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マンションの寿命を延ばし、資産価値を高める「スケルトン・インフィル」とは?

マンションの寿命を延ばし、資産価値を高める「スケルトン・インフィル」とは?

近年、注目を集めている「スケルトン・インフィル」は従来のマンションに比べて耐久性が高く、間取り変更を容易にする可変性の高い建築方法であるとされています。国土交通省も長期優良住宅につながるとして推進しています。確かにそういうマンションであれば、建物としての資産価値は高くなると思いますよね。

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定義はまだ決まっていない部分も

しかし、「スケルトン・インフィル」という建築仕様の定義には、曖昧な部分が多くあります。基本的な概念は、建物の構造部分(スケルトン)と内装部分(インフィル)を明確に分離した建物ということなのですが、細かい仕様については明確な基準がないのです。

「スケルトン・インフィル」のマンションと銘打っていても、物件や開発事業者によって建物の仕様は様々。中には、「それって本当にスケルトンって言えるの?」という建物もあります。

例えば、専有部の間取り図にPS(パイプスペース)と表示され箇所があるケース。PSは共用部ですから、本来なら専有部の外にあるはずのもの。それなのに、「スケルトン・インフィル」仕様と銘打つのは如何なものかといった感じです。「スケルトン・インフィル」仕様のマンションといっても、その実は玉石混淆で必ずしも自由に間取りを変更してリノベーションできるとは限らないのです。

ということで、今回は「スケルトン・インフィル」の耐久性や可変性についての具体的な説明と、購入前のチェックポイントをご案内しましょう。

耐久性が高い理由

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マンションの構造体、つまり躯体はコンクリートで造られています。コンクリートの寿命は大体60年で、高品質なコンクリートを使用すれば100年保つと言われています。しかし配管設備の寿命は2530年ですから、配管設備のメンテナンスや交換が出来ていなければ、住宅としての寿命は60年も保たないという理屈になります。

配管が問題

古いマンションは直床になっていて配管は躯体のコンクリートスラブの中に埋め込まれているケースが多く、その場合は配管を交換する際に躯体の一部を壊す必要が生じます。そうなると、大工事になり費用がかさんで区分所有者の負担が大きくなります。ですから、結果として取り壊した方が早いということになってしまうのです。

でも、古いマンションの全てがそういう構造だということではありません。一般的なマンションは直床でも壁側にPS(パイプスペース)があって、そこに共用配管が通っています。間取り図にPSと表示されている部分ですね。でも、浴室やトイレといった水回りの配置を変更しない範囲であればリフォームは可能です。問題なのは、共用配管設備を交換する際に専有部分の壁を壊す必要がある点です。

「スケルトン・インフィル」は建物の躯体と内装設備が分離され、共用配管が専有部分の外側に設置された構造になっています。なので、専有部分や躯体を傷つけることなく何度でも配管設備のメンテナンスや交換が可能になります。というわけで、コンクリートの寿命と建物の寿命がイコールになり、建物の耐久性が高くなるということです。

環境に優しい

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もともと日本は新築思考が強いので中古住宅の流通は欧米に比べて極端に少なく、建物の耐久性に対する意識が希薄でした。それ故、スクラップ・アンド・ビルトが繰り返されてきたわけですね。しかしそれは資源の無駄ですし、大量の廃棄物が出るので環境にもよろしくありません。

やっと、それに気づいたということでしょうか。今更という感もありますが、実際は新築価格が高騰する中、中古マンションが見直されてきたことの方が要因としては大きいのかもしれませんね。いずれにしろ、マンションの耐久性が高まり、スクラップアンドビルトからメンテナンスをしながら長く住み続ける方向に変わってきたことは間違いないでしょう。そしてそれは、環境にとっても好ましい潮流と言えます。

自由な間取り変更ができるという根拠と注意点

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水回りの配置を変えるには二重床が必須

浴室やトイレ、キッチンなどの水回りの配置を変えるには、床下の配管も移動させる必要があります。そのためには、二重床であることが必須になります。基本的に「スケルトン・インフィル」であれば二重床になっているのですが、問題はその深さなのです。水回りの配管を移動させる場合、床下にある程度の深さが必要になります。しかし物件によっては、場所によって二重床の深さが異なる段差スラブ構造になっているケースがあるのです。

通常の段差スラブの二重床は、既存の水回りの二重床は深く、リビングや居室の床下は浅いという構造になっています。したがって、水回りの設備をリビングや居室に移動させることができないのです。つまり段差スラブ構造では、自由な間取り変更はできないということになりますね。単に二重床だからと安心せず、場所による床下の深さに差がある段差スラブかどうかを確認しておく必要があります。この点については専門的なことなので、ディベロッパーの営業担当者でもよく分かっていないことがありますから注意が必要です。

マンションによっては管理規約で間取り変更に制限がある

仮に水回りの位置を変えることが可能な構造だとしても、下の階の寝室の真上にトイレがあるといった間取りになることもあり得ます。そうなると、水を流す音などで階下の住人との間で騒音問題が発生する恐れがあります。そういった問題を防ぐために、管理規約で間取りの変更を制限しているマンションがあるのです。この場合も、自由に間取りを変えることができません。

ということで、「スケルトン・インフィル」と銘打ったマンションであっても、マンション規約の確認をしておく必要があります。いざ間取り変更をしようと思ったら、規約で制限されているのでNGということになってしまいますから。

間仕切り壁と構造壁

マンションの専有部には壁がありますが、これには取り壊せる間仕切り壁と壊せない構造壁があります。いずれの壁にもクロスなどが貼ってあるので素人目には分かりづらいのですが、構造壁はその名の通り構造体なので建物の躯体ということになります。つまり間仕切り壁は内装設備でインフィルの一つ、構造壁は共用部の躯体であるスケルトンの一部ということですね。

間仕切り壁は自由に取り外して間取りを変えることができますが、構造壁はそうはいきません。ですので、専有部の中で何処が構造壁なのか確認しておく必要があります。構造壁の位置によっては、思うような間取りにならない可能性がありますから。

「スケルトン・インフィル」仕様のマンションの場合、「スケルトン」と「インフィル」の区別を明確になっているのが原則です。ですので、専有部に構造壁を造らないような設計にするのが理想。しかし先に述べたように、「スケルトン・インフィル」の定義には曖昧な部分があるので、物件によって違いが出てしまうのです。そして販売する側の担当者も、明確に説明できないというのが現状なのです。ですから、ひと口に「スケルトン・インフィル」仕様といっても、全て同じではなく必ずしも自由自在に間取り変更が可能ということではないことを知っておいてください。

間取り変更のコストパフォーマンス

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確かに「スケルトン・インフィル」仕様のマンションは、可変性が高く水回りも含めて自由な間取りの変更が可能です。しかし、あくまでも容易であるということであって、水回りまで変更するとなればそれ相応の費用が掛かります。大掛かりな間取り変更に多額の費用をかけるより、コスパを考えると好みの間取りのマンションを見つけて買い替えた方が安くつくという場合もあります。

現実的には、水回りの配置まで変えるような大掛かりなリノベーションをするケースはそれほど多くはありません。大概は部屋の間仕切りを取り払ってリビングを広くするとか、二つある部屋を一つにするといったケースが多いのが実情。水回りをリフォームするにしても、基本的な配置はそのままで、システムキッチンやアイランドキッチに新調することの方が多い。またトイレや浴室についても、新しい設備に交換するのがメインで配置を変えることは少ないですね。

であれば、必ずしも二重床である必要はないということになりますね。それに、リノベーションを前提に中古マンション購入を検討する場合、大掛かりな水周り設備の位置変更を必要としないなら、必ずしも「スケルトン・インフィル」仕様の二重床である必要はありません。それに二重床は「スケルトン・インフィル」仕様の専売特許というわけではなく、既存のマンションであっても二重床になっているケースはありますから。

まだまだ新しい技法

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日本における「スケルトン・インフィル」の歴史はまだ浅く、2000年頃から普及し始めた工法です。なので、比較的価格の安い築30年を超えたマンションは「スケルトン・インフィル」仕様ではありません。でも上手に物件を選べば、古いマンションでも好みに合わせたリノベーションをすることは可能です。

「スケルトン・インフィル」仕様で、立地の良い築浅の中古マンションの価格は決してお安くありません。ですので、間取り変更が容易であるという可変性の高さだけで「スケルトン・インフィル」仕様のマンションにこだわるのは、コスパ的にも合理的とは言えませんね。

マンション購入時の年齢や家族構成、ライフスタイルによってコスパの意味や概念は変わってきます。何に価値を見出すかは人それぞれですから、世間の風潮に流されることなく冷静な視点で自分にあったマンション選びをしてください。

まとめ

耐久性と可変性が高い「スケルトン・インフィル」仕様の建物は、今後の主流になっていくでしょう。そういった潮流は単に資産性が高くなるということだけではなく、資源の有効活用や環境保護という観点からも必要な流れと言えるでしょう。だからといって、既存のマンションの価値が相対的になくなる、または低くなるということではありません。大切なのは次々に新しく建築するのではなく、長く住み続けるために何が必要なのかということに意識をシフトさせること。そして古いものを大切にメンテナンスして、新たな価値を生み出すことではないでしょうか。

著者について

マンションジャーナル編集部TAKAHASHI
不動産ライター。元不動産会社勤務。長年の業界経験を生かし、かしこいマンションの選び方から不動産投資、住宅ローンなど幅広いテーマで執筆中です。

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