マンションの「専有部・専用部・共有部・共用部」の違いを徹底解説!

2016.05.01
マンションの「専有部・専用部・共有部・共用部」の違いを徹底解説!

建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」と呼ぶ)によって、マンションは「専有部分」と「共用部分」とに分かれています。

ただ、マンションでは他にも「専用」や「共有」と呼ばれる部分があったりするのでごっちゃになりそうですよね。「専有」「専用」「共用」「共有」について、一度整理してみましょう。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
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専有部分とは?

分譲マンションの各室には区分所有権が設定されています。区分所有権とは、一棟の建物の区分された部分を独立させ個別の所有権を設定したもの。

では、区分された部分とはどこまでの範囲なのでしょうか。マンションで言うなら、部屋の内側の居住スペースまでというのが一般的な解釈のようです。区分された壁や床、天井などの内側部分。これらが専有部分ということになります。

共用部分

区分所有法における共用部分とは、専有に含まれない部分のことです。あとでご説明する規約共用部分に対し、法定共用部分と呼びます。

法定共用部分
  • 基本的構造部分:支柱、屋根、外壁などの躯体部分
  • 独立性がない区画:外廊下、エントランスホール、階段、屋上、エレベーター、パイプシャフト、縦配管など
  • 区分所有法では専有部分と共用部分の境界を明確に定めているわけではありません。ですので、専有なのか共有なのかどちらかはっきりしない部分が出てきます。

隣室や上階、下階との境界にある壁や床、天井の境界。玄関、窓ガラス、サッシの窓枠、給水管、電気の配線、壁、天井、床、窓(サッシ)、玄関ドアetc.

境界を定める基準は、以下の3つがあります。

  • 内壁(内法)基準…壁・床・天井等の境界部分の内側の表面まで共用部分
  • 壁心基準…境界部分の厚さの中心から内側までが専有部分
  • 上塗基準(折衷型)…躯体は共用部分。境界壁や床・天井など上塗り部分が専有部分

一般的に上塗基準が採用されているマンションが多いようです。ですが、上塗基準では、境界部分があいまいになるので、詳しくはおのおののマンションの管理規約で定められることに。

マンションの管理組合は、国土交通省が作成したマンション標準管理規約を参考にして、管理規約の制定、変更をしています。マンション標準管理規約では基本的に上塗説を採用しています。

また、給水管のような共用部分のメンテナンスを行う資金源は管理費と修繕積立金です。マンション購入者はこの二つを払うことによって、皆が使う施設を綺麗に保っているのです。

マンション標準管理規約(単棟型)|国土交通省(PDFファイル)

マンション標準管理規約の共用、専有の区別例
  • 機械室、パイプスペース、インターネット通信設備→共用部分
  • 躯体部分を除いた天井、床、壁→専有部分
  • 玄関扉のうち鍵および内部塗装部分→専有部分

共有

区分所有法第1条1項には「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する」とあります。共用部分も、区分所有者にとっては所有物の一部となります。


専用使用部分・専用部分

共用部分であるが、特定の区分所有者だけが使うことができ、他人が使えない部分を「専用使用部分(専用部分)」と言います。専用部分は、区分所有法に根拠があるわけではなく、それぞれのマンションの管理規約で定められています。

専用使用部分の例

駐車場・駐輪場・ベランダ・バルコニー・専用庭・トランクルーム・玄関ドア・窓・網戸・ポーチ・アルコーブ・etc.

日常の手入れ、修繕は専用使用している区分所有者が行います。共用部分なので、管理組合の許可なくリフォームや撤去をすることはできません。

違いがわかりにくいベランダやバルコニーですが、これらはマンションの構造の一部としてコンクリートで作られており、災害時などでは避難経路になります。共用部分なので、ガーデニングやバーベキューを楽しむにも注意が必要です。

>>マンションリフォーム費用っていくら?相場や見積もりの取り方を解説

規約共用部分

規約共用部分とは、本来は専有部分となる建物の部分や、付属する別の建物を管理規約により共用部分と定めたもののこと。共用部分である旨の登記を行います。規約共用部分は区分所有者全員の共有となります。


管理人室、集会室、倉庫など

敷地権

マンションを区分所有するオーナーたちは、マンションの敷地を共有しています。この共有持分が敷地利用権です。敷地利用権は、専有部分と一体化した権利です。ですので、区分所有者は専有部分とそれにかかる敷地利用権とを分離して処分することはできません(分離処分の禁止)。

「敷地利用権」は、実体法である区分所有法で定められ、「敷地権」は手続法である不動産登記で定められています。

敷地権とは?
  • 敷地利用権である。
  • 土地登記記録に登記されたもの。
  • 区分建物または付属建物の専有部分と分離して処分することができない。

まとめ

以下、「専有」「専用」「共用」「共有」をまとめると次のようになります。

  • 専有:区分所有権の目的となる建物の部分
  • 共用:専有に含まれない部分
  • 共有:区分所有者が共同で所有する部分
  • 専用:共用部分のうち特定の者が専用で使用できる部分

「専有・専用・共有・共用」は一見ややこしいですが、マンションで快適に暮らすために知っておきたい概念です。違いを押さえておきたいですね。

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マンションジャーナル編集部

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