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韓国の不動産取引が凄すぎる〜チョンセとウォルセを知っていますか?~

韓国の不動産取引が凄すぎる〜チョンセとウォルセを知っていますか?~

賃貸物件を借りる時に掛かる敷金や礼金は、日本独自の不動産慣習とされており、世界でも珍しい仕組みと言えるでしょう。また、日本以外でも、お隣の韓国に「チョンセ伝貰)」という世界でも非常に珍しい賃貸システムがあります。しかしこのところ、長らく韓国社会に根付いてきたチョンセを取り巻く環境に変化が見られ、「ウォルセ月貰)」というシステムに移行するケースが増えています。

この韓国独自のシステムはどういう仕組みなのか?また、ウォルセ移行の要因となった環境の変化とはどんな事なのか?韓国の不動産事業の真相に迫ってみたいと思います。

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韓国の賃貸借制度

まず、韓国の賃貸借の仕組みから説明していきます。

Ⅰ.チョンセ(伝貰)

賃貸開始時に、借主がある程度まとまった「保証金」を家主に預ける代わりに、家賃を払わずに済む形態です。前もって家主と賃貸借期間(通常2年間)を定め、期間満了後に保証金は全額返還されます。期間満了時に次の借主が決まっていなければ、継続して居住することもできます。

家賃がタダで、さらに保証金も全額返してしまって、不動産経営が成り立つのでしょうか?タネ明かしをすると、家主は保証金の運用」によって利ザヤを得ているのです。韓国では、銀行預金の金利は5%以上が当たり前で、銀行によっては10%を付けるところもありました。保証金は物件価格の3分の1程度が相場で、仮に、日本円で3000万円の物件を賃貸する場合は約1000万円の保証金となり、年間の利息は100万円以上にもなることから、複数戸を所有している家主であれば、より大きなリターンをもたらす仕組みです。しかし、銀行金利も物件価格も下落傾向にある昨今では、チョンセを維持できなくなる家主が増えており、家賃が発生するウォルセに移行する家主が多くなってきています。

ちなみに、チョンセは朝鮮地域における古くからの慣習だったようですが、現在の仕組みが一般化したのは、朝鮮戦争以降と言われています。

Ⅱ.ウォルセ(月貰)

保証金がチョンセと比較して割安となる代わりに、借主が毎月の定額の家賃を支払うスタイルです。それぞれの設定金額は保証金の額によって変動する仕組みになっており、保証金の額が多ければ家賃を少なく高額の保証金が用意できなければ家賃は高くなるという仕組みです。契約満了後に保証金が返還されるのはチョンセと同じですが、家賃を滞納した場合は保証金から充当されます。

Ⅲ.サグルセ(朔月貰)

契約期間分の家賃を一括で前払いする形態です。当初は、家賃を毎月支払うスタイルだったようですが、保証金を不要とし賃貸開始時に期間分の家賃を一括で払う仕組みとすることで、類似するウォルセと認識を分けています。一括金は家賃として支払われますので、契約期間が満了しても当然返還されることはありません。

チョンセやウォルセと比べて取り扱いが少ないサグルセは、通常3ヶ月~半年、長くても1年程度といった比較的短い場合に利用されることが多い形態です。

Ⅳ.管理費

日本で賃貸物件を借りる際、家賃以外に管理費や共益費が掛かりますが、同じ費用が韓国にも存在します。その費用は共用部分の維持管理やメンテナンスが目的となっており、毎月の家賃に加算して支払われます。

Ⅴ.不動産会社の報酬(仲介手数料)

日本でも馴染みのある仲介手数料が韓国にも存在します。日本では、国が手数料率を定めていますが、韓国では国が上限を定め、さらに自治体ごとの条例で料率が決められます。チョンセの場合、保証金の額が手数料の対象となり、ウォルセなら保証金と家賃、チョルセは家賃に対して、0・3%~0.8%の手数料が契約時に必要となります。なお、家主と賃貸契約を直接結ぶ際は不要になることもあります。

チョンセを取り巻く環境

Ⅰ.韓国人に深く根付くチョンセの需要

チョンセ、ウォルセ、サグルセのなかで、韓国人に最も人気なのはチョンセです。前述の通り、銀行金利と不動産価格の下落によって、少しずつウォルセのシェアが増えていますが、ウォルセにすると生活コストが圧迫されるため、「ウォルセは無駄な支出」と考える人が多く、保証金を預けさえすれば毎月の支払いが管理費だけで済むチョンセ物件に根強い人気があります。

また、保証金が用意できない人の中には銀行から借入をすることもあり、この場合、「ローン返済によって将来の保証金を積み立てている」という感覚を持っているようです。さらに、新学期が始まる3月に備え、学生たちによる“チョンセ大乱”と呼ばれる現象が1~2月にピークを向かえ、店頭やネットでチョンセ物件が公開されると、一瞬のうちに予約が入るほどの争奪戦になるのだそうです。

そんな高いチョンセ人気の一方で、このところの金利下落によるリターン減のジレンマを抱える家主が、やむを得ず保証金を値上げするケースが増えています。金利や不動産価格が下がって保証金が値上げされたら、日本なら購入を選択する方が増えるでしょうが、韓国ではそんな状況下でもチョンセを好む人は後を絶たないのだそうです。

Ⅱ.保証金にまつわるトラブル

契約の満了によって退去する際、家主のなかには保証金を返金しようとしない人がいたりします。このような保証金被害に対して、賃借人を保護するいくつかの制度があります。特に、簡易な手続きで済む「確定日字ファッチョンイルチャ)」という制度の利用者が多く、役所や登記所でチョンセ契約書に日付のある押印が為される事によって資格を得ることができます。これは、住宅が競売になった場合に、優先して保証金の弁済を受けることができる制度になります。

確定日字によって保証金を保全しても、退去時に言いがかりをつけて、不当に保証金返金額を引き下げようとする家主もいたりします。そこで、退去時にトラブルにならないよう、入居前の状態を写真撮影しておくのが、チョンセに住む人たちの常識になっているようです。

また、家主の中には保証金運用で失敗してしまって解約時に返還できなくなってしまうケースもあります。そうなると、退去者に保証金を返還できなくなるため、「チョンセ保険」という国の制度を利用して保証金返金を担保することもあります。

チョンセからシフトする背景

チョンセは韓国のみに存在するスタイルですが、保証金の高騰やチョンセ転売等に伴う賃借人の負担増を憂慮し、IMF(国際通貨基金)は、世界一般の家賃制度にシフトすべきであると韓国政府に申し出ました。その指摘を受ける形で、「チョンセはもう古い。家賃制度の方が先進的だ」と韓国の各メディアが紹介し始めたのです。

そうなると、クローズアップされるのがウォルセで、2015年のウォルセ取引数は2014年から18.4%増加しました。また、ソウル市内の瑞草(ソチョ)や江南(ガンナム)などの高級マンション街は、外資系企業の役員や富裕層から人気があり、多額の保証金が発生するチョンセよりも家賃スタイルのウォルセやサグルセの方が理解されやすく、それらにシフトする不動産事業主が増えてきました。

韓国では一般的でなかった家賃制度が浸透し始めてきた影響か、最近では住宅購入者も増え始め、政府が運営する低金利ローンで購入を後押しする動きも出始めています。

まとめ

家賃制度へのシフトに伴い、韓国で「住宅賃貸管理業」制度の導入が2014年にスタートしました。家主から不動産管理会社に、家賃の回収や物件管理を代行させるこの制度では、日本の賃貸管理手法を導入したいとする企業も多いことから、日本の賃貸管理会社と合弁を組み、韓国では初の住宅賃貸管理業が設立されました。

これにより、韓国に新たな不動産慣習が国の制度として導入された訳ですが、長年続いてきたチョンセはなくなってしまうのでしょうか?

不動産経営における特異な事例として、残っていて欲しい気持ちもあるのですが。

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