マンションジャーナル

マンションジャーナル

100年マンションってホントに100年住めるの?

100年マンションってホントに100年住めるの?

このところ、分譲マンションのパンフレットに100年マンションとか100年コンクリートと表示されているのを見かけるようになりました。どうも、販売物件の付加価値を高めるためのセールスポイントになっているようです。

そもそも、何を根拠に100年と謳っているのでしょう。それに、本当に100年も保つの?そんな疑問を持たれる方の多いのではないでしょうか。そして100年マンションって、一体どんな仕様になっているのか気になりますよね。

今のところ、日本には建設されてから100年経ったマンションは存在しません。でも、理論的かつ技術的には100年マンションはあり得るのです。しかし、マンションに100年の寿命を持たせるには、幾つかの要件があります。ということで、今回は100年マンションに欠かせない3つのスペックについてご案内しましょう。

>>マンションを買うなら知らないと損するサービスとは?

1、構造躯体

何はともあれ、肝心な構造躯体が100年保たないことにはお話になりませんよね。躯体の耐久性に最も大きな影響を及ぼすのは、コンクリートの強度です。100年コンクリートと謳っているのは、それだけ丈夫で長持ちするコンクリートを使っているということです。では具体的に100年コンクリートは普通のコンクリートと何が違うのか、そしてどんな基準があるのか。

コンクリートの圧縮強度

コンクリートの強度は、N/mm2(ニュートン)という値で表示されます。これは100tを1平方メートル当たりで支えることができる圧縮強度です。例えば、30Nなら1平方メートル当たりで3,000tを支えられる強度があるコンクリートということです。

一般的なマンションで使われているコンクリートの耐久設計基準強度は、日本建築学会の定めた基準だと24N/mm2で、65年は大規模修繕が必要ないとされています。耐久設計基準強度が30N/mm2であれば、100年間は大規模修繕が必要ないということになっています。したがって、100年マンションには耐久設計基準強度30N/mm2以上のコンクリートが使用されているということです。超高層マンションになるとその高さ故に、60 N/mm2という超高強度コンクリートが100年マンションの基準とすることが多いようです。

ただし、これらの数値はあくまで予測値であって実証されているわけではありません。何しろ、前途したように築後100年のマンションはまだありませんからね。あくまでも、参考値ということです。それと大規模修繕の必要がないとはいえ、100年の間に何もしなくて良いということではありません。当然、途中でメンテナンスをする必要があります。

水とセメントの比率

コンクリートはセメントに砂・砂利などの骨材と水を混ぜ合わせるのですが、この時、水の量を少なくすることで密実になり強度が高まります。一般的な水の比率は50~60%ですが、100年コンクリートは25~40%に抑えることが望ましいとされています。

水の比率を抑えるべきといっても、単に少ないから良いということではないのです。コンクリート1m3当たり300kg~450kgは必要で、それに加えて砂や砂利の配合割合も考慮しなければなりません。セメントの材質や骨材と水の配合加減によって、コンクリートの強度が左右されるのです。

水の比率が高いと、施工後にコンクリートが乾燥した後、気温の変化で収縮してひび割れが生じやすくなります。ですので、水はなるべく少ない方が良いのですが、そうすると生コンクリートの流動性が悪くなってしまうという欠点があります。つまり固めの生コンクリートになるので、打設時に型枠の隅々まで行き渡りづらくなるわけです。こちらを立てれば、あちらが立たずみたいな感じですね。

それでは施工性が悪くなるので、職人技とも言える高度な技術力が必要になります。しかしそれだけでは問題を解決できないので、生コンクリートの流動性を高めるために化学混和剤を使用します。もちろん水より化学混和剤の方が価格は高いですから、総体的にコンクリートのコストが上がるということになりますね。

コンクリートのかぶり厚さ

鉄筋コンクリート造りというのは、言ってみれば鉄筋をコンクリートで覆うわけです。かぶり厚さとは、コンクリートが鉄筋を覆っている厚さのことです。具体的には、鉄筋の表面とコンクリートの表面までの距離を計測します。

コンクリートはアルカリ性なので、鉄筋がしっかりコンクリートで覆われていれば酸化して錆びることはありません。しかし、コンクリートは表面から徐々に中性化していくので、それが鉄筋まで到達すると錆が生じてきます。そうなると、構造躯体の劣化が進行します。ということで、この「かぶり厚さ」が重要になってくるというわけですね。

かぶり厚さは、建築基準法施行令の第79条で以下のように規定されています。

  • 耐力壁以外の壁又は床に於いては2cm以上
  • 耐力壁、柱又は梁に於いては3cm以上
  • 直接土に接する壁、柱、床は4cm以上
  • 若しくは梁又は布基礎の立ち上がり部分に置いては4cm以上
  • 基礎に於いては捨コンクリートの部分を除いて6cm以上

*布基礎の立ち上がり部分を除く

一般的の方がこの数字を覚えておく必要はありませんが、こういった基準があることは知っておいて損はないでしょう。コンクリートと鉄筋は密接な関係にあり、かぶり厚さで手を抜かれると建物の寿命が短くなるおそれがあることは承知しておいてください。

また、鉄筋の背筋法も重要な要素です。鉄筋を継ぎ目なく螺旋状に巻いた「スパイラル筋」や鉄筋の繋目を溶接する「溶接閉鎖型せん断補強筋」があり、これらの鉄筋とコンクリートの組み合わせにおける精度の良し悪しが構造躯体の耐久性を左右します。

2、可変性の高いスケルトン・インフィルのマンション

圧縮強度の高い100年コンクリートでなくても、一般的なコンクリートで65年の寿命があるはず。にもかかわらず、35~40年で取り壊されるマンションが多いのは何故か。それは躯体の老朽化ではなく、給排水管などの設備の老朽化が原因なのです。

一般的な給排水管などの配管設備の寿命は、25~30年だと言われています。つまり、コンクリートの寿命がくる前に、給排水管設備の寿命が尽きてしまうわけですね。とはいえ構造躯体に問題がなければ、給排水管設備を更新すれば良いだけのことですよね。

ところが、給排水管設備の更新が容易ではない構造のマンションが多いのです。その場合、給排水管を交換するとなると高額な費用を要するので、取り壊して建て替えた方が良いということになるわけです。なので、コンクリートの寿命が65年であっても、マンションの寿命はそこまで長くならないのです。

ということで、給排水などの配管設備のメンテナンスや交換が容易であることが100年マンションの必須条件になるわけです。

そこで、注目されているのが構造躯体(スケルトン)と内装、設備(インフィル)を分離したスケルトン・インフィルという工法。これは頑丈なコンクリートで仕切られた箱の中に、個々の住戸が収納されているとイメージすれば分かりやすいでしょう。

2重床・2重天井による配管設備の可変性

この工法の特徴は、専有部に構造壁はなく天井と床が2重構造になっている点です。従来のマンションでは床下のスラブ(床板)に配管が埋め込まれているとか、構造壁が専有部にあって間取りの変更を妨げるといったことがありました。しかしこの工法では、2重床・2重によって間取り変更の際に床下の給排水管や天井裏にある配線の移動が容易。なので、ライフスタイルの変化に柔軟かつ容易に対応でき可変性が高いということです。ですから、それぞれの世代に合わせて何度でも間取りや内装を変えることができます。それ故、100年に渡るロングライフが可能になるわけです。

また、各専有部からの給排水配管が外部にある共有のパイプスペースに集められているので、共有の給排水管設備の寿命が尽きた場合に交換が容易になります。つまり、構造躯体の寿命が続く限り何度でも設備の更新が可能なので、100年住み続けられるマンションになるというわけです。

3、遮音性のチェック

マンションは集合住宅ですから、上下左右の住戸と隣接しています。特に問題なのが、上下階の生活音。これが精神的なストレスになって、トラブルに発展する例は少なくありません。ですので、音のトラブルを回避するのは快適なマンションライフを送る上で重要な課題になります。

そのために必要なのが、レベルの高い遮音性能。音による問題は、大概の場合は床に物を落とす軽量床衝撃音や、子供が飛び跳ねた時の重量床衝撃音が階下に迷惑をかける原因になりますよね。

重量床衝撃音はスラブの厚さが音の影響を左右するので、スラブが厚いほど遮音性が高まります。一般的に遮音効果があるのは200mm以上と言われていますが、最近はスラブが300mmというマンションが増えているようです。しかし、施工方法や面積によっても遮音効果が異なるので注意が必要です。スラブの厚さや施工法については、竣工図を見れば確認できます。中古物件の場合は管理組合が保存しているので、購入を検討していると言えば見せてもらえるでしょう。

一方、床に物を落とした時の軽量床衝撃音は、床材の遮音性能が影響します。最近のフローリングは遮音性の高い仕様になっていますが、2重床も軽量衝撃音に効果です。ただし、2重床の場合、床下の空気が共鳴して太鼓現象が生じることがあります。その回避策として床下の空気を抜く施工法があるので、その点のチェックも必要ですね。

騒音で悩まない、または階下に迷惑を掛けないで快適に暮らすためには、遮音性のチェックが重要なポイントになります。床材については後から何がしかの手立てを施すことが可能ですが、スラブの厚さや施工法については後からではどうにもなりません。ですので、事前のチェックが重要なのです。

まとめ

100年マンションには100年コンクリートは必須ですが、それだけでは100年に渡って快適な暮らしを継続することはできません。どんな工法で建築されているのか、そしてどんな材料が使われているかも重要なポイントになります。それぞれのスペックが最低限の基準を満たしていることが、100年マンションであるために必須ということです。

【永久保存】殿堂入り人気記事

Return Top