マンションジャーナル

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「仮登記とは?」中古マンション購入の際、仮登記がついているときどうする?

「仮登記とは?」中古マンション購入の際、仮登記がついているときどうする?

「仮登記とは?」中古マンション購入の際、仮登記がついているときどうする?

よさげな中古マンションが見つかったので、念のため登記簿をとりよせたら「仮登記」がついていた……。

購入しようとしている物件に仮登記がついていたとき、どうしたらよいのでしょうか。そもそも仮登記とはどういうものなのでしょう。確認してみましょう。

まずは登記簿のチェックを!

中古物件を購入するなら、まずは登記簿(登記事項証明書)をチェックしておきましょう。仮登記がなされている場合、登記簿に記載されています。

中古マンション、登記簿のチェックポイント!

登記簿は物件の所有者でなくても、取り寄せることができます。

【保存版】住宅ローン控除に必要な登記事項証明書って何処でもらえるの?

仮登記とは?

仮登記とは、本登記前の予備的な登記のことです。本登記の条件がそろわないときに「順位の保全」を目的として行います。ポイントは以下のとおりです。

  • 対抗力はない。
  • 順位保全効果がある。
  • 本登記に比べ登録免許税が安い。

対抗力はない

対抗力とは、利害関係のある第三者に権利を主張する効力のこと。仮登記には対抗力はありません。

そもそも登記は、権利関係を公に示し対抗力を備えることが目的です。その本来の効果を持たないのが仮登記。あくまでも仮のものなのです。

順位保全効果がある

では、なぜ対抗力がないのに仮登記を付けるのでしょうか。それは、仮登記には順位保全効果があるからです。仮登記にもとづく本登記をすると、仮登記を行った時点で順位が確定します。

つまり、仮登記後になんらかの権利変動があり登記がなされていたとしても、仮登記を本登記にすることで、仮登記後の権利に対抗することができるのです。

登記のルールは「早い者勝ち」。先に登記をしたものから対抗力を持ちます。条件が整っていない状態でも、順番を確保できる。それが仮登記のメリットです。

本登記に比べ登録免許税が安い

仮登記は、本登記に比べ登録免許税が安価です。ですので、費用節約のために仮登記を利用することもあります。

【仮登記の登録免許税】

  1. 所有権移転・地上権設定等→定率課税(不動産価額の0.1%~1%)
  2. 抵当権設定→定額課税(1個の不動産につき1000円)

1の場合、仮登記の登録免許税は本登記の2分の1の額になります。

登録免許税法別表第1.1|wikibooks

ちなみに仮登記手続きにかかる司法書士報酬の相場は、数万円ほどです。

仮登記は2種類ある

本登記手続きに必要な、一定の条件がそろわないときに行うのが仮登記です。

  • ・形式的不備による仮登記→1号仮登記
  • ・実質的不備による仮登記→2号仮登記

1号仮登記

手続法上の形式的不備による仮登記を「1号仮登記」と呼びます(不動産登記法第105条1号)。

以下のような条件が該当します。

  • 権利変動がすでに起きている。
  • かつ、本登記手続きに必要な書類が不足している。

例えば、物件の売買契約を結び、買主から売主へ代金の支払いも済んでいるが、所有権移転登記に必要な書類を提出できないときなどが1号仮登記に該当します。

本登記手続きに必要な書類とは、権利証(登記識別情報)、第三者の許可書、同意書・承諾書のことです。

(登記の目的の例)

  • 所有権移転仮登記
  • 抵当権設定仮登記
  • 賃借権設定仮登記など

2号仮登記

実体法上の実質的な不備を原因とする仮登記を「2号仮登記」と呼びます(不動産登記法第105条2号)。

2号仮登記の場合、権利変動はまだ起こっていません。

2号仮登記には以下の2つのパターンがあります。

  1. 請求権保全の仮登記
  2. 条件付権利の仮登記

1.請求権保全の仮登記

将来、権利変動を生じさせる請求権がありそれを保全する場合の仮登記です。

例えば、売買契約が予約の段階で止まっていて、買主が契約を締結する意思を表示したときに所有権が移転する契約を結んでいるなど。

(登記の目的の例)

2.条件付権利の仮登記

一定の条件を満たせば権利変動をするのに、いまだにその条件が満たされていないときの仮登記。

登記すべき権利変動が、将来確定の見込みがある場合のものです。

例えば、農業委員会等の許可を条件として、所有権移転の本登記をする内容の農地売買契約を締結した。

もしくは、不動産の売買契約を結んだが、買主から売主へ代金支払いがまだなされておらず、売買代金の完済を条件として所有権移転の本登記をする場合など。

(登記の目的の例)

  • 条件付所有権移転仮登記
  • 始期付所有権移転仮登記
  • 条件付賃借権設定仮登記など

仮登記の職権抹消

所有権は排他性を持ちます。ひとつの物に、ひとつの所有権しか存在できません。

「一物一権主義」です(ただし、抵当権やマンションの区分所有権などは例外)。

所有権移転仮登記付きの物件を買い受けて、仮登記を抹消しないまま所有権移転登記をしたとします。

後に、仮登記が本登記されると、仮登記以降の両立できない権利は登記官の職権で抹消されてしまいます。

つまり、せっかく物件を買い受け、所有権移転登記をしても、仮登記が本登記された時点でそちらの権利が優先してしまうのです。

ですので、仮登記がついたまま不動産取引をすることは、極めて権利の状態を不安定なものとする可能性があることを頭に入れておきましょう。

順位の保全以外の仮登記の目的

仮登記の目的は「順位の保全」ですが、順位の保全以外を目的として仮登記がなされることもあります。

仮登記担保:担保権保全のための仮登記

担保権保全のための仮登記とは、債務者が債務を返済しない場合に債権者が不動産などを取得する契約を結び、所有権移転請求仮登記をつけることです。

債権担保のために本来なら抵当権をつけるところを、仮登記で済ませる方法です。

もしくは、抵当権の設定と同時に仮登記を付ける場合もあります。

債権者にとってのメリット

  • ・債務者が滞納したとき、債権額の大きさに関係なく担保目的物を取得できる(金利以上のものを取得できる)。
  • ・競売手続きがいらない。
  • ・登録免許税が安い。

債務者にとってのデメリット

少ない債務額でも価値の高い不動産をまるごと取られてしまう(競売なら物件売却ののちに余剰があれば債務者にも配当される)。

担保権保全のための仮登記は、昭和40年代ころまで一般的に利用されていました。ですが、債務者にとってのデメリットが大きすぎますよね。

よって、債務者の保護を目的として昭和53年に「仮登記担保契約に関する法律(仮登記担保法)」が制定され、仮登記担保は規制されることとなりました。

つなぎ融資を担保するための抵当権設定仮登記

住宅ローンが実行されるまでの間、金融機関がつなぎ融資を担保するために抵当権設定仮登記をつけることがあります。

本融資が実行された時点で、仮登記は抹消されます。弊害も少なく、現在よく利用されている方法です。

債権者にとってのメリットは、登録免許税が安いこと。

本融資をする金融機関の融資が始まれば、弁済を確実に受けることができます。

弁済が確実に受けられるのなら、どうせ抹消する本登記費用をかけるより、仮登記で済ませればいいじゃないかという考え方です。

ハンコ代目当ての仮登記

「ハンコ代」とは、法的には支払い義務はないものの、手続きをスムーズに進めるため、承諾を必要とする相手に支払う手数料のことです。

「これだけの額を支払うので、書類にハンコをついてください」ということ。

(ハンコ代を支払う目的の例)

  • ・相続において、遺産分割協議書に承諾、署名捺印してもらうため。
  • ・後順位抵当権者にまで配当が回らない任意売却において、抵当権を抹消してもらうため。

ハンコ代目当てで物件に仮登記をつける人物や業者も存在します。

例えば、融資の際に債務者から抵当権設定登記の承諾書と印鑑証明書を取り付けておき、債権回収の見込みのないことがわかれば担保物件に抵当権設定仮登記をつけておく。

抵当権設定仮登記の登録免許税は1,000円。仮登記を抹消してほしい人物に手数料を要求し、差額を獲得することを狙うのです。

仮登記付き物件を購入するリスク

仮登記付き物件を購入するリスクを確認しておきましょう。

  • 本登記される可能性を否定できない。
  • 仮登記付き物件への融資を受けることが困難(仮登記の抹消が融資条件になるので)。
  • 仮登記抹消費用やハンコ代を負担する可能性が出てくる。
  • 仮登記名義人と仮登記抹消の交渉が決裂する可能性。
  • 仮登記設定当時の事情がわからなくなっている可能性。
  • 仮登記名義人が既に死亡しており相続が発生する可能性。
  • 仮登記名義人の行方がわからなくなっている可能性etc

仮登記付き物件の対処法

それでは、仮登記の各パターンによる対処法について見ていきましょう。

1号仮登記の対処法

登記の目的に「所有権移転仮登記」と記載されているなら、それは1号仮登記です。

ご説明したとおり、1号仮登記とは権利変動が既に起こっていますから、所有権が移転していることとなります。

その場合、売主だと思っていた登記簿上の所有権者に実は所有権はなく、本当の所有権者は仮登記名義人の方だったということになります。

その事実を知らず所有権のない売主と売買契約を結ぶことは権利関係を複雑にしかねず、リスクも大きいですよね。

売主が意図的にせよ、そうではないにせよ、二重売買をしようとしている可能性が絶対にないとはいえないのです。

対処法

  • 仮登記の経緯や事情を確認し、権利変動の実体を把握する。
  • 権利変動が実はなかった、もしくは、解除されているのなら、仮登記が抹消できるのかを確認する。

仮登記を抹消できるようなら、仮登記の抹消が終わってから物件を購入するか、決済と同時に仮登記を抹消します。

2号仮登記の対処法

一方、不動産売買の現場でよくみられるのは2号仮登記です。こちらは権利変動の実体はありません。

1号仮登記と同様、仮登記の抹消が終わってから物件を購入するか、決済と同時に仮登記を抹消します。

担保権保全のための仮登記への対処法

実際は仮登記担保だとしても、登記簿上では見分けがつきません。

今はあまり使われない方法だとしても、仮登記担保は理論上可能です。実情を確認して、通常の仮登記か仮登記担保なのかを判断するようにします。

対処法

  • ・売主に仮登記の原因となった借入金の返済をさせ、仮登記を抹消する。
  • ・物件の売買代金から上記借入金を返済し、仮登記を抹消する。

ハンコ代目当ての業者には……

ハンコ代目当ての業者や人物には、手数料の額も含めて交渉して仮登記を抹消してもらうようにします。

仮登記名義人に相続が発生している

物件に仮登記がついていることが発覚した時点で、仮登記名義人が既に死亡していることもあります。

その際、相続が発生しています。抹消登記を依頼するにも、相続人を調べて全員に承諾してもらわなければなりません。

応じてもらえない相続人が出れば、仮登記抹消登記を求める訴訟を起こす必要があります。

仮登記名義人の行方がわからない

また、仮登記名義人の行方がわからなくなっていることもあるでしょう。

その場合、住民票や戸籍をたどるなどの調査をし、仮登記名義人の行方を探すこととなります。住民票や戸籍は、一定の範囲の親族にしか取得できません。

住民票等を使った調査をするのなら、弁護士や司法書士に依頼することになります。

  • 仮登記名義人がみつかった→抹消登記の手続きに応じてもらう。
  • 仮登記名義人が亡くなっている→相続人に抹消登記を依頼。
  • 所在がわからない→公示送達により訴訟を起こす。

不動産購入における仮登記抹消手続きのポイント

不動産購入における仮登記の抹消は、かならず、決済の前に済ませるか、決済と同時に行うようにします(同時履行)。

不動産売買の実務としては後者のパターンが多いでしょう。

仮登記抹消手続きのポイントは以下のとおりです。

  • 同時履行ができない、または抹消の条件があいまいなら購入しない。
  • 仮登記の抹消が不確実な場合、契約書に白紙解除の特約をつける(確実に抹消できるとしても特約をつけたほうか堅実)。
  • 手付金は決済時まで仲介業者に保管してもらう、もしくは手付金を支払わない。

仮登記付き物件の売買契約の場合は手付金を仲介業者に預かってもらうのが安全です。

通常、不動産売買契約での手付金は売主に支払われます。

頭金・手付金・諸経費の違いを抑えよう!

マンション売却 手付金のチェックポイントとは

ですが、例えば、仮登記の原因となった売主の借入金の残債を、不動産の売買代金で支払うようなとき、売主は経済的に困窮している状態にあるかもしれません。

もし仮登記抹消がうまくいかず白紙解除をしたとしても、経済的に困窮している売主が手付金を持ち逃げしたり、使い込んでしまったりして、手付金が返ってこない可能性もあり得ます。

ですので、仮登記抹消手続きがからむ不動産売買においては、手付金を仲介業者に預かってもらうようにしたほうがよいでしょう。

仮登記原因に消滅時効が発生していないか確認しておく

登記原因が時効になっていたとしても、当事者が自発的にアクションを起こさなければ登記の記載は消えません。

つまり、実際には仮登記原因が時効になっているのに、仮登記の記載がそのままになっているだけかもしれません。

登記には時効はありませんが、売買予約や代物弁済予約などの登記原因がすでに時効になっている可能性もあります。

売主から消滅時効を理由とする抹消登記の要請があれば、仮登記名義人は応じざるを得ません(応じないとしても裁判があれば負けるので)。

仮登記抹消の手続きをする場合には、時効の可能性も確認しておきましょう。

仲介業者・不動産会社とのつきあい

仲介業者や不動産会社なら、かならず仮登記の存在は確認しているはずです。

ところで、仮登記付きの物件でも売買は可能です。法律的に違反しているわけではありません。

ですので、業者が不動産の購入予定者に仮登記の存在を知らせない、ということもまれに起こるかもしれません。

そのときは以下のポイントを確認するようにしましょう。

  • なぜ教えてくれなかったのか。
  • 仮登記の抹消はできるのか。
  • 抹消手続きの流れ。
  • 抹消登記にかかる費用額。
  • 抹消登記にかかる費用は誰が負担するのかetc.

ちなみに、仮登記抹消にかかる費用は以下のとおり。他にハンコ代や仮登記の実情を調査する費用などもかかるかもしれません。

  • 登録免許税:不動産1個につき1,000円
  • 司法書士報酬の相場:一筆数万円

個人売買なら別ですが、仮登記の抹消手続きは買主本人が奔走するわけではなく、不動産会社・仲介会社、金融機関主導で行います。

仮登記が付いている物件を購入するのなら、ますます業者の信用度は大切になりますよね。

まとめ

ポイントを押さえれば、仮登記付き物件の購入もそれほど心配しなくてもいいとも言えるかもしれません。

基本的な知識は押さえておき、信頼のおける仲介業者等と協力しながら抹消の手続きを進めるようにしましょう。

もちろん、リスクが高すぎるのなら、購入しないという決断も大切です。

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