
マンションの物件案内でよく見かける、「バルコニー」と「ベランダ」という表記。その違い、ご存知でしょうか?
この2つ、建物の形が多様化している近年は特に区別されずに使われていることも少なくありません。が、建築用語としてきちんと違いがあるのです。
今回はバルコニーとベランダの違いと、知っておくべき注意点についてご紹介します。
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
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ベランダとは
まずはベランダから。建物の外側にある、屋根付きの歩行可能なスペースがベランダです。昔の日本家屋にある縁側も、洋風に言うとベランダということになりますね。一戸建ての2階にある洗濯物を干したりする屋根付きのスペース、といえばイメージしやすいでしょうか。
マンションの場合は、1階でも上に屋根があればベランダと呼びます。大概の場合、上の階のベランダ部分が、下の階の屋根という構造になっています。
なので、建物の側面がフラットになっているタイプのマンションであれば、すべて「ベランダ」ということになります。が、物件概要を見ると、バルコニーと表示されているケースを多く見かけます。建築用語としてはベランダなのですが、何だか紛らわしいですね。
また、マンションの1階で屋根のないスペースはテラスと呼びます。マンションによってはテラスに加えて専用庭が付いていることもありますが、別途に使用料が必要なケースが多いですね。↑(写真上)テラス席。まれにマンションにも付いています。
バルコニーとは
ベランダは屋根があるのに対して、バルコニーは屋根がありません。バルコニーは2階以上で、手すりがあるスペースのことです。
多くの場合、ベランダよりバルコニーの方が広くなります。これは通常、ベランダの屋根が上の階のベランダ部分であるのに対して、バルコニーは屋根がない分だけ外側にせり出して造られているためです。よく最上階の住戸で見かける下の階の屋根を利用した広いスペースは、「ルーフバルコニー」と呼ばれています。ルーフバルコニーは様々な使い方ができますが、メリットもあればデメリットもあります。
>>ルーフバルコニーの使い方! メリット・デメリットをご紹介します>>
マンションのベランダやバルコニーで注意すべきことは
ベランダやバルコニーは優先的に使用する権利はありますが、窓から内側の専有部分とは区別された共有部分になります。
隣との境は薄い板で仕切られ、火災などの災害時に避難路として使うために簡単に蹴破れるように作られています。非常時には、ベランダやバルコニーは避難通路になります。そのため、通路を塞ぐような物を置いてはいけないことになっているのです。気持ちとしては専有部分ではあるのですが、あくまでもベランダ・バルコニーはマンションの共有部分であるという点は認識しておきましょう。
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まとめ
呼び名がベランダかバルコニーかという問題よりも、大切なのはその使い方です。マンションという集合住宅では、たとえ専有部分であっても上下左右の住人に対する気遣いは大切です。共有部分であるベランダやバルコニーの使用についてはルールを守った使い方をしなければなりません。
ルーフバルコニーは室外ではありますが、その名の通り階下の住戸にとっては屋根です。つまり、下の階の天井に位置しているということです。階下の住人への影響を考慮して、お互いに気持ちよく住まえるように心がけたいものですね。
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