、つまり2009年~2010年に販売されたマンションは相対的にお買い得度が高い可能性があります。

ただしあくまでももともとの販売価格が近い同グレードのマンション同士を比較したときの話であり、グレードの異なるマンション同士はこのような比較ができない事にご注意ください。

また、上に書いたようなアルコーブの有無やベランダの有無は、新築マンションのモデルルームではなかなか気づかないものなのですが、中古マンションであればそれらを直接確認する事ができます。

中古マンションであればベランダが無い側の部屋に入って「暑い」と気づく事ができるのです。

この現物を直接確認できる点は新築マンションにはない中古マンションの大きなメリットの一つなので、中古マンションを購入する方はぜひそのメリットを生かしてマンション選びを行うようにしてください。

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