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日本人建築家の「紙で作った家」がスゴすぎる!

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日本人建築家の「紙で作った家」がスゴすぎる!

「紙(紙管)の建築」で有名な建築家、坂茂(ばんしげる)さんが2014年、プリッカー賞を受賞しました。2013年の伊藤豊雄さんに次ぐ2年連続日本人の受賞ということで話題になりましたね。驚異的に世界を飛び回るその行動力に「疲れを知らない建築家」という呼び名を持つ、坂茂さんの魅力や作品に迫りたいと思います。

坂茂の経歴

坂茂

  • 1957年、東京生まれ、
  • 1980年~82年、クーパーユニオン建築学部在学。
  • 1982年、磯崎新アトリエ勤務。
  • 1984年、クーパーユニオンの建築学部卒業。
  • 1985年、坂茂建築設計を設立。
  • 1995年、NGO VAN(ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク)設立。
  • 1995年~1999年、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)コンサルタント。
  • 1999年、ニューヨークに事務所開設。
  • 2004年、パリに事務所開設。
  • 2010年、ハーバード大学GSD客員教授。
  • 2010年、コーネル大学客員教授。
  • 201110月~京都造形芸術大学芸術学部環境デザイン学科教授。
  • 201111月、フランス芸術文化勲章。
  • 2014年、プリッカー賞受賞。

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主な作品と坂茂の歩み

独立初期の頃には、エミリオ・アンバース展(1985)、ジュディス・ターナー展(1985)、アルバー・アールトの家具とガラス展(1986) といった展覧会の企画及び、会場構成を行っていました。初期の住宅作品としては、Villa TCG(1986) Villa K(1987) 3枚の壁(1988) Villa KAKU(1991年)といった一連のビラシリーズがありますが、この頃の作品は多様な素材を使った強い幾何学的形式や水回り部分をまとめたコアの導入といった特徴が見られます。

002↑Villa TCG

Villa TORII(1990) I HOUSE(1991年)からは幾何学的構成による設計手法からの脱皮が見られるようになります。他にも石神井(しゃくじい)公園の集合住宅(1992)などは2枚の平行な壁を自立させた作品です。

013↑Villa TORII

また80年後半以降、「紙の建築」シリーズをさまざまな形で展開するようになります。小田原パピリオン(1990)で仮設建築において、実験的に「紙」を用いましたが、構造家の松井源吾と協同で紙の強度に関する本格的な実験、開発を行い90年代には、「詩人の書庫」(1991)「紙のギャラリー」(1994)「紙の家」(1995)など恒久的な紙の建築物を発表するようになりました。

006

紙だけではなく、安価な杭を構造用の柱として転用した「PCパイルの家」(1992)、二重化した屋根によって屋根荷重を分離させた「ダブルルーフの家」(1993)、家具自体を主体構造にした「家具の家」(1995)などがあり、これら一連の住宅は「ケース・スタディ・ハウス」シリーズと名付けられています。

007↑「家具の家」

95年に、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に自らコンタクトを取り、ルワンダ難民に紙の建築による仮設住宅の提供を提案します。

また同年、日本で起こった関西淡路大震災において被災地である神戸長田区に58本の紙管を楕円形に並べた「紙の教会」(1995)が建てられ、さらに仮設住居として「紙のログハウス」(1995)30棟提供しました。また同年、透明で流動的な空間がテーマの「5分の2ハウス」も設計しています。

017↑「5分の2ハウス」

2000年、コロンビア大学客員教授。この年、ドイツのハノーバー万国博覧会の日本館を設計しました。この建物は6ヶ月後の解体時に大量の産業廃棄物を出さない為に、基礎にコンクリートを使用せず、木で箱を作り中にリユース可能な砂を入れて基礎とし、また膜材も焼却時にダイオキシンを出す塩化ビニールを使用せず、防水性能と不燃性能をドイツ基準に合わせた紙の膜を開発したということです。

2004年、「ノルマンディックミュージアム」を設計、これは紙管と現地で調達した大量のコンテナを使用することで建築を容易にし、建物が移動するというコンセプトを打ち出しました。021 (1)

2006年、「成蹊大学情報図書館」018

2007年、「ニコラス・G・ハイエックセンター」(銀座・スウォッチグループジャパンの本社ビルとショールーム)

ニコラス・G・ハイエックセンターphoto by swatch

2008年、中国の四川大地震では、紙管による小学校の仮設教室を建設。

2010年、「ポンピードゥ・センター・メス」(フランス・美術館)

ポンピドゥーセンター・メスphoto by 坂茂建築設計

2011年、「女川町多層コンテナ仮設住宅」は東日本大震災の被災者の為に建てられましたが、海上輸送用のコンテナを使った複数階建てのもので、中にはリビング、寝室、キッチン、トイレまで完備されています。

女川町コンテナ仮設住宅 photo by japan-architects

2013年、ニュージーランド地震(2011年)で崩壊したクライストチャーチの代わりに「紙の大聖堂」を完成。被災地のコミュニティーとして重要な役割を果たしているそうです。

紙の大聖堂↑photo by design room

その他にもトルコ、インド、スリランカ、ハイチなどでも被災者や難民の為のシェルターや紙のログハウスなど、地域のボランティア団体と協力して地元で手に入れられる材料を使って建設されています。

  • 「人間、いつ死ぬか分らないので、いつ死んでもいいように生きたい」
  • 「デザインの良い建築家ばかり必要とされている訳ではない、世の中では」
  • 「被災者用の住宅を建てても、お金持ちの住宅を造ったのと同じような満足感は得られる」

いずれも、坂茂さんの言葉です。ひとこと、ひとこと、心に響きます。

今後も益々のご活躍を心からお祈り致します。

photos by 「NOTEBOOK by Neil Barrett

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