マンションジャーナル

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マンション購入時につい忘れがちになる地盤の大切さについて、考えてみませんか

マンション購入時につい忘れがちになる地盤の大切さについて、考えてみませんか

マンションであれ一戸建であれ、すべての家は地面の上に建てられています。それが一戸建てであれば購入者は土地についてもある程度は気にするものですが、ことマンションとなるとほとんどの方が「そのマンションが建っている土地がどういう土地であるか」という事についてほとんど気にしません。共有住宅であり庭などもない事から、どうしても「土地」についての意識が薄くなるためです。

それでも新築マンションであれば、デベロッパーの説明の中でそのマンションが建設される土地や地盤についての説明も一応はあるのが普通ですが、中古マンションともなると、そもそもそのマンションがどういう土地の上に建っているのかという事については、情報不足もあり気にする人はほとんどいません。

地震のような大きなエネルギーのものから見れば、マンションも一戸建ても「大きいか小さいか」の違いだけで同じような建物にすぎません。しかし、ことマンションとなると私達はどうしても「土地」についての配慮を欠く傾向があるのです。はたしてこれでいいのでしょうか?
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「多少マンションの下の地盤が柔らかくても、その地盤に対してしっかり基礎杭を打っているはずだから大丈夫」そう思っている方もいるかと思います。

しかし、そういう考えを持っている方も、昨年問題になった横浜の杭打ち不正問題を見て不安になったのはではないでしょうか。当初は旭化成建材の個別担当者の問題だと言われていたこの問題ですが、結局、その後の調査で業界全体で発生していた事が判明しています。

さて、その杭打ち不正問題の話題も冷めやらぬなか、今週の朝日新聞に興味深い記事があったので今回はそれを元にして記事を書いてみます。

朝日新聞の記事とは

朝日新聞の記事はこちらです。

「震災による建物の基礎杭損傷、42棟 氷山の一角」

内容についての詳細はオリジナルの記事を読んでいただくのがいいのですが、簡単に記事の内容を要約します。

  • 東日本大震災で建物の基礎杭自体が損傷を受けた可能性がある61棟の公共の建物を調査した
  • 調査対象の61棟のうち42棟で実際に基礎杭の断裂等の被害が発生していた
  • 42棟のうち16棟は1981年の新耐震基準以降に建築されたもの
  • 42棟のうち、低地の建物が23棟、埋立地や盛土地に建てられた建物が9棟と柔らかい地盤に建てられているものに被害が多かった。また液状化によると推定されるものも5棟あった
  • あくまでも公共建造物の調査であるため民間の建物については未調査。

という内容です。

この調査で私達が特に重要だと思う点は
「基礎杭が破壊されている42棟のうち16棟は新耐震基準のもの」
「基礎が破壊されている建物の多くは比較的柔らかい地盤に建てられたもの」
という点です。

つまり「最新の耐震基準に準拠して建てられた物件であっても、柔らかい地盤に建てられた建物の場合は、地震により大きな被害が出る可能性がある」事がこの調査により明らかになったのです。

地盤の安定した土地の大事さ

昔から家を買うときには安定した地盤の家を選ぶように言われてきましたが、先の調査ははからずもそれを証明した形になりました。
建築物は土地の上に建っているものである以上、どんなに立派な家であっても、それを支える土地がしっかりしていなくては安全面においてどうしても限界があるという事です。

建物が建てられている土地自体が軟弱で地震等で大きく揺れる、ときには崩れてしまうような状況では、いくらしっかりした基礎を打ったとしても被害を受けてしまう事があるのです。

柔らかい地盤の上に建てられているマンションの場合「強固な地盤まで届く杭を打っています」と説明している物件もあるのですが、それもその杭自体が断裂してしまうほど地面が揺れてしまえば意味をなさなくなるわけです。

逆に言えば仮に設計が悪くあるいは手抜き工事により杭打ちが多少弱くても、その物件が建っている土地自体がしっかりしていればその影響は少ないとも言えます。

「地盤の安定した土地を購入する事」がどれほど重要か、理解いただけたでしょうか。

地盤のよい土地とは?

「地盤がしっかりした土地を買うため」に重要な事。
それは「地盤のよくない土地」を買わないことです。

では「地盤のよくない土地」とはどんな土地でしょうか?
その答えとして最初に浮かぶのは「水が出る土地」です。

少し堀っただけで水が出る土地というのは、もともと河川や沼であったりする可能性が高く、しかも地面が柔らかいため、家を建てるにはあまり感心しない土地です。

そういう土地は地震による地滑りや液状化が発生しやすく、また地下水の状況変化による地盤沈下などが起きることがあります。
たとえば、東日本大震災のときに千葉県浦安市で大規模な液状化が発生し問題になりましたが、あれも液状化が発生した土地が埋立地だったからこそ液状化が発生したのです。

もちろん、マンションなどであれば、基礎をしっかり打つ事や地盤改良を行う事で問題が出ないように対策を施しているのが一般的です。
実際に、先の浦安の液状化も、埋立地全てで発生しているのではなく、むしろ新しい埋立地では問題が少なかったことがわかっています。
つまり地盤の弱い土地であっても、きちんと対策する事である程度そういう被害を減らす事ができるのです。

しかしそれでもこれから新しく購入する方であれば、できればそういう土地を避けた方がいいのは間違いないでしょう。とはいえそれがマンション、しかも中古マンションともなれば情報も少なく、その土地自体の出自を調べるのは大変かもしれません。

しかしそれを推定できるいくつかの方法があります。

土地の名称からわかる土地の素性

そこがもともとどんな土地であったかという点については、その地域の名称から判断できる場合があります。

唐突ですが、中央線の神田以西の駅名を少し思い浮かべてみてください。「四【谷】」「市ヶ【谷】「千駄ヶ【谷】…そして新宿から西では「荻【窪】」「阿佐ヶ【谷】」「中【野】」「大【久保】」。駅名にはそこが低い土地である事が判断できる名前が並んでいます。

たとえば「荻窪」駅の上り側ホームには、荻窪という地名の由来が書かれた案内板が設置されているのですが、それによると荻窪という地名は「萩(稲科多年草)の生えていた窪地」という意味で名づけられたという記載があり、もともと荻窪が低い位置にあった事がわかります。

事実、中央線の神田以西の線路は武蔵野台地の中にある谷を走る形で走っている事もあり駅自体はその地域の中では最も低い位置に設置されているところが多く、まさにこれらの駅の地名について名は体をあらわすことになっています。

この例からわかる通り、古くからある地名はそこがもともとどういう土地であったかを表す重要なヒントをあらわしている事があります。

別のわかりやすい例として誰でも一度や二度は行った事があるであろう「渋【谷】」を思い浮かべてください。渋谷駅周辺を思い出していただければわかると思いますが、この駅は周辺の中でもっとも低位の場所に存在しています。渋谷の東口を出れば「青【山】」へと上り坂になっており、渋谷の西口を出れば「道玄【坂】」方向へとこちらも上りになっています。渋谷駅自体は、どこから見ても「下っていく」方向に存在していて、まさに「谷」にあたるところに位置しているのです。

このように古くからある地名は、そこの土地がどういう土地であるかを示す重要なヒントになっていることが多いのです。

ですから先に書いたような元々「水」になんらかの関連がある土地については、「沼」や「池」「水」「谷」など水と関連した地名がついている場合が多いのです。

もちろん、そういう地名がついている土地が必ずしも悪いとは限りません。そういう地名がついている場所では、その土地について特に気を付けて調べてください、というだけの話です。しかし、そういう用心をするかどうかの積み重ねが、間違いのない不動産購入への近道なのです。

もっと真剣に地盤の安定性について考えたい方には「関東大震災 大東京圏の揺れを知る(鹿島出版会)」という書籍をご覧になる事をおすすめします。これは鹿島建設で地震等の研究をされている方により書かれた本なのですが、この本の中では、関東大震災のときに東京のどの地域がどれだけ揺れたかという事が地図でわかりやすく示されています。

そして、その地図を見ると「日比谷」や「四谷」「渋谷」などの地名の地点が関東大震災のときにはやはり大きく揺れた事がわかります。
こと「地盤」に関しては関東大震災のときも今の東京もほとんど変化はないわけですから、東京で家を買おうと考えている方で今後の震災が気になる方にはぜひこの本をご一読する事をおすすめいたします。

あらためて書きますが、古くからある地名というものは、先人がその土地に対して意味をもってつけたものである事が多く、そして自然災害に対しては、名は体を表す事が多いのです。

水が出ない土地以外でも、注意すべき土地

土地を見るときに避けるべきは沼や水田など水に関係する場所に限りません。たとえば、廃棄物を用いた埋立地は地盤沈下や液状化がおきやすいとされていますし、廃棄物の内容によっては土地から毒性のある物質が出てくる可能性もあります。また元々工場があったような土地では、薬品などで土壌が汚染されている場合もあります。

このような事例として簡単に確認できるものとしては、ここ数年ニュースなどで話題になっている「築地市場の移転問題」があります。これは築地市場の移転予定先だった豊洲新市場予定地の土地が土壌汚染されていて移転が滞っているという問題です。詳細にいては公式サイトで確認いただければ、と思いますが、要約すると、移転予定の豊洲新市場予定地には元々工場があった関係で土壌汚染があり、しかも埋立地であるため東日本大震災で液状化も発生したというものです。
(詳細について書かれた公式サイトはこちらのURLになります。http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/faq/03.html

築地市場の場合は、調査により移転予定地で土壌汚染が確認され、また震災で液状化があったこともわかっていて、これについて本格的な対策がとられることになっています。しかし民間のマンション等で、しかもすでに建築されている物件であれば、仮に問題が判明してもなかなか後から対策というわけにもいきません。

まとめ

そのマンションが建つ前にそこにはどのような建築物があったか等、できるだけ確認してから購入する事をおすすめいたします。マンションを買うときには、ついつい土地を買うという感覚がなくなってしまうものですが、実際には一戸建て購入同様に土地に対して調べる事は重要になります。それを忘れないようにしてください。

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