
「マンションの売りたい!」という時に不動産会社に相談に行くと「もしマンションが売れなかった場合、弊社で買取りを行っていますので安心です!」と言われる事があります。
大手の不動産会社でもそうですし、中小規模の不動産会社でもこのように言われるケースは多いのです。はたして、マンションの買取は利用しても良いのでしょうか?
>>>マンションを売却するなら知らないと損するサービスとは?
監修者:針山昌幸
株式会社Housmart 代表取締役
宅地建物取引士・損害保険募集人資格
『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』
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相場よりも安くなる点に要注意
「売れなかった場合に買い取りまでしてくれるなんて、安心だ!」と思われる方も多いと思いますが、少し注意が必要です。なぜなら「買取り金額」が相場よりも3割以上低いことが多いからです。
不動産会社がマンションを買取るという場合、買い取ったマンションはそのままその不動産会社が保有するわけではなく、転売することになります。転売するからには、その不動産会社は「利益」を確保しようとするのです。この「利益」がまさに「相場よりも3割安く」あなたのマンションが売られてしまう原因になるのです。
不動産会社にとって美味しい取引
「不動産を買い取ります!」という会社は、マンションの売り主様の味方なっているように思えますが、実は不動産会社は元々買い取りをしたくてたまりません。
なぜなら、不動産の買い取りはとても儲かるからです。
実際のケースを想定してみましょう。あなたがマンションの売却を考えており「5,000万円で売れたらいいかな」と思っているとします。
しかし不動産会社は「このマンションは5,500万円で売れるな」と判断しました。このような場合、不動産会社は是が非でも「買い取り」を行いたいと思うのです。
そのカラクリを図に表すと、下記のようになります。
買取りをしなかった場合
不動産会社は仲介のみを行い、その利益は仲介手数料の342万円になります。
買取りをした場合
不動産会社はあなたのマンションを購入し、そのマンションを5,500万円で他の買い主に転売します。これによって普通に仲介をした場合に比べ168万円も多く儲かるのです。
マンションを買取りしてくれることは、基本的に売却金額の低下につながります。マンションの買い取りを検討する場合は、より慎重になる必要があるでしょう。
スピードは早い
もちろん、悪いことばかりではありません。一番のメリットは非常にスピーディーにやりとりが終わるということ。通常マンションの売却には、売却活動で2〜6ヶ月、売買契約後のお引き渡しまでの期間で1ヶ月と、最短でも3ヶ月以上の時間がかかります。
買い替えの場合、なるべく早くマンションを売却して現金化したいので、売買活動が長引いてしまうのは大きな負担になるでしょう。一方マンション買取の場合、金額の合意さえ出来れば即日契約というケースも珍しくありません。
購入を現金で行う場合もあり、この場合引き渡しまでの期間も短いので一瞬でマンションを現金化することが出来ます。
買取が向いているマンションもある
スピードを優先したい場合以外にも、買取が向いているマンションもあります。よく見られるケースは「瑕疵担保責任」を負いたくないというもの。瑕疵とは「隠れた問題」ということ。
通常のマンション売買では、何か隠れた問題が見つかった時、売主の責任でその問題を修復する期間を設けます。この責任のことを瑕疵担保責任というのです。
人によってはこの瑕疵担保責任を負いたくないという方もいらっしゃいます。マンション買取であれば瑕疵担保責任を追わなくて良いケースが多いので、そのような場合は利用価値があるでしょう。
また極端に室内が汚れていたり、何か事件があった物件も買取に向いているかもしれません。そのような物件は一般の人にはなかなか手が出しにくく、売れづらいのです。
まとめ
マンション買取、いかがでしたでしょうか。
利用した方が良いケースがある一方、売却の金額が安く抑えられてしまうのがデメリットと言えます。
マンション売却の注意点の1つとして、認識しておきましょう。
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