マンションジャーナル

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【知っ得!】何でマンションって石で作れないの?

【知っ得!】何でマンションって石で作れないの?

マンション、特に中古マンションを購入する人が気になるのが「マンションの寿命」です。目の前にあるこのマンションは、あと一体何年間住めるのだろう?というのは、マンションを購入する人なら誰しも考える疑問です。海外に目を転じて欧州には築100年や200年という古いアパートメントなどが普通にあります。それを見ると日本のマンションも100200年と持つのだろう、そう思うかもしれませんが、実は欧州の古い建物には日本と決定的に違う点があります。

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日本のマンションがみな鉄筋コンクリートで造られているのに対し、欧州の古い建築物はみな石造り、煉瓦造りであるという事です。「三匹の子豚」ではありませんが、石やレンガで出来た建物は丈夫で、しかも補修も欠けたりした部分を交換するだけなので簡単です。そのため欧州には何百年も前に造られた建物が普通に存在し今も人が実際に住んでいるのですが、ではそもそもなぜ、日本のマンションは鉄筋コンクリートで造られているのでしょうか?

日本のマンションが石造りではない理由

日本のマンションが鉄筋コンクリートで造られている最大の理由は「地震」です。日本は世界でも類を見ないほどの地震大国であるため、マンションのような建造物を作る際には、粘りがあり地震に強い鉄骨を入れて強化する必要があるのです。煉瓦造り、石造りというのは、簡単に言えばブロックを積み上げた積み木細工のような構造ですから、大きな地震が来たらひとたまりもありません。

日本に欧州のような建築物を建てた場合、少し大きな地震がきたらあっという間に倒壊してしまうでしょう。地震の多い日本では、マンションのような大きな建築物は、地震に強い鉄筋コンクリートで造らなくてはならないのです。

鉄筋とコンクリートの素敵な関係

ごく普通に使われる「鉄筋コンクリート」という言葉ですが、そもそもなぜ「鉄筋+コンクリート」という組み合わせになっているのでしょうか?実はこの2つの素材はお互いの長所と短所を絶妙に補いあう関係になっていて非常に相性がよいのです。

たとえば、鉄筋の最大の弱点は何だと思いますか?
それは「錆びやすい」ことと「曲がりやすい」ことです。

鉄が錆びやすいのはみなさんご存じだと思います。何のメッキもしていない鉄であれば、ちょっとした雨の日に外に放置するだけで数日で錆が出てしまうのをご存じの方も多いでしょう。錆というのは、(学校の理科で習ったと思いますが)物質が酸化する事です。

酸化を防ぐにはどうすればいいか?
それはアルカリ性の物質で中和してあげる事です。

そこでアルカリ性のコンクリートで酸化しやすい鉄を覆ってあげるわけです。

もしマンションの鉄筋がむき出しであれば、どんなにメンテナンスしてもすぐに錆びてしまうでしょうが、それをアルカリ性のコンクリートで覆う事で錆びないようになっているのです。

また鉄筋というのは、簡単に言えば針金を太くしただけのものですから、基本的には曲がりやすい性格をもっています。そのままでは圧力がかかった時に簡単に曲がってしまうので、圧縮に強いコンクリートでそれを覆って支えてあげる事で曲がるのを防いでいるのです。

逆にコンクリートには圧縮に強い反面、引っ張りには弱いという特性があります。コンクリートの壁にヒビが入るのは、コンクリートが引っ張りに弱いからこそなのですが、このコンクリートの弱点を逆に引っ張りに強い鉄筋が中で支える事で補っているのです。

まさにお互いがお互いを支えあっているわけですね。

また、コンクリートと鉄は熱膨張率が同じだという都合のいい特性があります。二つの物質の熱膨張率が異なっていると、暑い日や寒い日にズレてしまい歪が生じてしまいますが、そういう問題が発生しないため非常に相性のいい組み合わせなのです。

まさにゴールデンペアと呼べる組み合わせ、それが鉄筋コンクリートであり、マンションの建築にはこれしかないと言える素材なのです。

鉄筋コンクリートの寿命とは

ではマンションの基本構成物である「鉄筋コンクリートの寿命」はどれくらいなのでしょうか?
そして、そもそも鉄筋コンクリートはどうなったら寿命がくるのでしょう?

鉄筋を錆びさせないためにアルカリ性のコンクリートで覆う、と先に説明しました。しかし、コンクリートは風雨により徐々に中性化していってしまいます。中性化はコンクリートの表面から少しづつ進行していくため10年や20年では表面から数ミリ~1cmしか中性化しません。しかし長い年月がたてばいつかは鉄筋を直接覆っているコンクリート部分までも中性化してしまう事でしょう。そうなると鉄筋を錆から守る力が弱くなるため鉄筋が徐々に錆びてしまうのです。

ご存じの方も多いと思いますが、鉄は錆びると膨張します。コンクリートの中の鉄骨が膨張するという事はコンクリートが外部に押し出される事になるため、コンクリート表面にはヒビが入る事になります。そうなるとそこから雨水が侵入してくるため中の鉄筋はさらに錆びてしまう、のような悪循環が起きはじめると加速度的に鉄筋コンクリートの劣化が進み、そこで寿命を迎えるのです。

以上からわかる通り、鉄筋コンクリートの寿命を長くするためには、鉄筋を覆うコンクリートが厚ければ厚いほどコンクリートの中性化が鉄筋に到達するのが遅れるから有利な事がわかります。

鉄筋の上のコンクリートの厚みの事は「かぶり厚」と言うのですが、建築基準法では、これを3センチ以上にするように求めています。少なくとも3センチあれば数十年は耐久性がある、という前提なのですが、あくまでもこれは法律で定められた最低基準。優良な物件ではこのかぶり厚を3センチ~5センチとるのが一般的です。

また、これは余談なのですが、古いマンションの耐震診断を行う際には、設計図面等の評価だけではなく、実際にマンションの壁に穴をあけてサンプルを採取しコンクリートの中性化がどこまで進んでいるかも調べてくれます。つまり現状でどれだけマンションのコンクリートが劣化しているかの診断までも行ってくれるため、非常に信頼性が高い診断だと言えます。

結局のところ、マンションの鉄筋コンクリートは何年持つのか

さて、ではマンションに使われている鉄筋コンクリートは何年持つのか?

これについては今のところ諸説あり決まった答えは出ていません。一般には60年程度と言われていますが、これもあくまでも参考程度に考えていたほうがよいかと思います。

今のところ、ちゃんとメンテナンスされているマンションにおいて鉄筋コンクリートがボロボロに劣化して寿命がきたマンションというのがそもそも存在しないためです。マンションは定期的にきちんとメンテナンスを行う事でその寿命を延ばす事が可能ですし、風雨などの外部環境もマンションによってさまざまです。

そもそもコンクリートの上には風雨からコンクリートを守るためにタイルを張るのが一般的ですし、それもきちんとメンテナンスされていれば、コンクリート自体の寿命は計算よりさらに延びます。また、コンクリートが中性化したからと言って鉄筋がすぐに錆びてダメになるわけでもないですし、こればかりは現状では答えがないのです。

少なくともマンションの寿命が60年程度ではない事は確かでしょう。もし本当に鉄筋コンクリートの寿命が60年程度であれば、戦後比較的早く建てられて団地やマンションの多くがそろそろ寿命で倒壊の危機を迎える事になりますが、実際にはそんな話は聞きません。実際に建て替えられているマンションを見ると、むしろ他の理由で建て替えられる事が多いのです。

マンションの寿命は躯体だけでは決まらない

皆さんは、分譲マンションで一番最初に建て替えられた物件をご存じでしょうか?

それは日本住宅公団が1956年に分譲した宇田川住宅です。名前の通り渋谷にあった総戸数90戸、鉄筋5階建ての分譲マンションでした。現在そこには1975年に建てられた「渋谷ホームズ」が建っています。総戸数270戸、地上14階建てのマンションです。その建設のために宇田川住宅が取り壊されたのは1973年の事ですから、宇田川住宅はわずか17年で寿命を迎えた事になります。

なぜそんな短い期間に建て替えられることになったのでしょうか?

この建て替えはマンション本体の劣化が原因ではありません。実際にこのマンションで建て替えの計画が始まったのは、1968年の事。マンションが建ってわずか12年目の事だったのです。この時点で住民の主流派が建て替えを希望して行動を起こしたのです。

その理由は何か?というと、簡単に言えば「間取りが手狭で使いづらかった」からです。

宇田川住宅で分譲された部屋の占有面積は47㎡だったのですが、1950年代には問題なかったその間取りも、10年も建てば住むには手狭になってしまっていたのです。加えて渋谷のメインストリートに面した絶好の立地と、もともと建蔽率に余裕があったため建て替えることで部屋数を3倍に増やせる事。高度成長期で分譲価格も上げられるため余分に増える部屋は一般に分譲することで建て替えの費用はすべてまかなえてしまい、住民はタダで新しく広い部屋を入手できたのです。

それら各種の条件が揃っていたため、宇田川住宅は17年という短い期間で建て替えられる事になったのです。

ここからわかるように、マンションの寿命というのは必ずしも老朽化などの物理的な理由だけでくるわけではなく、周辺状況や社会的なニーズ等多彩な要素で決定されます。仮に欧州の古い建物であっても、たとえばその地区が再開発になれば当然取り壊され建て替えられる事になるわけです。

マンションの寿命というと「鉄筋コンクリート」という物理的要素だけに目を奪われがちですが、実際にそのマンションを購入する際には、そのマンションを取り巻く環境を総合的に検討してみる必要があります。

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