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もはや寿命ギリギリ!?老朽化マンションの現状と未来予想図

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もはや寿命ギリギリ!?老朽化マンションの現状と未来予想図

日本で初めてマンションが建設されてから50年が経ち、老朽化したマンションが社会問題化しています。最も心配されているのが、建物の耐震性の問題。全国のマンションストックは約590万戸あり、そのうち1981年6月以前の旧耐震基準で建てられたマンションは約106戸。更に、1971年4月以前の旧・旧耐震化基準のマンションは18万戸あるそうです。今回は、それらの老朽化マンションの現状と、将来の姿について考えてみましょう。

都市部に集中している老朽化マンション

そもそも、マンションは立地の良い都市部に多く建設されています。ですから、東日本大震災クラスの地震が起きて老朽化マンションが倒壊するようなことがあれば、都市部は甚大な被害を受けるでしょう。しかし現実はというと、建物の老朽化と共に所有者の高齢化が進み、具体的な耐震化対策は進んでいないようです。

その理由の一つに、長い年月の間に相続や売買によって所有者が変わり、賃貸に出されているケースも多くなっていることがあります。その結果、役員のなり手が不足して管理組合が機能不全に陥り、具体的な対策がなされないまま放置されているというのが現状のようです。そういった懸念があり、国も老朽化マンションの耐震化は急務であると考え法改正による対策を打っています。では、老朽化マンションにおける対策の現状はどうなっているのでしょう。 >>マンションを買うなら知らないと損するサービスとは?

大規模修繕による耐震補強

老朽化したマンションにおける対策として、大規模修繕時に耐震補強をするという方法があります。しかし多くの場合、修繕積立金ではその費用を賄えないため、修繕費の追加が必要になります。とはいえ年金暮らしの高齢者や賃貸居住者が多いマンションでは、その費用を拠出するのが難しいという現実があります。何より問題なのは、大規模修繕工事をする上で、管理組合が機能不全に陥っているケースが多いことです。

費用云々の前に、管理組合が機能していなければ、所有者の意見を集約できません。そういったマンションは手入れが行き届かないため経年劣化が急速に進んで、徐々に住居者がいなくなって近い将来にスラム化してしまう危険性があります。

一定の条件を満たせば、ディベロッパーの協力で建て替えができる

大規模修繕ではなく、いっそのこと建て替えてしまうという選択肢があります。とはいえ、耐震補強の費用を捻出することさえ難しいのに、更に高額な費用を要する建て替えなどまず無理でしょう。しかし、平成26年の「マンション建て替え円滑化法」の改正により、一定の条件を満たす物件であれば、以前に比べて建て替えが容易になりました。それにより、ディベロッパーが介在する建て替えが検討されるようになりました。中には、築50年の老朽マンションが億ションに変身した例もあります。都心の好立地に位置するマンションであれば、ディベロッパーによる再開発は十分可能なのです。

ただしそのためには、容積率に余裕があって建て替え前より戸数を増やせることが条件になります。つまり、増えた住戸を第三者に販売し、それを建て替え費用に充当するという仕組みです。しかし、そこに至るまでにはデベロッパーとの交渉など、周到な準備が必要になります。そのプロセスで、所有者が一致団結して取り組まなければなりません。管理組合が十分に機能し、所有者と連携がとれていることが、建て替えを成功させる必須条件になるのです。

敷地も含めてマンションをまるごと売却

これは、売却によって得た資金を所有者で按分する方法です。物件の規模にもよりますが、売却先は資金力のある大手でなければ難しいでしょう。平成26年の「マンション建て替え円滑化法」の改正前は、所有者全員の承諾がなければ売却はできませんでした。しかし、改正後は、所有者の5分の4が賛成すれば売却可能になりました。とはいえ、売却すれば住む場所を失うわけですから、次の住居のことを考えて慎重に価格交渉をしなければなりません。

ところが、現状でそこに住んでいる所有者と居住していない所有者の間で、売買価格について意見の相違が生じることがあります。そこに居住していない所有者は、少々安くても現金収入を優先する傾向があります。一方で、次の住まいを考えている所有者には、簡単に妥協できない事情もあるでしょう。ここで話がごじれて、なかなか先に進まないというケースは珍しくありません。そういった意見の相違を調整して方針を固めるのが、管理組合の大事な役割です。確かに、以前に比べると売却し易くはなったのですが、管理組合が健全に機能している必要があるのは変わりません。

売却されたマンションの行く末は?

ディベロッパーが買い取ったマンションをどうするかというと、二つの方法があります。一つは、すべて解体して新たにマンションを建設して分譲するやり方です。ただこの方法ですと、建物と土地の買収費用と建設費用に加えて、建物の解体費用が必要になります。ですので、コストパフォーマンスを考えると、なるべく低価格で買い取る必要があります。売る側はなるべく高く買い取って欲しいわけですから、売買交渉は難航するのが普通です。

もう一つは、耐震補強をした上で、マンションごとリノベーションして再販する方法です。区分所有者によるリノベーションとは違い、室内だけではなく共有部分や建物の外観にも手を加えるので、どこから見ても新築同様になります。古い建物を解体して新たに建設するよりはるかにコストは安く、販売までの時間も節約できます。消費者のリノベーションに対する意識が高まっていることもあり、おそらく今後はこの手法が主流になるでしょう。

老朽化マンションの未来予想図

ひと口に老朽化マンションといっても、立地や周辺環境、構造や規模、住人の属性などによって抱える課題は様々です。しかし何もしないで放置され続ければ、やがてスラム化し犯罪の温床になる危険性を孕んでいるのです。少子高齢化により、2世帯、3世帯といった家族構成から、核家族や高齢者の独居世帯へとシフトし、日本人のライフスタイルは様変わりしました。マンションだけではなく公営住宅の老朽化も進んでおり、それらの住宅に住む独居老人の孤独死が社会問題になっています。

都心には築年数の古いマンションや公営住宅が多いので、希少な再開発エリアとして注目されています。しかし、そこに住んでいる住人の多くが高齢者という状況があります。立退きするにしても、居住費の他に医療や介護など多くの課題があります。年寄りは緑豊かな郊外へ、若い世代は利便性の高い都心に。そんな簡単な構図では、この問題は解決しないでしょう。

お年寄りが大家族に囲まれていた時代と違って、高齢になるほど利便性の高い住居のニーズが高まるのです。その意味で都市部の立地の良いマンションは、高齢化によるニーズの受け皿として有望といえます。老朽化したマンションを高齢者向けにリノベーションすれば、リーズナブルな価格帯で提供することが可能になるでしょう。

新しい「暮らし」のあり方

若い世代に向けた斬新なデザインのリノベーションがあるなら、高齢者に優しいリノベーションがあっても良いではないでしょうか。老人ホームや介護施設も必要でしょうが、その手前にいる高齢者向けのマンション需要もあるはずです。まだ元気な高齢者が快適に暮らせる“シルバーマンション”、といったところでしょうか。老朽化したマンションを高齢者向けに改装する場合は、税制面で特例を認めたり、補助金の対象にするといった政策があれば、取り組む企業が増えるのではないでしょうか。“シルバーマンション”をファンド化して、経済的にゆとりのある高齢者の投資先にするのも良いかもしれません。

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