マンションジャーナル

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Real Estate Tech(リアルエステートテック)が与える凄まじいインパクトとは

Real Estate Tech(リアルエステートテック)が与える凄まじいインパクトとは

Real Estate Tech(リアルエステートテック・別名「不動産tech」)という言葉が注目し始められてきています。既に金融業界ではFinTech(フィンテック)という波が旧態依然とした業界に様々な影響を与えていますが、さらに大きな波が今不動産業界にも訪れようとしているのです。

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Real Estate Techとは一体何か

リアルエステートテック1

Real Estate Techとは一言で言えば「テクノロジーの力によって、不動産業界の仕組みを根底から変えよう」という取り組みのことです。不動産業界は37兆円の巨大市場。「衣・食・住」という、人間が生活していく上で必ず必要になる「住まい」に関わる重要な産業分野です。別の読み方では「不動産テック」「Retech」などの表記でも注目を集め始めています。

1952年のルールが残る不動産業界

不動産契約書

我々の生活に根ざす重要なサービスを提供する不動産業界ですが、これほどIT化が遅れ、改革の余地が残っている業界は無いのではないでしょうか。不動産取引を行うためのルールを定めた宅建業法が成立したのは昭和27年、なんと1952年という終戦から7年後というタイミングなのです。もちろん当時インターネットはおろか、PCすらありません。消費者を守るために作られた宅建業法は、多くの点で現代に合わなくなってきています。

ほぼ人力でビジネスが行われている

不動産会社

不動産売買の場合、取引のステップはとても多くなります。簡単に取引の流れをまとめてみます。

  1. お問い合わせ(不動産の売主)
  2. 価格査定(不動産の売主)
  3. 媒介契約(不動産の売主)
  4. 物件調査
  5. 図面作成
  6. 広告作成
  7. チラシ配布
  8. 営業活動
  9. 見学日程調整
  10. 見学立会い
  11. 購入申込み
  12. 価格条件交渉
  13. 住宅ローン斡旋
  14. 火災保険・地震保険斡旋
  15. 契約書・重要事項説明書作成
  16. 売買契約・重要事項説明
  17. 決済・引渡し

上記の取引ステップは大分簡略化していますが、これでも17ステップ。このステップのほとんどを人の手で行っているというのが現状なのです。産業別のデジタル化指数でも最もデジタル化が遅れている産業に分類されています。

もちろん1952年と比べ、不動産会社同士の情報ネットワークであるレインズや、不動産ポータルサイトのSUUMOやHOME’Sの誕生などの変化はありましたが、大きなビジネス上の変化はありません。未だに紙やFAXによって情報の記録、交換が行われています。

不動産テックには業務の効率化が期待される

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不動産テックに期待されるポイントの一つは、これら煩雑な業務の効率化です。その為には業務のシステム化が必須。最も期待されるのはAI(人工知能)の活用で、業務を効率化することで現状殆どの不動産会社が採用している物件価格の3%+6万円+消費税という法定上限のコストがかかる仲介手数料を押し下げることが期待されます。不動産テックサービスである「カウル」は、仲介手数料の最大無料サービスをいち早く採用しました。

人工知能を活用することで某大なデータを自動で処理したり、書類を自動で作成することが可能になります。顧客の好みに合わせて物件を紹介することも、不動産テックであれば可能になるでしょう。

情報の不透明さは金融業界の比では無い

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また業務の効率化と共に最も期待されるのが「情報の透明化」。Fin Techにおいても情報の透明化は最も解決するべき課題の一つに挙げられましたが、不動産の情報の不透明さは金融業界の比ではありません

仮に株式の売買と家の売買を比べて見た場合、公開されている株式の現在の値段や、その推移推移は誰でもすぐ確認することが出来ます。一方不動産の場合、現在売りに出ている不動産の情報は不動産ポータルサイトを見ればある程度分かるものの、売りに出ている全ての物件情報が不動産ポータルサイトに掲載されているわけではありません。またその物件の過去の価格推移も分からない為、果たしてその物件が今買い時なのか、売り時なのかも分からないのです。

不動産テックサービスである「カウル」では、調べたいマンション毎に過去のマンションの売買事例や賃貸事例、新築マンションの分譲価格を知ることが出来ます。こういった動きは今後ますます加速するものと思われます。

情報の非対称性が問題

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顧客がアクセス出来る不動産情報が限られている一方、不動産会社は不動産会社の情報ネットワーク「レインズ」を利用することで、現在売りに出ている物件情報を全て確認することが可能です。また過去の売買成立データを見ることも可能なため、大体の値段の推移を把握することも可能なのです。

このような一般顧客と不動産会社間における「情報の非対称性」は大きく、この非対称性が消費者にとって不利益を持たらすケースも存在します。他にどんな物件があるのか、果たして検討中の物件を購入して良いのかどうか、目の前の不動産営業マンの言うことを信じるしかない状況が発生しうるのです。

ビックデータの大波

リアルエステートテック3

この様な情報の非対称性を解消することがReal Estate Tech(リアルエステートテック)に期待されます。既にアメリカではZillowなど老舗のWEBサイトが存在しますが、ビックデータの活用により不動産価格の推定を行うサービスが日本でも誕生してきています。これらのサービスはWEB上で公開された物件の販売情報を元に、ヘドニックアプローチやデータマイニングによって不動産価格の算出を行います。

このようなサービスは一般顧客にとって使いやすいだけではなく、将来的にかなり「正確な不動産価格」を算出出来るようになることが期待されます。通常の不動産査定においては、「取引事例比較法」という周辺の不動産売買事例を元にした価格算出が行われます。「同じマンションで去年坪◯◯万円で売買が成立しているから、今だと大体このくらいですね」という様に価格を算出しているのです。

しかしビックデータや人工知能を活用することにより、インフレ率や景気変動指数、金利、株価、周辺の賃貸価格、賃貸需要など様々な指数を価格算出に組み込むことができる様になります。これら不動産テックの技術によって従来の価格算出よりも、遥かに高精度の価格算出が出来るようになるのです。

政府による推進も

東京の不動産

また日本政府も中古市場の活性化に向け、様々な施策を推進しています。既に日本の空き家率は13%以上。無計画に新築住宅を建て続けるのではなく、ストックの活用に舵を切ったのです。大きな目玉となるのは下記の4点です。

  • 「重要事項説明」のオンライン化へ向けての規制緩和と社会実験 → インターネットによる不動産取引の完結
  • 「中古建物評価指標」の抜本的な見直し → 中古住宅の取引活性化
  • 「不動産総合データベース」の試験開始 → 不動産情報の整備
  • 「住宅履歴情報」の導入検討       → 不動産情報の整備

これらの施策が行われることによって、今まで手に入れることが困難だった不動産情報が整備され、さらに中古不動産の取引が活性化することが見込まれます。

著者について

(株)Housmart(ハウスマート)代表取締役針山 昌幸
一橋大学で経済学を学ぶ。大学卒業後、大手不動産会社で不動産仲介、用地の仕入、住宅の企画など幅広く担当。顧客の利益が無視された不動産業界の慣習や仕組みを変えたいと志す。  
2011年、楽天株式会社に入社。大手企業に対し、最新のマーケティング・ビックデータ・インターネットビジネスのノウハウを元にコンサルティングを行う。
2014年9月株式会社Housmartを設立し、代表取締役社長に就任。最新のマーケティング手法を駆使した中古マンションの売買を行っている。
著書「中古マンション本当にかしこい買い方・選び方」がAmazonランキング・ベストセラー1位(マンションカテゴリー)を獲得。Housmartの経営を執り行う傍ら、テレビや雑誌への出演など、マンション専門家としての活動も行う。

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