中古マンション購入では旧住所で登記するべき?住所変更後に新住所で登記するべき?

2016.06.04
中古マンション購入では旧住所で登記するべき?住所変更後に新住所で登記するべき?
自己の居住用不動産の売買契約をし、住宅ローンの本審査が通ると、いよいよ銀行と金銭消費貸借契約を行う必要があります。この金銭消費貸借契約を行うことで、決済日に銀行が融資を実行してくれます。この金銭消費貸借契約の際に気をつける必要があるのは、「今住んでいる住所を契約するか」「新しく買ったマンションの住所で契約するか」という問題です。「まだ引越ししていないんだから、今の住所で契約するしかないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、実際には銀行に「今の住所と新しい住所、どちらで契約しますか?」と必ず聞かれます。またお引き渡しの後、司法書士が不動産登記という「これはあなたのマンションですよ」と、権利を国に申請する手続きをしますが、この際にも「今住んでいる住所」か「新しく買ったマンションの住所」のどちらかで申請をします。そしてこの不動産登記の住所は、必ず銀行と契約した住所と同じ住所で行う必要があります。では、「今住んでいる住所」と「新しく買ったマンションの住所」、どちらで銀行と契約や登記をした方が良いのでしょうか?

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

新しい住所で銀行と契約、登記をするメリット

新しい住所で手続きを行うと、以下のメリットがあります。
  1. 不動産に関わる手続き(売却・住宅ローンの借換え等)をする際に、住所変更登記(約2万円)をする必要がない。
  2. 登録免許税の減税措置を受ける場合に、住宅用家屋証明を取得するための書類が最小限で済む(※)
住宅用家屋証明書を取得するためには一定の要件を満たす必要があり、すべての不動産を対象に取得できるわけではございません。

新しい住所で銀行と契約、登記をするデメリット

次にデメリットです。
  1. 住宅ローンの本審査が通った後、銀行と契約するまでの間に住民票、印鑑証明書を移動させる必要があり、時間と手間がかかる
  2. 役所に「もう引越しました」と虚偽の申し出をしなければならず、気持ちが良くない
新しい住所で契約、登記をする為には、住民票・印鑑証明書を新しい住所に移す必要があります。一方で住宅ローンの本審査が通った後、銀行との契約まで1週間程度しか時間がない場合が良くあるので、かなりバタバタしてしまいます。また後ほど、具体的な手続きでご説明しますが、役所に嘘を言う必要があり、良心の呵責に問われます。

今住んでいる住所で銀行と契約、登記をするメリット

次に、今住んでいる住所で契約、登記をするメリットです。
  1. 今の住所から新しい住所に住民票、印鑑証明書を移動させるのが引越し後で良く、時間の余裕がある
  2. 嘘を言うという心理的な負担がない
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今住んでいる住所で銀行と契約、登記をするデメリット

次にデメリットです。
  1. 不動産に関わる手続き(売却・住宅ローンの借換え等)をする際に、住所変更登記をする必要があり、約2万円かかる
  2. 住宅用家屋証明の申請書類が増える(賃貸借契約書など、現在の住まいを証明する書類が必要となります※市町村によって異なる)
  3. 状況によっては、登録免許税の減税措置を受けられない(※)

※現住所だからといって登録免許税の減税措置を受けられないというわけではなく、住宅用家屋証明書取得の要件を満たしているが、上記2の書類が揃えられない場合。

「3.状況によっては、登録免許税の減税措置を受けられない」は様々なケースがあるので、念のため不動産会社の担当者に相談すると良いでしょう。

新しい住所で金銭貸借消費契約、登記をする手順

では、実際に新しい住所で銀行と契約、不動産登記をする方法ですが、非常に単純です。住宅ローンの本審査が終わった段階で、銀行と契約をする前に住民票、印鑑証明書を新しい住所に移動させるだけです。印鑑(実印)と身分証明書、印鑑登録証だけあれば、他に不動産売買契約書などの提出書類は必要ありません。あくまでも自己申告に基づいて、役所は手続きをしてくれます。今の住所と新しい住所で区や市が異なる場合、転出届、転入届の手続きをする必要があります。転出届、転入届の手続きが終わると、その場で新しい住民票、印鑑証明書を取得することが可能です。

法制度の矛盾点

転入届を出すためには、既にその住所に住んでいる必要があります。しかし実際には引き渡し前なので、新しい住所には当然住んでいません。ややこしいポイントなので興味がない方は気にしなくても良いのですが、新しい住所で金銭貸借消費契約・登記をすることは法的には禁じられています。住民基本台帳法第22条に「引越し日から14日以内に住所変更手続きをしなければならない」というルールがあるからです。しかし、経験上89割以上の方が不動産購入の前に新住所に移動して手続きを進めており、不動産購入の際の慣習となっているのが現状です。このポイントは、現行の法律制度の矛盾点と言えます。実際に役所が事実確認をすることはありませんので、引越し前に「もう引越しをしました」と言って行政罰(道路交通法違反の減点と同じ)の「過料(罰金)」が適用されたという話は聞いたことがありませんが、申請手続きが気持ち良くないことは確かです。不動産登記について理解できたが、そもそものマンション購入の方法がわからない方は、契約手順をもう一度確認しましょう。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?
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マンションジャーナル編集部

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