
上品で洗練された“街”、そんなイメージが「青山」にはありますよね。赤坂、麻布と並んで3Aと称され、資産価値が落ちにくい街として有名な青山。
六本木や広尾のように、国際色豊かな町というイメージもありますよね。特に「青山一丁目」と聞くと、如何にもその中心という感じがしませんか?
そんな「青山一丁目」って、どんなところなのでしょう。今回は、知っているようで意外と知られていない「青山一丁目」についてご案内しましょう。
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
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青山一丁目という地名は存在しない?
地下鉄の駅名は、「青山一丁目」。でも「青山一丁目」という地名なんて存在しないって知っていますか。
そもそも、「青山」という地名は昔も今も、東京の地名には存在しないのです。行政地名は「北青山」と「南青山」しかなく、「青山」というのは北青山一丁目から三丁目、それと南青山一丁目から七丁目のエリアを指す通称でしかないのです。
なので、屁理屈を捏ねると青山一丁目に住んでいる人はいないってことになるわけです。もちろん、青山一丁目にはお店もないということです。
そもそも、そんな地名はないのですから。厳密に言うと、「青山一丁目」駅の周辺に住んでいる、もしくはお店があるということになります。何だか紛らわしというか、面白いですね。
「青山一丁目」駅の周辺には何がある?
photo by 中田工芸
青山というと、ハイセンスなブティックやヘアサロン、それからオシャレで上品なグルメ店が立ち並んでいるイメージがありますよね。では、「青山一丁目」駅周辺にはどんなお店があるのでしょう。
青山ツインビルにファションや雑貨、カフェやレストラン、居酒屋などがありますが、駅周辺に路面店は殆どなく、どちらかというとオフィス街といった感じ。
なので「青山」のイメージとは違って、意外とオシャレなブティックやレストランはないのです。もちろん、そんなことは“青山通”の方ならご存知でしょうけどね。
意外と知られていない「赤坂御用地」
駅の北東には、緑豊かで広大な敷地の公園のような場所があります。木樹で覆われて中が見えないので、ここが何なのか知らない方も多いのではないでしょうか。
実はここが、テレビや新聞で皇室関連の報道でよく出てくる「赤坂御用地」。それでもピントこないなら、皇太子ご一家や、秋篠宮ご一家が住まわれている「東宮御所」や「秋篠宮邸」がある所と言えばお分かりでしょうか。
「赤坂御用地」の中央には、天皇陛下主催の園遊会が開催される「赤坂御苑」もあります。そして北東の端には、訪日した外国賓客の接遇施設である「迎賓館」が隣接しています。
長い歴史を持つ迎賓館(photo by 内閣府)
皇室の方々の住居は皇居内にあると思っている人も多いようですが、皇居に住まわれている皇族は天皇、皇后のお二人だけで、その他の皇族は「赤坂御用地」の中に住んでいらっしゃるのです。
「赤坂御用地」は、元々紀州徳川家の上屋敷があった場所。明治政府によって接収されて皇室に献上されたのですが、戦後に国有財産となり皇室用に供されています。
敷地面積は、約50万㎡という広さ。財務省による資産価値は1,565億円となっていますが、実際の地価相場で計算すれば5,000億円以上でしょう。もし売りに出されれば大手デベロッパーが飛びつくでしょうが、まず、そんなことはあり得ないでしょう。
意外と多いスポーツ施設
駅から青山通りを挟んで北西には「秩父宮ラクビー場」、その北隣に「明治神宮球場」があり、更にその北側にはこのところ何かと話題になっている国立競技場。
もっとも、「青山一丁目」駅から国立競技場までは結構な距離がありますけどね。でも明治神宮外苑には意外と近くて、テニスクラブや軟式野球場、フットサルコートなど、多くのスポーツ施設が点在しています。
青山霊園
↑都心とは思えないほどの敷地を誇る青山霊園(photo by wikipedia)
駅南側のオフィス街を抜けると、そこにあるのは約26万㎡の広大な敷地を有する「青山霊園」。東京都立の霊園で、日本初の公営墓地でもあります。
ここには政治家や文学家、芸術家などの著名人の墓が多くあるのですが、何故か「忠犬ハチ公」の墓もあるそうです。でも、ハチ公の遺体は剥製にされているので、墓の中には何もないらしいです。
photo by wikipedia
墓地にもブランドがあるらしく、青山霊園はその最高峰のようですね。2003年から43年ぶりに一般募集が再開されたのですが、今でも倍率は約20倍と超難関だそうです。
流石、「青山」ブランドですね。お金持ちしか入れないお墓なのでしょうが、いくらお金があっても抽選に通らなければ入れないということです。お金を積んで裏から特別に、というわけにはいかないようですよ。
まとめ
この地にお住まいの方はもちろんご存知でしょうが、「青山」という地名が存在しないことをご存じない人も少なくないでしょう。
また「赤坂御用地」についても然りでしょうが、そもそも庶民にはあまり縁のない場所ですからね。通称「青山」のグルメやショッピングには詳しい方でも、意外と知らない“マメ情報”ではないでしょうか。
eye catch photo by 内閣府