マンションジャーナル

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徹底分析!日本の中古住宅市場が活性化せず空き家と化す理由

徹底分析!日本の中古住宅市場が活性化せず空き家と化す理由

日本の住宅市場における中古住宅の流通割合は36.7%しかなく、イギリスの88.8%、アメリカの77.6%に比べると非常に少ない数字です。日本人は、欧米人に比べて新しい物が好きだから、新築信仰が強くなる?

だとするなら、日本人は古い物に価値を見いだせないのでしょうか。そんなことはないでしょう。実際日本人は昔ながらの建物を保存し、維持しています。京都などが観光地として栄えている現状を見れば、日本人が古いものにも価値を見出していることがわかるのではないでしょうか。では何故、日本では中古住宅の流通が少ないのでしょうか。

一般的に中古住宅の流動性が低い理由として考えられるのが、欧米との文化的な違い。背景に「木造文化」と「石造文化」の違いがあるということのようですね。確かにそういった違いはあるしょうが、それはごく小さな要因でしかありません。根底にあるリアルな要因は、資産価値、さらに言えば法定耐用年数という制度なのです。

以下では耐用年数が、中古住宅市場の形成に与える影響について見ていきます。

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日本特有の資産価値の測り方

日本では「土地本位制」と言われるほど土地の価値に重きを置き、相対的に建物の価値は軽視する傾向があります。土地建物を担保にして金融機関から借り入れした経験のある方はお分かりでしょうが、土地に比して建物に対する担保価値は非常に低く査定されます。築年の古い建物だと担保価値はほぼゼロで、評価するのは土地だけというのは良くある話です。

なので、中古住宅は資産価値が低いと多くの人が思い込んでしまうのでしょう。そして、経年によってオートマチックに資産価値が低下していくのが当たり前。だから、古くなるほど資産価値が低下するという理屈になります。

日本では中古住宅の価値を明確に判断する客観的な基準や仕組みがなく、価値を判断する基準があるとすれば、それは耐用年数ということになります。

住宅の法的耐用年数

そもそも、この耐用年数というのがクセもの。住宅の法定耐用年数というのがあるのですが、実はこれは税金を算定するための数字で建物の寿命とは無関係。その証拠に、同じ住宅でも事業用(賃貸用)と、自己の居住用では法定耐用年数が違います。あくまでも税務用なので、減価償却率による経費の算出基準でしかないのです。

つまり耐用年数を過ぎた建物は、経費として認めなくなるだけで、建物自体の価値がなくなるという訳ではありません。逆に、税務上、償却後は基本的に資産として扱われるのです。

木造モルタル住宅(外壁がモルタル塗りという工法で塗られた木造住宅)の場合、自己の居住用で法定耐用年数は30年。では、30年を過ぎたら固定資産税がゼロになるかといえば、そんなことはありません。経年によって税額は減価されていきますが、一定額は納め続けなければならないのです。

中古市場で耐用年数を都合良く利用している?

実際に中古の一戸建住宅を売ろうとした時、日本では築20年を過ぎると建物の評価額はほぼゼロで土地価格だけになってしまいます。この時点で住宅ローンが残っていれば、残債を精算できなくて売るに売れないという事態になるわけですね。

相続しても売価が安ければ、売らずにそのまま放置するというケースもあります。仲介業者も新築住宅の方が売りやすく利益も大きいので、中古住宅に力を入れたがらないという事情もあります。それでは、中古住宅が流通するはずがありませんよね。その結果、誰も住まない空き家が増えていくわけです。

では、誰が築20年を過ぎた木造住宅の価値がなくなると決めたのでしょう。それは、その方が都合の良い人たち。つまり、新築住宅を販売したい住宅デベロパーです。それと、少しでも多くの住宅ローンを貸し出したい金融機関。そして国も経済成長を促すために、これまで新築住宅の供給を支援する政策に力を入れてきました。

つまり、不動産業界と金融業界、そして国の思惑が一致していたわけです。その結果、欧米のように中古住宅の価値を客観的に判断する基準や仕組みが整備されることなく、中古住宅市場の流動性が低いままになってしまったのです。

 金融機関の中古住宅査定と市場価値の喪失

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中古住宅の査定基準は金融機機関によって異なりますが、総じてリスクを回避するために極力低い金額で査定する傾向があります。見方を変えれば、中古住宅の価値を見極めるノウハウを持っていないために、中古住宅を評価するという点で比較的近い基準である耐用年数を持ち出していると言えるのではないでしょうか?さらにその基準が金融機関にとって都合の良いものであったために、耐用年数に基づいて査定をするわけですね。

そういった不動産業者や金融機関の都合で、多くの日本人は知らず知らずのうちに新築信仰に洗脳されていったのです。そしてユーザーは、中古住宅の価値を見出す感性や術を身に付ける機会を奪われました。その結果、経年毎に住宅の資産価値が目減りし、膨大な額にのぼる中古住宅の資産が消えてなくなったというわけです。

それと高度成長期の悪しき習慣で、古くなったら破棄して新しい物を買えば良いという感覚が未だに残っているのも問題。クラッシュ・アンド・ビルトで大量生産、大量消費、そして大量破棄を繰り返してきた後遺症が未だに残っている。それも、新築信仰に拍車をかけた要因になっているのでしょう。

マンションの廃墟化

今の日本には、約820万戸の空き家があると言われています。売却もままならず住む人もいなくて見捨てられた空き家は、木造一戸建て住宅ばかりではありません。意外なことに、一戸建てよりも共同住宅の方が多いのです。

新築マンションが好況を博している一方で、中古マンションの空き家が増えているという現実があります。古くなって空き家が増えたマンションを放置すれば、管理は行き届かずやがてスラム廃墟と化すのは目に見えています。そしてそれは遠い先のことではなく、現在浮き彫りになりつつあることであり、非常に深刻な問題なのです。

手入れが良ければ建物の寿命は伸びる

近年は古いマンションをリノベーションして、新たな価値を創造することが注目されていますが、たとえ鉄筋コンクリート造のマンションでも、税制上の耐用年数は47年と言われており、築47年を過ぎたマンションはリノベーションしても価値が無いということになってしまいます。

しかし、先程述べたように、住宅の耐用年数は税制上の基準値でしかなく、税務上の耐用年数字が独り歩きして、古いマンションには資産価値がないというイメージが付きまとっているに過ぎないのです。

だから今更手を加えても無駄、それより新築を買った方が利口と考えてしまう人が多いわけですね。しかし新築マンションを買っても、10年足らずで傾いてしまう事例もあります。ならば、40年以上立派に立っている中古マンションの方が余程安心できるのでは。

中古住宅の価値が高まれば、建物の耐久年数が長くなる技術が開発され、適正なメンテナンスを施して良い状態の管理がなされていれば、100年経っても住まいとして充分機能する建物が作れる可能性はあるのです。木造住宅でも、築100年以上の民家はいくらでもあります。大切なのは築年数ではなく、どれだけ適正な手入れをされているかなのです。

まとめ

住宅を購入する際、立地や生活の利便性といった周辺環境は重要な要素です。しかし、快適な暮らしをするためには、必ずしも新築住宅である必要はありません。粗悪な新築住宅より、質の良い中古住宅。大切なのは、その質を見極めるための客観的な基準や仕組み。それと、固定観念にとらわれない柔軟な思考ではないでしょうか。

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