路線価・公示価格・実勢価格の違いとは

2014.12.12
路線価・公示価格・実勢価格の違いとは
不動産の価格は色々な要素で決まりますが、実は国が決めている目安が存在します。「国が決めている」というと、なんだかお固いイメージがありますが、なかなか使い勝手が良いものも存在します。不動産価格の用語と用途、それぞれの違いについて確認することで、固定資産税・相続税・贈与税についても理解を深めていきましょう。

監修者:針山昌幸

針山昌幸 プロフィール写真

株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
(Amazonランキング・ベストセラー1位)

 路線価とは

国が決めている目安の中でも、一番使い勝手が良いのが「路線価」です。路線価は下記のページから調べる事が出来ます。路線価1財産評価基準 路線価図路線価の良いところは「この道路に接している土地は1平米いくら」と道ごとに細かく指定してあるところです。

路線価_のコピー↑財産評価基準 路線価図

ほとんどのエリアで路線価を確認することが出来ます。そしてその価格が、かなり正確なのです。一点注意して頂きたい点として、路線価は大体市場でやりとりをされる金額の70〜80%程度の値段が書かれています。ですので、路線価を調べたら、その金額を「0.7」で割ると大体の目安となるでしょう。路線価には、固定資産税都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる固定資産税路線価と相続税や贈与税の基となる相続税路線価があります。単に路線価と言った場合、相続税路線価を指すことが多くあります。固定資産税や都市計画税を詳しく知りたい方は下の記事をチェック!【関連記事】固定資産税の仕組みと計算方法とは?【関連記事】都市計画税ってどうやって計算するの?マンションにかかる都市計画税とは?
公示価格との対比 管掌者 公表日
固定資産税路線価 70% 市町村長(東京区部は東京都知事) 毎年4月初旬
相続税路線価 80% 国税局長 毎年7月初旬
固定資産税路線価は市場でやり取りされる70%程度の値段で書かれ、1月1日時点の価格であり、3年に1回の基準年度で見直されます。相続税路線価は市場でやり取りされる80%程度の値段で書かれ、1月1日時点の価格であり、市街化区域を中心に規定されています。また、相続税路線価の中でもある地域の路線価のうち最も評価額が高かったものを最高路線価といいます。
都市名 所在地 最高路線価(万円/m2)
東京 中央区銀座5丁目 銀座中央通り 3200
大阪 北区角田町 御堂筋 1016
名古屋 中村区名駅1丁目 名駅通り 840
横浜 西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り 781
福岡 中央区天神2丁目 渡辺通り 560
路線価は不動産取引の参考に使えます。毎年更新されていますので、市況をかなりタイムリーに抑えています。実際不動産業者が土地の買取を行う際にも、近隣の取引事例に加えて、まずは「路線価を調べる」ということが基本行動になっているほどです。一方、路線価はあくまでも土地の価格。マンションの金額には単純に当てはめることが出来ないので注意が必要です。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?

公示価格とは

公示価格はまさに「取引価格の目安」として国が出している数字になります。公共事業用地の取得をする際に、価格の規準になってたりもします。公示価格の歴史として、1960年前後の地価高騰を背景とした公共用地の取得費の増大、投機的な土地取引等による国民経済、国民生活への影響が重大な問題となりました。そこで、合理的な土地価格の形成を可能とするために、1963年に不動産の鑑定評価に関する法律が制定されるなど、前提となる不動産鑑定評価制度の定着を待って、1969年制定の地価公示法に基づき1970年から地価公示が行われました。公示価格_のコピー国土交通省地価公示・都道府県地価調査しかし公示価格は、法令に基づき国家機関等により定期的に評価されている大まかな目安なため、実際に取引されている価格とは異なります。また毎年3月下旬の発表で、タイムリーな価格ではないため、路線価と違い使い勝手が悪く、あまり参考になりません。ただ、土地を含む不動産の価格が不動産の価格形成要因である経済・社会動向に影響を及ぼす傾向があるため、地域経済の動向を表す参考になります。例えば、不動産価格上昇は取引需要の増加と直結し、その要因は人口流入、交通網の整備、商業施設の増加などによります。>>>中古マンションをお得に購入できるサービスとは?

実勢価格とは

実勢価格はまさに「現実的に不動産取引が行われる価格」のことで、誰かが定義しているわけではありません。「このぐらいの金額で売買が成立するだろう」と思われる金額になります。実際に評価を行う近隣で取引事例がある場合は、最もタイムリーな価格設定なので、その取引価格が最も参考になります。マンション売却などで行う「査定」はまさに、過去のマンション内や周辺の取引事例と、経済情勢、金利などから総合的に判断して行われます。しかし日本の不動産取引市場は、プライバシーや守秘義務、適正価格を扱う市場形成の困難などから取引価格情報の公開が進まない現象が起きています。東京の取引高は、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ第3位にも関わらず、情報公開度は世界で第25位と遅れをとっています。こうした背景は「情報の非対称性」(取引当事者の持つ情報の格差)を発生させ、サブリース問題による空き家の増加という社会現象を引き起こしています。ただ不動産業界にもITの風が吹き込まれていて、マッチング・プラットフォームを運営することで不動産の取引を支援する不動産テックという企業が増えてきています。この傾向は「情報の非対称性」を根本的に解決し、不動産トラブルを減少させるでしょう。取引事例はマンション毎にまとめて見れると一番便利です。

まとめ

路線価・公示価格・実勢価格の違いについて、いかがでしたでしょうか。円高や消費税などの経済環境の変化によって、日々変動するのが不動産価格ですが、まずは路線価を調べ、0.7で割ってみる。もし分かるようであれば、取引事例から実勢価格を調べてみるようにすると良いでしょう。

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