マンションジャーナル

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マンションの建て替えが区分所有者の3分の2が合意で可能に!老朽化マンションの今後はどうなる?

マンションの建て替えが区分所有者の3分の2が合意で可能に!老朽化マンションの今後はどうなる?

政府は2月5日、マンションの建て替えに必要な基準を緩和する都市再生特別措置法の改正案を閣議決定しました。政府は都市再生法を改正し自治体が再開発事業と位置付けることを条件に、全世帯の合意が必要だったものが、全世帯の3分の2の合意に引き下げるということです。
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マンション老朽化対策と景気刺激

背景にあるのは、老朽化した団地やマンションの急増。国土交通省によると、築45年超えの団地が全国に291棟あり、2025年には約5倍の1500棟になる見通し。これはかなり深刻な問題で、早期の対策が急務。今回の改正は、その対策のひとつということなのでしょう。

新築マンションの分譲に加えて、老朽化した団地やマンションの建て替えによる民間の建設投資を促し景気への波及効果を期待しているようです。

そのために、都市部でのマンションや商業施設の建設に於ける税優遇制度を拡充した上で、2022年度まで延長することも盛り込むとのこと。「都市再生緊急整備地域」では固定資産税と都市計画税が5年間半額、不動産取得税は2割の減額になります。

大手不動産会社のマンション建て替え事業を後押し?

このところ、野村不動産や長谷工コーポレーション、旭化成不動産レジデンスなどがマンション建て替え事業に積極的に取り組み始めていました。先に述べたように、老朽化したマンションの建て替え需要は増加しています。しかし、所有者の高齢化や費用負担の問題など様々な要因で合意形成が難しく、なかなか建て替えに至らないというのが現状。

そういった状況下で、建て替えの合意要件が5分の4から3分の2に引下げられたことは、不動産業界による建て替え事業推進の後押しになりますね。長谷工コーポレーションは年間1~3棟だった建て替えを5~6棟に増やす計画。旭化成不動産レジデンスは、建て替え専門の担当者を倍増し売上目標も2倍に設定。

不動業界にそういった動きがある中で、今回の法改正は実にタイムリー。もしかして、水面下で政府に対する不動産業界からの働きかけがあったのではないかと勘ぐってしまいますね。何れにせよ、今後はこれを機に更に各社のマンション建て替え事業に弾みがつくことでしょう。当然、財閥系大手デベロッパーの本格参入もあるでしょうね。

不動産各社が建て替えに力を入れる背景

建て替え需要が増加しているのはもちろんですが、一方で新築マンションの建設用地が不足してきているという事情があります。都市部で売れるマンションの必要条件は立地の良さ。ところが近年では、そういった立地の良い建設用地の確保が難しくなっています。

そのため、好立地の用地を入手するにはライバル会社と競うことになります。その結果、マンションの建設用地は必然的に高値になってしまう。そういった背景があるので、立地の良い老朽化したマンションの建て替えに目を向けたということなのでしょう。

最近ではマンション管理組の理事会向けに、建て替えに於ける煩雑な作業のサポートや、建設費用を捻出するための多様なメニューを提案するセミナーが開催されています。単に建て替え需要があるマンションだけではなく、大規模修繕の時期を迎えたマンションにも建て替えを提案しているようです。

建て替えのハードルは所有者の合意だけではない

マンションを建て替えるには所有者の合意を得ることが必要ですが、そこに至るまでには様々なハードルがあります。最大のハードルは、建て替えに要する費用の捻出。

建て替えするということは、まず既存の建物を解体する必要があります。つまり、新たなマンションの建設費に解体費用がプラスされるわけですね。それに加えて、新居が完成するまでの仮住まいに掛かる費用もあります。そういった費用がネックになって、建て替えを断念するケースが多いというのが現実なのです。

所有者が持ち出し無しで建て替えをするには、住戸数を増やしてその売却収入で建て替え費用を賄うという方法があります。しかし住戸数を増やすためには、容積率に余裕があることが必須になります。そして、増えた住戸が費用を賄える価格で売れる見込みがなければなりません。そこで、立地の良さが重要になってくるというわけです。

そうであるなら、立地が悪く容積率に余裕がないマンションはこの手法は使えないということですね。ですので、不動産会社から積極的にアプローチされるのは容積率に余裕があって立地の良いマンションに限られるということになります。

今でも一定の要件を満たせば、容積率の緩和が認められるケースがあります。しかしそれは、限られた物件でしかありません。政府が本気で建て替えを推進するなら、あらゆるケースに柔軟に対応できる施策が必要です。そして不動産業界においても、不利な条件下でも所有者に費用負担をさせずに建て替えができる仕組みを作ることが今後の課題になるでしょう。

まとめ

国や大手不動産会社の思惑はどうであれ、老朽化した団地やマンションに於ける対策は急務。ですので、建て替えのハードルが下がることで老朽化対策になるなら、それはそれで有意義なこと。しかし、それだけでは大きな成果は期待できません。官民一体となった創意工夫が必要。全国的にマンションの空き家化も進んでおり、早い段階でリニューアルして入居者の活性化につなげられるなら、空き家を減らすことにもつながるでしょう。

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